26日の東京株式相場は小幅に反落。軍事行動を示唆する米国と北朝鮮の応酬で極東情勢の緊張が懸念されたほか、為替の円高推移を嫌気する売りに押された。電機や機械など輸出株が安く、保険やその他金融など金融株、不動産株も軟調。
半面、この日は3・9月決算銘柄の権利付き最終売買日で、個人投資家を中心に配当取りの買いが入ったほか、安倍晋三首相は衆院解散と経済対策策定の指示を25日に正式表明し、政策期待も相場全体を下支えした。
TOPIXの終値は前日比0.08ポイント安の1672.74、日経平均株価は67円39銭(0.3%)安の2万0330円19銭。
富国生命保険の山田一郎株式部長は、「北朝鮮問題は事前に対応できるような話ではない。事が起きてから動く以外にない」と指摘。また、12月の米国の追加利上げがかなり織り込まれているにもかかわらず、米長期金利の上昇や一段のドル高・円安の動きは鈍く、独自材料に乏しい「日本株は現状水準で固まってしまう可能性がある」との見方を示した。
東証内
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北朝鮮の李容浩外相は25日、滞在先のニューヨークで、トランプ米大統領の最近の発言は宣戦布告に当たると述べた。北朝鮮には、国連憲章が認める自衛権の範囲で米戦闘機を撃墜する権利があるとも発言。一方、米国家安全保障会議(NSC)報道官は、米国は宣戦布告しておらず、引き続き平和的な方法で朝鮮半島の非核化を模索すると述べるとともに、国際空域や公海上での攻撃権利はいかなる国にもないと反発した。
みずほ証券の倉持靖彦投資情報部長は、米軍のステルス爆撃機が北朝鮮沖を飛行し、「不測の衝突が起こらないか心配」と言う。今後も高度な緊張状態は続かざるを得ず、「今回の制裁強化で北朝鮮経済がどれだけ疲弊するのか、北朝鮮が次にどう出るのかを見極める必要がある」としている。
安全資産への逃避需要から25日の米国債は上昇し、10年債利回りは2.22%と3ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)低下。米国株オプションの指標で、投資家の恐怖心理を示すシカゴ・ボラティリティー指数(VIX)は6.5%上昇の10.21と、14日以来の高水準となった。米国株はテクノロジー株中心に売られ、ナスダック総合指数は0.9%安。為替市場では安全通貨の円が上昇し、きょうのドル・円は一時1ドル=111円50銭と前日の日本株終値時点112円23銭からドル安・円高に振れた。
一方、安倍晋三首相は25日夕の会見で、臨時国会召集日の28日に衆院を解散する意向を正式に表明。首相は同日午後の経済財政諮問会議で、2兆円規模の政策パッケージを年内に策定する方針を示している。最大の柱は人づくりと生産性革命だとし、2018年度から20年度までの3年間を集中投資期間と位置付け、高等・幼児教育の無償化や賃金上昇と投資を後押しする施策を盛り込む。
きょうの日本株は売り先行で始まり、日経平均は一時93円安まで下落。ただし、配当権利取りの動きや政策期待が下支え役となり、TOPIXは一時プラス圏に浮上する場面もあった。SMBC日興証券投資情報部の太田千尋部長は、「与党が多少議席を減らしても、経済成長最優先の方向性は変わらない、消費税の使途変更もその延長線上と考えられる」としている。
東証1部33業種は電機、その他製品、機械、保険、不動産、その他金融、精密機器、海運など13業種が下落、鉱業、陸運、倉庫・運輸、空運、建設、鉄鋼、繊維、食料品など20業種は上昇。鉱業は、トルコ情勢を材料に前日の北海ブレント原油が2年ぶり高値を付けたことを受けた。
売買代金上位では、米テクノロジー株下落の影響で東京エレクトロンやソニー、村田製作所、ミネベアミツミが安く、公表した上期の経常利益計画が前年同期比7割減だった北陸電力は大幅反落した。半面、自社株買いのNTTは高く、三菱UFJモルガン・スタンレー証券が目標株価を上げたラウンドワンは急伸。
- 東証1部の売買高は17億8031万株、売買代金は2兆5341億円
- 値上がり銘柄数は1189、値下がりは732