元ジャニーズの3人でウェブの動画メディアは変化するか?

THE SMAP MAGAZINE (マガジンハウスムック)

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日曜、家でゴロゴロしてたらインストールしてるAbemaTVのアプリ通知が表示されて、何かと思ったらこの発表だった。
リアルタイムで観ていたが、公式ツイートに視聴方法や録画の希望など、これまでAbemaTVを知らなかったと思しきリプが寄せられていて、新規ユーザーが一挙に増えるのは間違いない。



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下位互換


人間、明石家さんま

ウェブ動画としては、今や斜陽のニコ動に対しYouTube一強。
HULUは伸び悩み、海外で強いNetflixは日本ではまだまだ厳しい。
さんまのCMは話題だがジミーちゃんのドラマではユーザーに繋げるところまでいかない。
ゴジラ、デビルマン、聖闘士星矢、刃牙など新コンテンツが今年~来年にかけて放送される。
それらのタイトルでどこまで増やせるかも注目。

これまでのAbemaTVやウェブ動画は言ってみれば「地上波に出られない人の枠」

地上波>BS>CS>>(ウェブメディアの越えられない壁)>>>Abema

みたいなイメージかも知れない(環境によってはBS、CSとAbemaは前後するかも知れないが)。
極楽とんぼの二人が揃って出られるのは地上波ではなくAbemaTV。
松居一代が持論を展開できるのは個人動画メディアのYouTubeだからこそ。


ところがここへ来て元ジャニーズ事務所のタレント三人がAbemaTVを騒動後の出演先として選んだ。
これは大きい。
未だにテレビのレギュラーを各自数本抱えているとはいえ、ジャニーズという巨大な事務所と揉め、グループは分裂して三人は追われて辞めた印象は強い。

その厳しい事務所から抜けた三人がウェブに本格的に進出するというのだから話題性として申し分ない。
しかも放送だけではなくSNSも開始するというのはこれまでにない。
Weiboを本格的に始め、アジアのマーケットを見据えているのも抜け目ない。

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服バカ香取がインスタグラムを始めるんだから注目しないわけにいかない。

AbemaTVは、テレ朝が噛んでいるせいもありHuluやNetflixなど他の動画メディアと比較してもテレビと親和性が高いリアルタイム性がある。
これまでテレビで見慣れたアイドルが、ウェブで、これまで以上にファンと距離を近づける。

AbemaTV

AbemaTVはこれまで先行投資のみで利益をろくに出していなかった。

CMも流れず、視聴のみなら無料だが、擬似録画機能を使いたければ有料プランで対応。
itpro.nikkeibp.co.jp


HuluやNetflixはリアルタイム性がなくアーカイヴが並ぶので(CSの放送をリアルタイム視聴できるHuluの機能は除くが)録画機能は必要ない。

しかしAbemaは一度きりのリアルタイム放送。
スマフォやPC、タブレットの視聴によるため擬似的な録画機能にニーズがある。
さらにニーズがあるようならハードにパッケージしたコンテンツの販売すらあるかもしれない。
(無料放送テレビの有料DVD化はすでに標準化されてる)
先日、有料プランが発表された時「これで利益がでるのか?」と意見があったが、ここからウェブでのコンテンツ合戦になっていくのなら有料プランによって充分ペイできるかもしれない。

ジャニーズ

ジャニーズは「テレビ」というメディアの象徴になった。
もはやジャニーズなしでテレビ番組を成立させるのは難しい。
だからジャニーズに逆らう→テレビを干されるというのもわかる。

昔、大人気だった太平サブローシローが吉本に逆らい干されたことがあったが、今後のことを考えればジャニーズ事務所所属タレントとの共演が難しくなれば、地上波に出るのはかなり難しいということになるのは必然。
なにせどのチャンネルも、どの時間帯もジャニーズのタレントは出演してる。
昔なら音楽番組やバラエティだけだったが、今やドラマにニュース、CMだってジャニーズ、ジャニーズ、ジャニーズ。
NHKからテレ東まで。

あとは避難所としての東京MXくらいしかないが、過去に問題を起こしたあざといタレントばかり出しすぎて、出演してもイメージが悪くなる可能性は否めない。
もしくは関西や名古屋などローカルに活路を見出すか。

72時間

72時間生放送とのことだが、地上波で24時間通してやろうとすれば凄まじい数のスポンサーが絡むビッグバジェットな大騒ぎになるのに対して、ウェブでのぶっ続け動画生放送はバジェットが比較的小さくスポンサーも限られるため行いやすい。
なので過去に例も多い。
Ustream時代から毎年やっていたももクロ、乃木坂46、極楽とんぼ、チュートリアル徳井の24時間というのもあった。
地上波で、ももクロや乃木坂、極楽やチュートリアル徳井をメインに据えて生放送をやる局はなくてもAbemaTVならできる。
これもアーカイブが不自由で、リアルタイム性があるAbemaTVだからこその放送形態とも言える。
LINELIVEもタレントを引き込みなんとかコンテンツ配信に力を入れていたが、結局面白い素人の動画配信メディアに落ち着いた印象がある。

島本和彦原作「炎の転校生 REBORN」、NetflixがジャニーズWEST主演で今冬世界配信 - AV Watch
一方でNetflixは、島本和彦原作「炎の転校生」をジャニーズWEST出演で映像化するが果たして新規ユーザー獲得につながるかは未知数。
ここで手札の嵐を切って来ると全面戦争だったが……。

デジタルに対して閉鎖的で、デジタルコピーを恐れるがあまり雑誌の表紙すら塗り潰すジャニーズのくびきから逃れた三人が、テレビではなく三人揃っての復帰先として(テレ朝系の「ぷっスマ」が継続するのも何やら示唆的ですが…スマステ終わったのにね)テレ朝絡みのAbemaTVというテレビからウェブへの橋頭堡なのはとても面白い例だと言える。

マスに対して影響力があり、イメージも知名度も持つ、メインを張れる一流タレントが規制が緩めのウェブだからこそできる番組をやる。
こうしてウェブ動画はテレビや労働組合すら作れない旧態然とした芸能界に対して、アンチとしてのメディアの地位を手に入れていく。
今やメディアはテレビだけではないし、不自由な地上波から、自由度の高いウェブに移るのはタレントだけではなくスタッフも同じ。

これまでは素人YouTuberが隆盛を極めたが、エンタメコンテンツ作りのプロであるテレビのスタッフがこれまで以上に本格的にウェブに参入していけば、コンテンツのクオリティも向上していく。
これからどうなるのか(現状も元テレビマンが多いが、やはり予算規模が違う)。

プロYOUTUBER

前述したように、これまでウェブの動画メディアは素人メディア、テレビの下位互換というイメージだったが、旧態然としたタレント事務所に反旗を翻した三人が新たな活躍の先としてAbemaTVを選んだという事実はAbemaやウェブ動画がテレビの下位互換から離脱する錦の御旗にもなり得る。
そうすればテレビ局ではなくウェブに人材が集まるのは必須。
そこに金が動くなら人が動き、さらに金が動く。

素人YOUTUBERの中にタレントとそのスタッフが入って本気でコンテンツ制作を始めることで、シーンがどうなっていくのか。
Abemaに元ジャニーズの三人が来ることで最も影響があるのは、これまでのほほんとしていた素人YouTuberたちかも知れない。

マスに対して大きな影響を持つ三人がAbemaで活躍するとすれば、これは単に「テレビを追われたタレントがウェブに出る」以上の意味を持っている。
従来のウェブメディア自体のイメージを変え、能動的なウェブメディアが受動的なマスに対してどこまで食い込めるかの試金石でもある。
ただここで一気に増えるだろうUUをどこまで繋ぎとめられるかが、今後のコンテンツ次第なのも自明の理。
果たして魅力的なタイトルを揃えられるか否か。三人の番組はこの特番で終わりか、それとも始まるのか。
仮にAbemaと二人三脚でやっていくなら、とても面白い展開になる。

アマゾンプライムは吉本と組んだりしてコンテンツを作成しているが、少し盛り上がりに欠ける。
アップルも独自のコンテンツ制作に力を入れはじめ、ウェブ動画によってのパイの奪い合いはこれからさらに厳しくなっていく。
一方、ニコニコ動画はどうするんだろうかなぁ……。


ちなみに今日からNetflixでスタートレックディスカバリーの配信始まった。
早速最初のエピソードを観てる。
字幕にクリンゴン語があったり、艦橋にダフトパンクっぽいのがいたり……。

SMAPとは何だったのか
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