最近、「永代供養」という言葉をよく聞きませんか?
なんとなく、永代に供養するということはわかると思うのですが、実際のところはどういうものなのでしょうか。
本日は、「終活カウンセラー」で「お墓ディレクター」の専門家の筆者が「永代供養」について解説します。
永代供養とは
「永代供養」とは、承継者の有無に関係なく墓地の管理者が永代にわたって遺骨の管理・供養を行うことをいいます。
「自分には関係ないかもしれない」と思われるかもしれませんが、意外と多くの方に関係しています。
永代供養を検討される方
- 自分の死後に供養のことで子どもに負担をかけたくない方
- 墓を継ぐ人がいない方(子どもがいない・子どもは嫁いだ・独身)
- 墓にあまりお金おかけたくない方。または、お金をかけられない方
- 代々の墓を守るのが金銭的に負担が大きい方
- 代々の墓の檀家制度に疑問を感じている方
- 宗教・宗旨・宗派にこだわりがない方(無宗教の方)
- 家族と宗旨・宗派が異なる方
- 伝統的な墓の制度にこだわりがない方
- 墓参りが難しい方(身体的な理由・遠方にある)
- 親兄弟・配偶者の遺骨が自宅にあり困っている方
いかがでしょうか?
当てはまる項目があった方もいらっしゃるはずです。
それでは、なぜ今、「永代供養」が注目されているのか考えてみましょう。
永代供養が注目される理由
つい十数年前までは、それぞれの家の墓や納骨堂にお参りするのが一般的でした。
しかし、最近では、子どもがいない夫婦や、独身の方も珍しくありません。
お墓を継ぐのが難しくなってきている家が増えています。
また、核家族化により、子どもがいても、遠方で暮らす子どもに負担をかけたくないと考える方も多くなってきました。
このような背景の中、登場したのが永代供養です。
(仏教でいうところの本来の永代供養ではなく、民間霊園が商売目的で使用する言葉です)
ライフスタイルが変化し、家族のあり方も変わる中で、永代供養が注目されるようになってきました。
永代供養の特徴
永代供養の特徴は大きく4つあります。
1.管理者による管理と供養
子孫ではなく、寺院や民間霊園、地方自治体などが管理者となり、管理・供養をしてくれます。
2.後継ぎの有無に関係なく申し込める
通常のお墓や納骨堂は、承継者がいないと申し込みができないことがほとんどですが、永代供養は跡継ぎの有無に関わらず申し込みができます。
3.生前申し込みができる
通常のお墓同様、生前の申し込みができます。
4.宗旨宗派問わずが多い
寺院のお墓や納骨堂は、檀家や門徒にならなければ入ることができませんが、永代供養の場合、寺院でも宗旨宗派を問わないというところも増えてきています。
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永代供養の種類
合祀型(合葬式)
石塔、観音像などの供養塔の地下にある納骨室に血縁のない人たちの遺骨が共同に埋葬され、寺院や霊園の管理者によって永代に供養を行います。
一定期間骨壷のまま供養し、期間が過ぎると骨壷から遺骨を取り出して合祀する場合もあります。
注意すべき点として、一度合祀(合葬)すると二度と遺骨は取り出せません。
大勢の方と埋葬されるのでお参りの方は多く、無縁になる可能性や管理が行き届かなくなる可能性は低いです。
個々にに墓石や石碑を必要としないので、費用が安いのが特徴です。
従来のお墓や納骨堂に永代供養をつけるタイプ
遺骨を一定期間、個々にお祀りし、期間が過ぎると別の永代供養塔などに合祀して永代に供養するタイプです。
改葬などの可能性のある方にはこちらがおすすめです。
合祀までの期間は、最後に亡くなった方の七回忌や十三回忌という霊園が多く、金額は合祀に比べると高いですが、一般的な家墓に比べると安いです。
遺骨の入る数が2つや4つと、通常のお墓と比べると少ないことがほとんどです。
永代供養のメリット・デメリット
永代供養の認知度は年々高くなってきています。
とはいえ、まだまだ「お墓や納骨堂を継ぐ」という考え方が主流です。
永代供養を選ぶ理由が「跡継ぎがいないので仕方なく」という考えの方も少なくありません。
また、世代的に高齢の方や田舎の方は、永代供養や合祀について否定的なのが現実です。
逆に、若い方や都会の方は、そのような考えもなく、永代供養を肯定的に考える方も増えてきています。
永代供養を検討するにあたり、親戚から反対されたり、よく思われなかったりすることもあるかもしれません。
しかし、マスコミの報道の影響もあり、世の中の考え方も変化してきています。
近い将来、永代供養が一般的になることもあると筆者は予想しています。
永代供養のメリット
管理者が供養・管理してくれる
まず一番は、供養と管理のことです。
通常のお墓であれば、年に数回のお墓参りと掃除が必要です。
そして、子、孫の代まで受け継がれることが前提です。
多忙で、移動社会の今、子や孫にそれらを期待することは難しいかもしれません。
しかし、永代供養墓の場合、そのような心配はありません。
費用が安い
合葬形式であれば、墓石代はかかりません。
毎年の管理料や寄付金なども基本的にかかりません。
個人墓で墓石を建立する永代供養墓などはそれなりの金額になりますが、従来のお墓よりは安いことがほとんどです。
誰かがお参りに来る
合葬形式の場合ですが、常に誰かが亡くなり、誰かがお参りにきます。
合祀というと寂しい気持ちがするかもしれませんが、何年経っても賑やかなのは合葬形式の永代供養です。
永代供養のデメリット
家族・親族に反対されることがある
永代供養というのはしっかりとした供養のありかたです。
しかし、現在の日本においては、家墓や納骨堂がまだ主流であることや、他人と同じ墓に入ることに抵抗を感じる方もいます。
お参りのしかたがわからない
合祀型のお墓のお参りのしかたにとまどうこともあるかもしれません。
霊園や寺院によっては年に数回の合同供養が行われるところがあります。
合同供養に参加するべきなのか、お盆やお彼岸にお参りするべきなのか、迷われる方も多いです。
この問題に関しては、気にする必要はありません。
お参りに行きたいとき、行けるときにお参りに行けばいいのです。
本当に永代の供養なのか不安
霊園によっては経営状態が不安定なところもあります。
永代供養は管理料が入らないため、全てを永代供養で運営している霊園はいずれは収入が途絶えてしまいます。
その霊園の運営がどのようになっているかを調べることが重要です。
また、寺院も昨今の檀家離れにより廃寺の可能性がないとも言い切れません。
住職との相性もあります。
一度では決めず、何度か見学と話し合いの場を設けることをお勧めします。
自分に合う永代供養を選ぶために
現在、永代供養はさまざまな種類があり、合葬タイプでは値段も安いところでは5万円くらいのところもあります。
逆に、通常のお墓や納骨堂をそのまま寺院で永代供養してもらうのには100万円から、200万円くらいのお布施が必要なところもあります。
永代供養と言っても、ほとんどの霊園では「永代管理」であって、「供養」の面では大きな期待はできません。
地方自治体で、合葬形式の供養塔や樹林墓地を始めるところも出て来ています。
自治体は「永代供養」と言わず「管理」と表記しているところはしっかりしていると感じています。
永代供養の一種ともいえる樹木葬を加えると、本当に多くの種類があり、金額や供養の方法もさまざまです。
毎回同じことの繰り返しになってしまいますが、元気なうちに多くの情報を集めて現地見学に行くのが一番です。
あなたの終活がうまくいきますようにっ!!