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クラウドファンディングの元祖「キックスターター」日本上陸!|CEOに直撃インタビュー

Interview & Text by Misuzu nakamura / COURRiER Japon

キックスターターCEO兼共同創業者、ヤンシー・ストリックラー(2012年撮影)
PHOTO: LEAH NASH / THE NEW YORK TIMES

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クラウドファンディングの世界最大手「キックスターター(Kickstarter)」が2017年9月13日、ついに日本語版のサイトを開設した。

キックスターターは2009年、「クリエイティブなアイディア」を実現するためのプラットフォームとしてニューヨークで生まれた。これまでに13万件以上のプロジェクトが資金調達に成功し、その総額は32億ドルを超える。

VRヘッドセット「オキュラス・リフト」やスマートウオッチ「ぺブル」などもキックスターターで資金を集めて実現したプロジェクトだ。

日本版ローンチを機に来日した共同創業者のヤンシー・ストリックラー(Yancey Strickler)CEO(38)に、日本進出への意気込み、経営哲学、ビジネスリーダーのあり方などについて聞いた。

──まず、日本でのサービス開始にいたった経緯について教えていただけますか?

キックスターターの始まりは2009年。インターネットの世界で言えば、もう大昔の話だよね(笑)。日本でのサービス開始は創業当初から私たちの夢でした。

キックスターターを立ち上げる前、私は音楽ジャーナリストだったのですが、その頃からずっと日本の文化、そこから生まれる独創性、そして熱狂的なマニアがいるオタクっぽい世界に強い関心をもっていました。

マニアックさはキックスターターにとってパーフェクトな要素です。キックスターターのプロジェクトはすべて、何かの分野について深い知識がある人や熱心な支持者、何かを一緒に作り上げたいという熱い情熱をもった人たちによって支えられています。だから、そうした素地がある日本は、キックスターターにとって最適な場所だと直感的に思っていました。

これまでにスペイン語やドイツ語など5ヵ国語ぐらいで表示できるようになっていますが、アジアの言語では日本が初めてです。

昨年、香港とシンガポールにも拠点を設けましたが、サービスは英語だけです。香港とシンガポールは戦略的に重要だと考えたのと同時に、日本進出への下準備という意味合いもありました。

日本版ローンチにこぎ着けるまで、創業から10年近くたってしまったわけですが、理由は簡単ではなかったからですね。性急に事を運びたくなかったし、きちんとやりたいと思っていました。

日本人は好みにうるさい?


──日本進出は簡単ではなく時間がかかった、というのは、何か特別な障害があったのですか?

英語以外の言語でのサービスを始めたのは、わずか2年前です。翻訳やサイトを複数の言語で表示できるようにするなど、技術的なローカライゼーションには長いプロセスを要しました。

それから、米国でほかの起業家からよく言われたのは、日本でのローンチがどれだけ困難で厳しいものかということでした。日本のユーザー向けへの翻訳で問題が起きてしまった企業もあったと聞きました。だから、丁寧かつ適切にやる必要があると考えました。

どこの国に進出するにも同じことが言えると思いますが、日本にはとくに気を配る必要がありますね。米国のビジネス界には、こんな通説があります。日本市場と日本のオーディエンスは特殊であり、米企業が日本のオーディエンスにリーチして関係を築くのは簡単ではない、と。

──日本人はある意味、好みがうるさい、ということでしょうか?

そうなのかもしれませんね。でも本当のところはわからないし、それが悪いことだとも思いません。ただ、日本進出に失敗した米企業は多いということ。だから、「やるならきちんと準備してやりなさい」といったアドバイスをよく聞きました。

ストリックラーCEO(左)とキックスタータージャパンのカントリーマネジャーを務める児玉太郎


──これまでも日本からキックスターターを使うことはできました。日本版ローンチによって何が大きく変わり、日本のユーザーにはどんなメリットがあるのでしょうか?

これまではプロジェクトを立ち上げるにも支援するにも、キックスターターがサービスを提供している国の銀行口座が必要でした。たとえば、カリフォルニアの友人にお願いして口座を使わせてもらう、といった具合に。

でも、これからは日本の銀行口座と身分証明書を使ってプロジェクトを立ち上げたり支援したりできるようになります。表示される言語は日本語に、通貨もドルではなく円になります。これまでの経験から、自国の銀行口座や自国の通貨で利用できるようになれば、利用者数は急増します。

キックスターターなら世界にリーチできる


──満を持しての日本上陸ですが、日本のクリエイターにはどんな期待をしていますか?

私たちはいつも小さく始めようとします。明日はローンチ日ですが、その後に続くたくさんの日々の中の1日にすぎず、すべてが一度に成功する必要はありません。

私が望むのは、興味深くてクオリティーの高いプロジェクトが明日いくつか立ち上がり、それらが人々の関心を呼ぶと同時にキックスターターに対する信頼とリスペクトが高まることです。そうすれば、面白くてクールなプロジェクトがさらに多く生まれていくでしょう。でもそれはゆっくりと広がっていくもので、一朝一夕に起きるとは思っていません。

米国、英国、フランス、どこでも同じでした。キックスターターというプラットフォームが最初は小さな仲間内で認められるようになり、それが少しずつ口コミで広がってコミュニティが大きくなるのです。

そのように少しずつ成長していった結果、「キックスターターはリスペクトされているか?」「キックスターターを活用してイノベーションが生まれているか?」といった問いを突きつけたときに、答えが「イエス」なら、それでいいのです。

ただ、そこまで到達するには時間がかかります。人々の心を操ったり買ったりすることはできません。忍耐強く、コツコツと信頼を築いていくことが大事だと考えています。いまから2年後がひとつの節目かもしれません。

──日本にはすでに「CAMPFIRE(キャンプファイヤー)」や「Makuake(マクアケ)」などのクラウドファンディングサイトがあり、普及しています。これらとどう差別化していきますか?

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