今回の景気回復が始まったのは平成24年12月。
デフレから脱却するため、大胆な金融緩和と財政出動、そして成長戦略の「3本の矢」を掲げたいわゆる「アベノミクス」のスタートと同時です。
特に注目されたのが日銀による大規模な金融緩和でした。金融緩和は円安をもたらし輸出企業の採算は大きく改善。世界経済の回復という追い風もあって、財務省の法人企業統計調査では企業の経常利益は、平成25年度から4年連続で過去最高を更新しました。
株式市場にも金融緩和の資金が流れ込み、株価が上昇。平成24年11月には、1万円を割り込んでいた日経平均株価は2万円台に。20年ぶりの株高をうかがう水準になっています。
雇用も改善を続けています。有効求人倍率はことし、43年ぶりの高い水準となり人出不足が進んでいます。3か月ごとに発表されるGDP=国内総生産も1年半にわたってプラスが続いています。
このように景気の拡大を示す経済指標が目立っています。
経済再生相“景気は「いざなぎ」を超えた可能性が高い”
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政府は今月の月例経済報告で、景気の現状は「緩やかな回復基調が続いている」という判断を示しました。茂木経済再生担当大臣は、今の景気回復は4年10か月にわたって続き、長さでは、高度経済成長期まっただ中の好景気「いざなぎ景気」を超えた可能性が高いという認識を示しました。
政府が25日に関係閣僚会議で取りまとめた今月の月例経済報告によりますと、新車の販売が増え個人消費が持ち直していることなどから、景気は「緩やかな回復基調が続いている」という判断を維持しました。
記者会見した茂木経済再生担当大臣は「今の景気回復の長さは戦後2位の『いざなぎ景気』を超えた可能性が高い」と述べました。
景気の回復や後退の時期は、内閣府の有識者による研究会が正式に判断しますが、茂木大臣は、平成24年の12月から始まった今の景気回復は、4年10か月にわたって続き、「いざなぎ景気」を超えたという認識を示した形です。
いざなぎ景気は、東京オリンピックの翌年の昭和40年11月から昭和45年7月までの4年9か月で、まさに高度成長期まっただ中の時期に当たり、所得も年々増えて個人消費も大きく拡大しました。
今回は、回復の長さでは、いざなぎ景気を超えましたが経済成長率や賃金の伸びは低い水準にとどまって勢いにかけ、多くの専門家や消費者からは回復の実感が乏しいという声が目立っています。
記者会見した茂木経済再生担当大臣は「今の景気回復の長さは戦後2位の『いざなぎ景気』を超えた可能性が高い」と述べました。
景気の回復や後退の時期は、内閣府の有識者による研究会が正式に判断しますが、茂木大臣は、平成24年の12月から始まった今の景気回復は、4年10か月にわたって続き、「いざなぎ景気」を超えたという認識を示した形です。
いざなぎ景気は、東京オリンピックの翌年の昭和40年11月から昭和45年7月までの4年9か月で、まさに高度成長期まっただ中の時期に当たり、所得も年々増えて個人消費も大きく拡大しました。
今回は、回復の長さでは、いざなぎ景気を超えましたが経済成長率や賃金の伸びは低い水準にとどまって勢いにかけ、多くの専門家や消費者からは回復の実感が乏しいという声が目立っています。
経済指標は良好
今回の景気回復が始まったのは平成24年12月。
デフレから脱却するため、大胆な金融緩和と財政出動、そして成長戦略の「3本の矢」を掲げたいわゆる「アベノミクス」のスタートと同時です。
特に注目されたのが日銀による大規模な金融緩和でした。金融緩和は円安をもたらし輸出企業の採算は大きく改善。世界経済の回復という追い風もあって、財務省の法人企業統計調査では企業の経常利益は、平成25年度から4年連続で過去最高を更新しました。
株式市場にも金融緩和の資金が流れ込み、株価が上昇。平成24年11月には、1万円を割り込んでいた日経平均株価は2万円台に。20年ぶりの株高をうかがう水準になっています。
雇用も改善を続けています。有効求人倍率はことし、43年ぶりの高い水準となり人出不足が進んでいます。3か月ごとに発表されるGDP=国内総生産も1年半にわたってプラスが続いています。
このように景気の拡大を示す経済指標が目立っています。
デフレから脱却するため、大胆な金融緩和と財政出動、そして成長戦略の「3本の矢」を掲げたいわゆる「アベノミクス」のスタートと同時です。
特に注目されたのが日銀による大規模な金融緩和でした。金融緩和は円安をもたらし輸出企業の採算は大きく改善。世界経済の回復という追い風もあって、財務省の法人企業統計調査では企業の経常利益は、平成25年度から4年連続で過去最高を更新しました。
株式市場にも金融緩和の資金が流れ込み、株価が上昇。平成24年11月には、1万円を割り込んでいた日経平均株価は2万円台に。20年ぶりの株高をうかがう水準になっています。
雇用も改善を続けています。有効求人倍率はことし、43年ぶりの高い水準となり人出不足が進んでいます。3か月ごとに発表されるGDP=国内総生産も1年半にわたってプラスが続いています。
このように景気の拡大を示す経済指標が目立っています。
なぜ回復の実感が乏しいのか
回復の長さでは戦後2番目になった今の景気ですが、消費者からは「回復の実感が乏しい」という声があがります。なぜなのでしょうか。
1つは過去の景気回復に比べて成長の勢いが弱いからです。
調査会社の三菱UFJリサーチ&コンサルティングによりますと、景気回復の間にどれだけ経済が成長したかを見ますと、「いざなぎ景気」の間は1年当たりの実質GDP=国内総生産の伸びに換算すると11.51%という高い成長を続けました。これに対して、今回の景気回復では伸びは1.36%にとどまっていています。
さらに賃金の伸びが鈍いことも、大きな要因です。
いざなぎ景気の期間は、賃金は毎年平均で13.6%伸び、物価の影響を除いた実質で見ても8.2%伸びていました。しかし、今回の景気回復では伸び率は平均して、毎年0.8%。物価の影響を除いた実質の伸びで見ますとマイナス0.3%です。
これが多くの人が景気回復を実感できない理由だと専門家は指摘しています。
1つは過去の景気回復に比べて成長の勢いが弱いからです。
調査会社の三菱UFJリサーチ&コンサルティングによりますと、景気回復の間にどれだけ経済が成長したかを見ますと、「いざなぎ景気」の間は1年当たりの実質GDP=国内総生産の伸びに換算すると11.51%という高い成長を続けました。これに対して、今回の景気回復では伸びは1.36%にとどまっていています。
さらに賃金の伸びが鈍いことも、大きな要因です。
いざなぎ景気の期間は、賃金は毎年平均で13.6%伸び、物価の影響を除いた実質で見ても8.2%伸びていました。しかし、今回の景気回復では伸び率は平均して、毎年0.8%。物価の影響を除いた実質の伸びで見ますとマイナス0.3%です。
これが多くの人が景気回復を実感できない理由だと専門家は指摘しています。
景気は“低温経済”
今回の景気回復の特徴について、みずほ総合研究所の高田創チーフエコノミストは「GDPの成長率が10%台だったいざなぎ景気と比べると今の成長率は2%という水準だ。回復の期間は長いがいわば“低温経済”のような状態で、実感なき景気回復という意識をぬぐい去ることができない。経済が成熟した先進国共通の特徴だ」と指摘しています。
また景気が回復を続けている一方、厚生労働省の統計で世帯年収の分布の中央値、つまり、ちょうど真ん中の世帯の年収が下がり、日本のいわば「中間層」の収入が落ちてきました。
これについて高田さんは「企業がリストラに踏み切った際に、非正規の採用を増やすといった動きもあって中間層がずり落ちるような形になってしまった。中間層は、消費の面でも非常に重要な層だが、消費の水準が上がらなくなったり、住宅などの大きな投資をしなくなったりすると景気は盛り上がらない」と分析しています。
高田さんは景気を上向かせるには中間層の底上げが欠かせないと指摘し「企業も個人も、物価は上がらない、賃金も上がらないと思い込んでいるが、それをどう変えていくかが大切だ。企業側、労働組合、場合によっては国も賃金の引き上げに取り組むことが重要だ」と指摘しています。
また景気が回復を続けている一方、厚生労働省の統計で世帯年収の分布の中央値、つまり、ちょうど真ん中の世帯の年収が下がり、日本のいわば「中間層」の収入が落ちてきました。
これについて高田さんは「企業がリストラに踏み切った際に、非正規の採用を増やすといった動きもあって中間層がずり落ちるような形になってしまった。中間層は、消費の面でも非常に重要な層だが、消費の水準が上がらなくなったり、住宅などの大きな投資をしなくなったりすると景気は盛り上がらない」と分析しています。
高田さんは景気を上向かせるには中間層の底上げが欠かせないと指摘し「企業も個人も、物価は上がらない、賃金も上がらないと思い込んでいるが、それをどう変えていくかが大切だ。企業側、労働組合、場合によっては国も賃金の引き上げに取り組むことが重要だ」と指摘しています。
鉄連会長「個人消費の面で恩恵を受けられるように」
鉄鋼メーカーなどで作る「日本鉄鋼連盟」の進藤孝生会長は会見で、「『いざなぎ景気』の時代と比べると、日本経済の発展段階が違うので、今回の景気回復で生活が豊かになったという認識はあまりないと思う。ただ5年前は、どこを見ても閉塞感があったが、経済政策の転換、特に金融政策の影響が大きかったのか、その状況はかなり変わった」と述べました。
そのうえで進藤会長は「これほど長い期間、景気回復が続くとは思っていなかったが、そのわりに回復の実感がないのは個人消費が思ったほど伸びず、物価も上がっていないことがあると思う。今後は、個人消費の面で回復の恩恵を受けられるようにすることが必要だ」と述べました。
そのうえで進藤会長は「これほど長い期間、景気回復が続くとは思っていなかったが、そのわりに回復の実感がないのは個人消費が思ったほど伸びず、物価も上がっていないことがあると思う。今後は、個人消費の面で回復の恩恵を受けられるようにすることが必要だ」と述べました。
経済再生相“景気は「いざなぎ」を超えた可能性が高い”
政府は今月の月例経済報告で、景気の現状は「緩やかな回復基調が続いている」という判断を示しました。茂木経済再生担当大臣は、今の景気回復は4年10か月にわたって続き、長さでは、高度経済成長期まっただ中の好景気「いざなぎ景気」を超えた可能性が高いという認識を示しました。
政府が25日に関係閣僚会議で取りまとめた今月の月例経済報告によりますと、新車の販売が増え個人消費が持ち直していることなどから、景気は「緩やかな回復基調が続いている」という判断を維持しました。
記者会見した茂木経済再生担当大臣は「今の景気回復の長さは戦後2位の『いざなぎ景気』を超えた可能性が高い」と述べました。
景気の回復や後退の時期は、内閣府の有識者による研究会が正式に判断しますが、茂木大臣は、平成24年の12月から始まった今の景気回復は、4年10か月にわたって続き、「いざなぎ景気」を超えたという認識を示した形です。
いざなぎ景気は、東京オリンピックの翌年の昭和40年11月から昭和45年7月までの4年9か月で、まさに高度成長期まっただ中の時期に当たり、所得も年々増えて個人消費も大きく拡大しました。
今回は、回復の長さでは、いざなぎ景気を超えましたが経済成長率や賃金の伸びは低い水準にとどまって勢いにかけ、多くの専門家や消費者からは回復の実感が乏しいという声が目立っています。
経済指標は良好
なぜ回復の実感が乏しいのか
回復の長さでは戦後2番目になった今の景気ですが、消費者からは「回復の実感が乏しい」という声があがります。なぜなのでしょうか。
1つは過去の景気回復に比べて成長の勢いが弱いからです。
調査会社の三菱UFJリサーチ&コンサルティングによりますと、景気回復の間にどれだけ経済が成長したかを見ますと、「いざなぎ景気」の間は1年当たりの実質GDP=国内総生産の伸びに換算すると11.51%という高い成長を続けました。これに対して、今回の景気回復では伸びは1.36%にとどまっていています。
さらに賃金の伸びが鈍いことも、大きな要因です。
いざなぎ景気の期間は、賃金は毎年平均で13.6%伸び、物価の影響を除いた実質で見ても8.2%伸びていました。しかし、今回の景気回復では伸び率は平均して、毎年0.8%。物価の影響を除いた実質の伸びで見ますとマイナス0.3%です。
これが多くの人が景気回復を実感できない理由だと専門家は指摘しています。
1つは過去の景気回復に比べて成長の勢いが弱いからです。
調査会社の三菱UFJリサーチ&コンサルティングによりますと、景気回復の間にどれだけ経済が成長したかを見ますと、「いざなぎ景気」の間は1年当たりの実質GDP=国内総生産の伸びに換算すると11.51%という高い成長を続けました。これに対して、今回の景気回復では伸びは1.36%にとどまっていています。
さらに賃金の伸びが鈍いことも、大きな要因です。
いざなぎ景気の期間は、賃金は毎年平均で13.6%伸び、物価の影響を除いた実質で見ても8.2%伸びていました。しかし、今回の景気回復では伸び率は平均して、毎年0.8%。物価の影響を除いた実質の伸びで見ますとマイナス0.3%です。
これが多くの人が景気回復を実感できない理由だと専門家は指摘しています。
景気は“低温経済”
今回の景気回復の特徴について、みずほ総合研究所の高田創チーフエコノミストは「GDPの成長率が10%台だったいざなぎ景気と比べると今の成長率は2%という水準だ。回復の期間は長いがいわば“低温経済”のような状態で、実感なき景気回復という意識をぬぐい去ることができない。経済が成熟した先進国共通の特徴だ」と指摘しています。
また景気が回復を続けている一方、厚生労働省の統計で世帯年収の分布の中央値、つまり、ちょうど真ん中の世帯の年収が下がり、日本のいわば「中間層」の収入が落ちてきました。
これについて高田さんは「企業がリストラに踏み切った際に、非正規の採用を増やすといった動きもあって中間層がずり落ちるような形になってしまった。中間層は、消費の面でも非常に重要な層だが、消費の水準が上がらなくなったり、住宅などの大きな投資をしなくなったりすると景気は盛り上がらない」と分析しています。
高田さんは景気を上向かせるには中間層の底上げが欠かせないと指摘し「企業も個人も、物価は上がらない、賃金も上がらないと思い込んでいるが、それをどう変えていくかが大切だ。企業側、労働組合、場合によっては国も賃金の引き上げに取り組むことが重要だ」と指摘しています。
また景気が回復を続けている一方、厚生労働省の統計で世帯年収の分布の中央値、つまり、ちょうど真ん中の世帯の年収が下がり、日本のいわば「中間層」の収入が落ちてきました。
これについて高田さんは「企業がリストラに踏み切った際に、非正規の採用を増やすといった動きもあって中間層がずり落ちるような形になってしまった。中間層は、消費の面でも非常に重要な層だが、消費の水準が上がらなくなったり、住宅などの大きな投資をしなくなったりすると景気は盛り上がらない」と分析しています。
高田さんは景気を上向かせるには中間層の底上げが欠かせないと指摘し「企業も個人も、物価は上がらない、賃金も上がらないと思い込んでいるが、それをどう変えていくかが大切だ。企業側、労働組合、場合によっては国も賃金の引き上げに取り組むことが重要だ」と指摘しています。
鉄連会長「個人消費の面で恩恵を受けられるように」
鉄鋼メーカーなどで作る「日本鉄鋼連盟」の進藤孝生会長は会見で、「『いざなぎ景気』の時代と比べると、日本経済の発展段階が違うので、今回の景気回復で生活が豊かになったという認識はあまりないと思う。ただ5年前は、どこを見ても閉塞感があったが、経済政策の転換、特に金融政策の影響が大きかったのか、その状況はかなり変わった」と述べました。
そのうえで進藤会長は「これほど長い期間、景気回復が続くとは思っていなかったが、そのわりに回復の実感がないのは個人消費が思ったほど伸びず、物価も上がっていないことがあると思う。今後は、個人消費の面で回復の恩恵を受けられるようにすることが必要だ」と述べました。
そのうえで進藤会長は「これほど長い期間、景気回復が続くとは思っていなかったが、そのわりに回復の実感がないのは個人消費が思ったほど伸びず、物価も上がっていないことがあると思う。今後は、個人消費の面で回復の恩恵を受けられるようにすることが必要だ」と述べました。