5年前、国民の皆様の力を得て、政権を奪還しました。当時、私達が、公約に掲げた、大胆な金融政策には、大変な批判がありました。しかし、総選挙で、勝利したからこそ、実行に移すことが出来た。
アベノミクス3本の矢を放つことで、日本経済の停滞を打破し、マイナスからプラス成長へと大きく転換することができました。
今、日本経済は、11年ぶりとなる、6四半期連続のプラス成長。内需主導の力強い経済成長が、実現しています。
雇用は200万人近く増加し、この春大学を卒業した皆さんの就職率は過去最高です。この2年間で正規雇用は79万人増え、正社員の有効求人倍率は、調査開始以来はじめて1倍を超えました。正社員になりたい人がいれば、必ず、1つ以上の正社員の仕事がある。この5年近く、アベノミクス改革の矢を放ち続け、ようやくここまでくることができました。
今こそ、最大の壁のチャレンジするときです。急速に少子高齢化が進むこの国が、これからも本当に成長していけるのか、この漠然とした不安にしっかりと、答えを出してまいります。
それは、生産性革命、そしてひとづくり革命であります。この2つの、大改革は、アベノミクス最大の勝負です。
国民の皆様の支持をいただき、新しい経済政策パッケージを、年内に取りまとめる考えであります。
4年連続の賃金アップの流れを、さらに力強く、持続的なものとする。そのためには、生産性を高めていくことが必要です。
ロボット、Iot、人工知能、生産性を劇的に押し上げる最先端のイノベーションが、今、世界を一変させようとしています。この生産性革命を我が国が、リードすることこそ、次なる成長戦略の最大の柱であります。
2020年度までの3年間を、生産性革命集中投資期間と位置づけ、中小・小規模事業も含め、企業による設備や人材への投資を力強く促します。
大胆な、税制、予算、規制改革、生産性革命の実現に向かって、あらゆる施策を総動員してまいります。
生産性を押し上げ、今年より来年、来年より再来年と、皆さんの所得を大きく増やしていく。デフレ脱却へのスピードを最大限まで加速してまいります。
もう一つの最大の柱は、ひとづくり革命です。子どもたちには無限の可能性が眠っています。どんなに貧しい家庭に育っても、意欲さえあれば、専修学校、大学に、進学できる社会へと改革する。
所得が低い家庭の子どもたち、真に必要な子どもたちに限って、高等教育の無償化を、必ず実現する決意です。
授業料の減免措置の拡充と合わせ、必要な生活費をすべて賄えるよう、今月から始まった給付型奨学金の支給額を大幅に増やします。
いくつになっても、誰にでも、学び直しと新しいチャレンジの機会を確保する。人生100年時代を見据え、その鍵である、リカエント教育を抜本的に拡充します。
こうしたニーズに応えられるよう大学改革も、強力に進めていかなければなりません。幼児教育の無償化も、一気に進めます。2020年度までに、3歳~5歳まで、すべての子供達の幼稚園や保育園の費用を無償化します。ゼロ歳から2歳でも、所得の低い世帯では、全面的に無償化します。
待機児童を減らす安倍内閣の決意は、変わりません。本年6月に策定した子育て安心プランを前倒しし、2020年度までに、32万人分の受け皿整備を進めます。2020年代初頭までに、50万人分の介護の受け皿を整備する。最大の課題は、介護人材の確保です。
これまで自公政権で、月額4万7000円の改善を実現してきましたが、他の産業との賃金格差をなくしていくため、さらなる処遇改善を進めます。
子育て、介護、現役世代が直面するこの2つの大きな不安の対象に、大胆に政策資源を投入することで、我が国の社会制度を全世代型へと大きく転換します。
急速に少子高齢化が進む中、国民の皆様の支持を得て、今実行しなければならない、そう決意しました。
2兆円規模の新たな制作を実施することで、この大改革を成し遂げてまいります。
しかしそのつけを未来の世代に回すようなことはあってはならない。人づくり革命を力強く進めていくためには、その安定材料として、再来年10月に予定される、消費税率10%引き上げによる財源を、活用しなければならないと、私は判断いたしました。
2%の引き上げにより、5兆円程度の税収となります。現在の予定ではこの税収の5分の1だけを社会保障の充実に使い、残りの5分の4である4兆円あまりは、借金の返済に使うこととなっています。この考え方は、消費税を5%から10%へと引き上げる際の前提であり、国民の皆様にお約束していたことであります。
この消費税の使いみちを私は、思い切って変えたい。子育て世代への投資と、社会保障の安定化とにバランスよく充当し、あわせて財政再建も確実に実現する、そうした道を追求してまいります。
増税分を借金の返済ばかりにではなく、少子化対策などの歳出により多く回すことで、3年前の8%に引き上げたときのような景気への悪影響も軽減できます。
他方で、2020年度のプライマリーバランス、黒字化目標の達成は困難となります。しかし安倍政権は、財政再建の旗を降ろすことはありません。プライマリーバランスの黒字化を目指すという目標自体はしっかりと堅持します。引き続き、歳出・歳入両面からの改革を続け、今後達成に向けた具体的な政策を策定いたします。
少子高齢化という最大の課題を克服するため、我が国の社会システムの大改革に挑戦する。私は、そう決断しました。
そして子育て世代への投資を拡充するため、これまでお約束していた消費税の使いみちを見直すことを本日決断しました。
国民の皆様とのお約束を変更し、国民生活に関わる思い決断を行う以上、速やかに国民の信を問わなければならない、そう決心いたしました。
28日に衆議院を解散いたします。
国民の皆様は、北朝鮮の度重なる挑発に対して、大きな不安を持っておられるかと思います。政府として、いついかなる時であろうとも、的確に、全力を尽くし、国民の皆様の生命と財産を守り抜くことはもとより、当然のことであります。
他方、民主主義の源泉である選挙が、北朝鮮の脅かしによって左右されるようなことがあってはなりません。
むしろ私は、こういう時期にこそ、選挙を行うことによって、この北朝鮮問題への対応について、国民の皆さんに問いたいと思います。
我が国を飛び越える弾道ミサイルの相次ぐ発射。核実験の強行、北朝鮮による挑発はどんどんエスカレートし、その脅威はまさに現実のものとなっています。
こうした中で私は、国際社会の連携をより強固なものとするため、米国、韓国はもちろんのこと、中国、ロシア、欧州、中東、アジアの首脳たちと、対話や協議を重ねてきました。
そして先般、国連安保理が、原油や石油製品の輸出制限を含む、厳格な制裁措置を、全会一致で決定しました。まずこれを完全に履行する。さらに北朝鮮がその政策を変更しないのであれば、国際社会とともに、一層圧力を強化してまいります。
北朝鮮には勤勉な労働力があり、資源も豊富です。北朝鮮が正しい道を歩めば、経済を飛躍的に伸ばすことも出来る。しかし、拉致、核、ミサイル問題の解決なしで、北朝鮮に明るい未来などありえません。
北朝鮮にその政策を変えさせなかればならない。そのための圧力であります。圧力の強化は、北朝鮮を暴発させる危険があり、方針転換をして対話をすべきではないかという意見もあります。
世界中の誰も、紛争など望んではいません。しかし、ただ対話のための対話には意味はありません。
この20年間、我が国を始め、国際社会は、六カ国協議など、対話による平和的解決の努力を重ねてきました。
その中で北朝鮮は、二度にわたり核ミサイルの放棄を約束しましたが、結果としてそれらはことごとく裏切られ、かつ、核ミサイル開発が継続されていた。対話の努力は、時間稼ぎに利用されました。
北朝鮮に、核・弾道ミサイル計画を完全な検証可能なかつ、不可逆的な方法で放棄させなければならない。そのことを北朝鮮が受け入れない限り、今後とも、あらゆる手段による圧力を最大限にまで高めていく他に道はない、私はそう確信しています。
そして、拉致問題の解決に向けて、国際社会でリーダーシップを発揮し、全力を尽くしてまいります。
北朝鮮が意図的に緊張を煽っている、今だからこそ、私達はブレてはならない。北朝鮮の脅かしに屈するようなことがあってはなりません。
私はこの選挙で、国民の皆様から、信任を得て、力強い外交を進めていく。北朝鮮に対して、国際社会とともに毅然とした対応をとる考えであります。
先の国会では、森友学園への国有地売却の件、加計学園による獣医学部の新設などが議論となり、国民の皆様から大きな不信を招きました。私自身、閉会中審査に出席するなど、丁寧に説明する努力を重ねてまいりました。今後ともその考えに変わりはありません。
この選挙戦でも、野党の皆さんの批判は、ここに集中するかもしれない。こうした中での選挙は、厳しい。本当に厳しい選挙となる、そのことはもとより覚悟しております。
しかし、国民の信認なくして、国論を二分するような大改革を前に進めていくことは、できない。我が国の国益を守るため、毅然とした外交を推し進めることは出来ません。国民の皆様の信任を得て、この国を守り抜く決意であります。
少子高齢化、緊迫化する北朝鮮情勢、正に国難とも呼ぶべき事態に、強いリーダシップを発揮する。自らが先頭に立って国難に立ち向かっていく。これがトップである私の責任であり、総理大臣としての私の使命であります。
来る新選挙戦となろうとも、国民の皆様とともに、この国難を乗り越えるために、どうしても今、国民の声を聞かなければならない。そう判断しました。
この解散は、国難突破解散であります。
急速に進む少子高齢化を克服し、我が国の未来を拓く。北朝鮮の脅威に対して、国民の命と平和な暮らしを守り抜く。この国難とも呼ぶべき問題を私は、全身全霊を傾け、国民の皆様とともに突破していく決意であります。
私からは以上であります。(00:20:46まで)
(以下、記者からの質問)
動画:https://nettv.gov-online.go.jp/prg/prg16014.html
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<僕からのコメント>
消費増税はやめましょうよ。すごく、すごく悲しいです。悲しみの末に全文文字起こししてみました。
参考↓↓↓
2017/09/04 11:21
物価目標の達成,政府と日銀は早急な見直しを
https://comemo.io/entries/2029
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