LDRが終了することについて

ひさしぶりにblog記事を書く。それも、とっても気がすすまない状態でこれを書いています。

LDR、サービス終了するってよ

LDRことLive Dwango Reader (ex. Livedoor Reader)がサービス終了します。
これを読んでいるような人はもちろん経緯はご存知のことと思われるが、もともと2014年10月1日に当時運営していたLINE株式会社からサービス終了が発表されていたところを、株式会社ドワンゴが譲渡引受を表明して2014年12月よりドワンゴ社によってい運営されていたのだった。

今年の7月24日に、そのドワンゴから8月末でサービス終了するという発表があった。
blog.livedoor.jp
これには大変困った。私はたぶんこのLDRの、おそらくトップ10に入るであろうヘビーユーザを自認している。いまでもMac触っててSafariを開いている時間のうち最も多くの時間をこのLDRと過ごしている。様々な人がそれぞれLDR追悼文を書く中、私もこんなことを呟いていたりした。


ただまあその後は特にblog記事を書くでもなく、まあ言ってみれば沈黙してたんだけど別に忙しかったとか言うべき言葉がなかったとかではない。なにをしていたのかというと、うちの会社で買収して運営継続できないかをドワンゴ社と交渉していました。ジャジャーン!まあ、予想ついてた人もいたと思うけど。

LDR買収交渉、するが...

いまogijunの会社ってどこやねんと思った人も多いかと思うけど、どこかでかいところに所属しているわけではなく、小さな会社を営んでおりそこで受託開発や小さい自社サービス運営を細々とやっているのです。その会社でLDRを買収して運営を引き継ごう!と考えたのだ。
たまたまだけど弊社はドワンゴ社さんとは過去に取引があるのでまずはそのチャネルで問い合わせを試みた。しかしまあ、これが(7/25にメールをまとめて書いているようだが)一旦社内の状況を確認しますと言われたままその後はなしのつぶてになってしまい、進められないまま刻々を期限の8/31が近付いてきていた。
なりふりかまっていられないので、友人知人を総動員してド社にアプローチを続けた結果、なんとか橋渡し役になってくれる人が見付かったのだった。この時点で8月後半になっており、これから交渉開始してサービス終了までに間に合うんか?みたいな空気になっていたのだが、実質的な交渉のテーブルについたのは実は9月に入ってからだったのです。たぶん8/31過ぎてもなぜかサービス使えてたのは交渉期間だったから特別にその人が動いてくれたんだよね。想像だけど。だから今月LDR使えてたのはその人とオレのおかげなのでみんな感謝するように!

ともかくまあそんな感じで譲渡引受の上でのサービス継続について、当社として可能な最大限の提案を行い、交渉しました。その内容については書けないのであるが、結論としては譲渡に至らずサービスはそのまま終了せざるを得ないということになりました。力及ばず、無念です。
ですが、交渉の結果と間に入ってくれた方のご尽力により、そのままサービス継続することは出来ないものの互換サービスの開発は支援すると言ってくれた。具体的には、当社が互換サービスを新規で構築するならば、参考のために一部のソースコードを提供していただけることになった。そのあたりは、プログラマが交渉しに来たことがポイントだったらしい。

LDR互換サービス作ります!

というわけで、やります。互換サービス。既にオープンソース版のfastladderをベースに開発を表明している人もいますが、あれはまあ言ってみれば1人用に出来ており、私はどうしてもあのLDRの使い勝手を再現したいので、APIサーバもクローラも以前のLDRアーキテクチャを踏襲してがっつり開発します。クロールも帯域とストレージどかんと買ってぶんまわします。
そんな本気でやって費用面とか大丈夫なのか、と思われるかも知れませんが、私はこれを営利事業として考えています。オプションによる有料課金も追々考えますし、ヘビーユーザである自分ならではのビジネスを編み出して行く所存です。エンジェル投資家やVC各社の皆さまには機会をいただけましたらご説明に伺います。おそらくLDRの可能性を私以上にポジティヴに考えている人はいないでしょうから、お聞きになられたらそれなりに面白いのではないかと思います。
現時点ではいつ公開できるかはまだ約束できませんが、自分を含めたLDR難民全員を収容できる本格的なサービスにします。なので皆さんはそれまでに OPMLldr.json*1 かどっちでもいいけど保管して待っててください。

あらためて、LDRについて

実はこれを書いている今日、旧ドメインからの reader.livedoor.com からサービスにアクセス出来なくなった*2
LDRは、開発から10年以上が経過してなお、基本的な機能がほとんど変化していないいも関わらず、未だに他では替えが効かない、大変ユニークで重要なツールである。RSSリーダーというカテゴリにはさまざまな製品があるが、LDRはその抜きん出た高速性や操作性において、未だに他の追随を許さない。情報を閲覧するという目的についてこれほど考え抜かれた製品は他にどこにも見当たらない。
近年はRSSリーダそのものがオワコンだとか時代における役割を終えたんだという説明をしてる方が見受けられるけど、私はそうは思わないんだよね。GoogleFacebook(とちょっとTwitter)に情報流通の大半を握られている状態は決して全面的に気持ちよくはない。情報を「自ら取得する」人々の強力な武器であるLDRの役割はむしろますます重要になってきていたと思う。以前より利用者が少なくなっていたとしても、私を含め現在まで残っている利用者は皆一様に、LDRという製品に非常に強い思い入れを持っている。
そのようなユニークでハイクオリティなプロダクトを、日本のライブドア社のmalaが開発した、という事実があることは、大げさでなく日本のweb開発者にとって精神的な支えになっていたように思う。

誤解のないように書いておくと、私は一旦は消えそうになった火であるLDRをLINE社から引き継いでこれまで大切にサービスを維持してくれていたドワンゴ社にはとても感謝しています。でも、だからこそ、受け継いだその火を守ったものとしてでなく、火を絶やしたものとして多くの人に記憶されてしまうのは、とても残念です。

PS. にゃんこを引き取ったのではなかったか...

私がこんな中途半端な状態でも記事を書こうと思ったのはなぜか、そもそも、今回なんとしてもドワンゴから引き継いで運営しなくてはならないと決意してメールを書くに至ったいちばんの理由はなにか、と聞かれたら、実はこの記事があったからです:
weekly.ascii.jp

これは2014年10月にドワンゴLDRを引き受けることになったときの取材記事であるが、その際にサービスを引き受けることを「にゃんこをひきとる」と表現しているのである><
知ってる人も多いと思うけどogijunは保護猫や捨て猫計5匹に囲まれて暮らしており、これまでもたくさんの(リアル)にゃんこをひきとってきたのである。それが、最初の親のもとで飼えなくなって里親のところに行ってたにゃんこ、それも自分もとてもより知っているにゃんこが、里親さんのもとでもまた飼えなくなっちゃったという><><
こんなふうに言われると、名乗り出ないわけにいかないじゃないか、そのにゃんこ、引き受けるよ...。そんなふうに思ったからここまで突き動かされてしまったのです。なにもにゃんこにたとえなくてもいいじゃないか...。
結果として私は新しい里親にはなれませんでしたが、よく似たにゃんこのロボットをつくりますみたいなことになってる。にゃんこ、カワイソス><

*1: ldr.jsonの取得方法については以下の @azu_re さんの記事を参照してください。
LDRのフィードをレート情報付きでエクスポートする | Web Scratch

*2: reader.livedwango.com はまだアクセスできるようである