デジタル一眼レフカメラによる花の撮影方法の一例【秋桜】前編の続き。
さて、撮影現場に着いて先ずやる事は、良い撮影対象を探す事だ。
どんなに良い機材を持っていても、撮影対象がクソだったらどうにもならない。
こんなヨレヨレだったり欠けてしまった花を見たいと思う人間は、あまりいない筈だ。
廃墟だとかゴミのようなものに魅力を感じる人間もいるが、それはそれで別の問題である。
要は魅力的な撮影対象を探すのである。
これが案外難しく、納得できずに首を振りながら狭い現場をうろつく怪しいオジサンになりがちである。
また視点の高さを変えて見る事も大事で、中腰になったり、場合によっては地面に膝を着く事もある。
そうはいっても経験がなければ、良い写真になりそうだという判断もつかないだろう。
ぴんと来なくても、撮ってしまった方が早いという事もある。
昔はフィルムだったから撮る前によく吟味したが、デジタルなんだから適当に撮ってダメなら消せばよい。楽になった物だ。
というわけで、適当な秋桜の花が見つかったら実際に撮影してみる。
前編で書いたが、カメラはPENTAX K-30、レンズはsmc PENTAX-DA L 50-200mm F4-5.6 ED WRという前提である。
PENTAX 望遠ズームレンズ 防滴構造 DA50-200mmF4-5.6ED WR Kマウント APS-Cサイズ 21870
- 出版社/メーカー: ペンタックス
- 発売日: 2009/06/30
- メディア: Camera
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このレンズについて若干の説明を加えると、
広角側の焦点距離は50㎜で、その時の開放絞り値が1:4.0(F4)
望遠側の焦点距離が200㎜で、その時の開放絞り値が1:5.6(F5.6)
というズームレンズである。
50㎜側の絞り値の方が、200㎜側より小さい値だが、50㎜の焦点距離でF4の値は、あまりボケを期待できる数値ではなく、主に200㎜に近い方で使用する事になる。
また、最短撮影距離は1.1mと少々長めで、この距離は50㎜でも200㎜でも同じである。
50㎜で1.1mも離れてしまうと、小さくしか写らないので、その意味でも50㎜側では使用できない。
最短撮影距離とはピントが合う最短の距離である。1.1mも離れないといけないのは、不便の様にも思えるが、屋外で花を撮る時は、花壇に柵が有ったり、がけ下に花が咲いていたり、木の上に咲いているといった具合で、むしろ離れて撮る必要がある場合が多く都合が良い。
カメラの設定は、先ずモードダイアルをAv(絞り優先オート)モードにする。あとの設定は取り合えずデフォルトのままでも撮れるが、連続撮影(Hi)に設定する事をお勧めする。
何故なら、秋桜は茎が細く、僅かの風で酷く揺れ動いてしまうからだ。
Av(絞り優先オート)モードだが、これは絞り値を撮影者の意図で任意の値に設定して、シャッタースピードはカメラが自動で調整するものである。感度設定もオートに設定してあればISOの値も自動で変わる。
周囲が暗いといった悪い条件ではシャッタースピードが遅すぎてブレる事もあるが、晴天の日中で屋外という条件であれば、自動でも問題ない。
そして、肝心の絞り値であるが、取り合えずF10.0に設定する。
それではシャッターボタンを押してみる。
風が吹いていて、狙いの秋桜の揺れが収まらない為、やむを得ずこのような連続撮影になる訳である。下手な鉄砲も数うちゃ当たる方式だ。
ピントも揺れて定まらないが、止まっているときにフォーカスロックでピント位置を決めるか、動体撮影用のコンティニュアスAF(AF.C)で追従させる。この時はAF.Cだったと思う。
話が前後するが、絞り値が良くボケるはずの開放値5.6ではなくF10.0である理由の一つがこれだ。5.6では良くボケるが、良くボケるということはピントが合う範囲も凄く狭いという事である。ある程度絞り込んでピントの合う範囲を広げないと、ただのピンボケ写真を量産してしまうからである。
もう一つの理由は多くのレンズが開放値では性能が劣化する為である。解像度や、収差といって歪や色ずれが悪化するのである。
上の連続5コマの中から、取り合えず狙いの花にピントが合っている以下の写真を選択する。
だが、後ろに写っている物の形が自分的には美しくない。
そこで、トリミングで大胆にカットしてしまう。
露出や色にも不満があるので、PCのアプリで調整する。
これで完成である。
なお、絞り値F10は取り合えずの値である。状況に応じて変えるし、当然レンズが変われば変わる。経験による勘もあれば、試行錯誤もする。
これは200mmでF9.0
これは200㎜でF14
これは105㎜でF16である。全体にピントを合わせるなら絞らなくてはいけない。
また、望遠レンズの方がボケやすいのは確かだが、普通の標準ズームレンズでも全くボケない訳でもない。
こちらは、SIGMA 18-50mm F3.5-5.6 DCというレンズで撮影した。
50㎜でF5.6である。
先にも書いたように、レンズの開放絞り値をそのまま使うのはあまり良くないが、一応バックをぼかして撮る事はできる。
また、望遠レンズでは最短撮影距離が長い為、狭い室内などで花を撮る時は使えない事もある。
花瓶に挿した花であれば、バックになる物からなるべく離れた位置に花瓶を移動して、花自体にはピントの合うギリギリの距離まで接近して撮る事で、標準ズームレンズでもバックをぼかす事が出来る。
だが、本格的に広角寄りの焦点距離でボケを生かして撮影するにはもっと絞り値が低いレンズが必要、理想的にはF2以下のレンズが欲しい所だ。
F2以下の広角ズームレンズは非常に高価で、単焦点の広角レンズが良いと言われるが、それも安くはない。
入門者には以下の様なF2.8 のズームレンズがお手頃かもしれない。
TAMRON 大口径ズームレンズ SP AF17-50mm F2.8 XR DiII ペンタックス用 APS-C専用 A16P
- 出版社/メーカー: タムロン
- 発売日: 2008/03/02
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