「頭がいいね」とか「賢い子だ」と褒められて育った子供は、困難に直面したときにすぐ諦めてしまったり、ズルをしたりすることが多くなるそうだ。
子供が3歳くらいになると、「とても頭がいいね」と言われたときと、「とても上手だね」と言われたときでは、行動に違いが見られるという。
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行動ではなく能力を褒めることに問題が生じる
『Psychological Science』に掲載されたアメリカ・カリフォルニア大学サンディエゴ校のゲイル・ヘイマン(Gail Heyman)氏らの研究は、子供の努力や特定の行動ではなく、生まれ持った能力を褒めることは、学習意欲や困難に取り組む力を低下させる結果を招くという有名な先行研究を踏まえたものだ。
今回の研究は、倫理観についても着目し、それが従来知られていたよりも幼いうちから子供に影響を与えていることを示した。幼稚園のような環境でも褒め方の微妙な違いはデリケートな問題であるらしい。
「子供に頭がいいと褒めることはごく当たり前で自然に行われています。それが子供の意欲に悪影響を及ぼすことが分かっていたとしても、両親や教育者はついついそうしてしまいます。今回の研究は、それがやる気だけでなく、倫理観にも影響することを実証しています。子供は上手くやるためにズルをするようになるのです」(ゲイル・ヘイマン氏)
頭がいいと褒められた子はズルをする
研究では、中国東部に暮らす300人(3歳150人、5歳150人)の子供たちを対象に、数字カードを使った推理ゲームを行なってもらった。
この間、子供たちは頭の良さか、成績かどちらかを褒められる。対照群では一切褒めない。褒めてから、ズルをしないように約束を交わした後で、研究者はゲームプレイ中に1分間だけ席を外す。その間、隠しカメラで子供たちがカードの数字を覗き見するために移動したり、体を傾けたりしていないか観察した。
その結果、3歳の子供も5歳の子供も、頭がいいと褒められた子は、成績を褒められた子や一切褒められなかった子よりも、ズルをする割合が高かった。また男女共に同じ傾向が観察された。
褒めて伸ばす教育も、正しい褒め方をしないと逆効果に
なおヘイマン氏らは『Developmental Science』に頭の良さを直接褒めるのではなく、そうした評判があると告げた研究も掲載している。
その心は、能力を褒めることは、行動を褒めることとは違い、上手くやることに対するプレッシャーと結びつくと考えられることだ。
頭がいいと褒められた子は、ズルをしてでも他人の期待に沿うような好成績を残さねばならないというプレッシャーを感じているようなのである。
子育てでは子供たちの意欲を育んであげたいものだが、それには正しい褒め方をしなければならない。さもないと逆効果になることもあるということだ。
via:Psychological Science / Developmental Science / ucsdnews/ translated by hiroching / edited by parumo
ちなみに私は子どもの頃けなされることはあっても褒められることは皆無だった。褒められるようなことは何一つしていないといわれたらそれまでなんだけど、あまりにも褒められなかったせいで、大人になってから褒められるとそれが信じられなくて、「やだこの人なんだろう?何目的?何をしてあげたらいいの?」とか思ってしまうほど自分に自信がもてず様々な弊害が生じている。
子育てってほんと難しくて、時代と共にどんどんその方針も変わってきてて、親御さんの場合には戸惑うことも多いと思うんだけども、時に客観的ビジョンも必要になってくるということか。
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コメント
1. 匿名処理班
子そだてって、子供になにかを教えることじゃないんだぜ、その子の遺伝子に、重要な情報を刻み込む作業なんだよ。
って、教わったことがあるよ。
2. 匿名処理班
どうせ、大人になるとズルしないといけないから
子供の頃に、どこまでバレない、許されるとか
常に考えるように訓練した方がいいのでは?
3. 匿名処理班
ずるをするって要するに容量の良さとかコネとか自分で考えて利益を嗅ぎ取ってるってことでしょ?
できないことはできない、できることは何でも使って楽するって頭いいじゃん
4. 匿名処理班
褒められることは皆無だった。
分かるわぁ...。帰省したある日、酔った勢いで父に褒めてもらえなかった愚痴を言ったら、「俺も親に褒められたことなんてなかった」との返し。なるほどと思いつつ、もしいつか子供が出来たら褒めたろ!と思うのでありました。
5. 匿名処理班
能力より行動を褒めるのは大事なことだと思う。
目先の結果だけに囚われると、プロセスを軽視しがちだからね。
能力は訓練の積み重ねで成長するものであって、生まれ持った脳の力に大した個人差はない。
6. 匿名処理班
ズルをすることが他人との信頼関係にどのような悪影響を及ぼすか分からないなら子育てなんてするべきじゃないわ
何もかも1人でできるような程度の低い仕事や勉強だけでいいなら、教育なんて必要ないだろうな
7.
8. 匿名処理班
ある程度のズルは必要だと思うけど、それはあくまで心や体を休めるため
プレッシャーからズルをするようになるのはかわいそうだね
褒めはある種の呪いにもなる
絵が上手い、スポーツが上手いと褒められた結果、大人になって挫折を味わった人も多いはずだ
9. 匿名処理班
子育てって難しいね。
どんな褒め方が最適かはその子の性格によって変わってきそうだし、何が正解なのかは大人にならないと分からないし。
10. 匿名処理班
大人は子供を褒める時、殆どは下心があって、その目的のために
褒めるからな。
たいていの大人は、子供を褒める時、いつも上から目線になる。
上から目線で褒められたって、やる気には全く繋がらない。
むしろ、やる気を無くす。
これは、大人相手に褒める時もそれが言える。
11. 匿名処理班
なにもないときに頭がいいと慢心させるのはだめだけど
何かをやったときには褒めてあげるのがいい
でも個人差があると思うから結局子供をよく観察して自分の子供に取って何がベストか親自身が判断するしかない
型にはまった子育てじゃなく子供をよく観察していれば子供が何を望んでどういうときに親の期待に答えようとするか自ずと分かってくるよ
逆に教育はこうであるべきだ!と決めつけて自分の子供のことをぜんぜん見ていない見ようとしない親が一番毒になる
12. 匿名処理班
昔から言われていたね。
「頭が良い」ではなく、「よく頑張った」と褒めましょうってね。
13. 匿名処理班
誤解を招きそうな見出しだけど過程を褒めるか結果を褒めるかって事ですよね?
14. 匿名処理班
褒められてもほだらかしてるとしか感じれなくなって常に疑心暗鬼の怪物になるからな
常に否定されてるからちょっと、褒められても信じられるか
15. 匿名処理班
子育てって難易度高すぎ・・・
16. 匿名処理班
日本人は人を褒めるのが苦手だから褒める教育は育たないだろうな
人を怒って疲れるくらい本気で褒めれる人って殆どいないだろ
17.
18.
19. 匿名処理班
これわかる。
私は子供の頃、賢いとか頭が良いとか周りの大人達から褒められていた記憶が多い。
もちろん嬉しかったが、「もし失敗したら頭が良いと思われなくなるかもしれない」というプレッシャーを常に感じていたように思う。
結果的に失敗を過度に恐れ、逆に鬱病ぎみになり不登校になった過去がある。
私の将来に期待を寄せていた大人はがっかりして私を見なくなった。
しかしそれで少しほっとした記憶がある。
プレッシャーから逃げたかったのかもしれない。
褒める時は常に行動を褒める。忘れずに覚えておきたい。
20. 匿名処理班
褒められて何をしたらいいのか悩んだら、褒め返してあげりゃいいのさ
21. 匿名処理班
ほめられたからまた次もうまくやってほめられたいからずるをする。
22. 匿名処理班
頭が良い・優れている自分のイメージを死守しようとするから、プライドが高くて間違いを認めない、他人を貶めて自分の評価をあげたり、怠け者で他人の成果を盗んだりする可能性があるやろ、要領が良くなるとか前向きすぎる。
人種的優生主義に通じるもんがあるぞ。
23. 匿名処理班
この教えって小学教諭の本でも見たぞ
たまたま上司の心構えを本で見たら同じように書いており
大人も子供変わらんなのかと妙な感心してしまった
今回は出てないようだけど、一番最悪な教育って
絶対に褒めもせず怒るときには長時間グタグタ
やる人だそうだ
24. 匿名処理班
自分は褒められるより怒鳴られたり心配されるほうが多かった。親が正直だったんだな。
そのおかげか、人並みの判断をするようになったけど特殊な事をする非凡な人には勝てない一般レベルで苦労している。
25. 匿名処理班
「手のつけられない悪ガキを『君にはリーダーの素質がある』と先生が繰り返しほめたら、本当にみんなのまとめ役になる子に成長した」っていう話があるけど、それはたまたまうまくいっただけだったのかな。
26. 匿名処理班
とにかく厳しく育てないといけないんだね
俺はよその子の躾にも厳しいしこれからもそうしていく
27. 匿名処理班
褒めるのとおだてるのとは違う。
そこがわかってないと、根拠のない自信だけ持たせて自惚れさせることになる。
それが慢性化すると、手のつけられない高慢ちきが出来上がるな。
まあ、あれこれ小賢しいこと画策してないで、成果を挙げたら正当に評価していけばいいのでは?(逆に不正を働いたら、庇い立てせず率直に叱責もしなきゃダメ)
子供だから・あるいは親だからと言って変に特別扱いせず、成長途上ではあるものの一人の独立した人間として素直に対すればいいと思っている。
28. 匿名処理班
親が「おまえは本当に頭がいいねえ」と頻繁に言うので
私のような子どもを「頭がいい」だなんて、
うちの親はとても頭が悪い人間なんだなぁ…と見下していた子供時代だった。
「頭がいいね」はほんと良くない。勘違いさせる。
29. 匿名処理班
※19
残念な経験でしたね。
でも、それを生かしましょう。
失敗したら、一緒に考えてあげましょう。失敗の原因と成功の要因、うまくいたら一緒に成功を喜びましょう、ほめなくてもそれでいいんじゃないかな。
頭がいいとほめるのも同じような話に思えます。
30. 匿名処理班
「よく気付いたね。頭いいね。助かったありがとう。」などと能力をほめた後に感謝をいってたら相手の事が分かる共感力のある子供に育ったけど、
もしかして”能力だけ褒めて終わる”のがダメなんじゃないかな。
それと、褒められなくても演劇など色んな角度から相手を考える事をやれば、相手が何を求めてるか分かるようになるよ。(読書で多角的な見方をするなど)