私の投資スタイルを大きく変えるきっかけとなった書籍、ジェレミー・シーゲル氏の著書「株式投資の未来」の中でも語られている通り、一般的には成長する企業に投資することが大きなリターンを生む秘訣だと考えられています。
かつて私も同じ考えを持っており、テンバガーを夢見て資産の大半を日本の小型グロース株に投資していた時期がありました。
しかしながら、私なりに落ち着いていろいろと考えた結果、グロース株投資で大きく儲けることが非常に難しいことのように思えたため、グロース株投資から足を洗い、米国の優良ディフェンシブ銘柄への長期投資に軸足を移すことにしました。
そこで今日は、確固たる根拠があるわけではありませんが、グロース株投資で大きく儲けることが難しいと考える理由について、個人的な見解を恥ずかしげもなくご紹介してみようと思います。
グロース株とは
それではまずはグロース株についてのおさらいから始めましょう。
グロース株は成長株と呼ばれることも多く、その名の通りその企業の事業展開やその企業が事業がターゲットとしている市場の成長性などから判断した際に、今後大きく成長することが期待される銘柄群のことを言います。
また、潜在的な可能性というよりは、一般的には売上高や利益などが具体的に期を追うごとに増えており、今後もさらに大きく増える見込みが立つ銘柄を指すことが多いように思います。
したがって、この手の企業群の株主還元の形はもっぱら事業への投資、つまり稼ぎ出したキャッシュを新規事業や事業の拡大のために投資することが多いため、配当金が払われないことが多いのが特徴です。
グロース株のポテンシャル
それでは皆さんはグロース株というとどんな銘柄を思い出すでしょうか?
おそらくこのブログをご覧になる方は、米国株投資家の方が多いのではないかと思いますので、今日は米国を代表するグロース株銘柄の例として、アマゾン・ドット・コムを取り上げてみたいと思います。
普段あまりこのぐらいのスパンで見ることは少ないのではないかと思いますが、以下は過去20年間のアマゾンの株価チャートになります。
いかがですか?
2000年代の初め頃は大きな下落がありますが、以降は多少の凸凹はあるもののほぼ一貫して急こう配の右肩上がりが続いており、まさに成長株らしいチャートを描いていますね。
リターンの常識的な数字を超えてしまっているので俄かに信じがたいですが、チャートの上の方に緑文字で表示されている20年間のリターンを見るとなんと211倍と表示されています。
つまり、20年前に1,000ドル(約10万円)を投資していれば今頃は211,240ドル(約2,400万円)に増えているということになり、まさにアマゾンはグロース株投資の醍醐味が味わえる銘柄だと言えるのではないでしょうか?
グロース株に投資する個人投資家の特徴
さて、今度はそんなグロース株群に投資する投資家の特徴について触れてみたいと思いますが、どのような人達が投資するのでしょうか?
過去の自分を思い出してみれば当たらずとも遠からずではないかと思いますが、おそらくグロース株投資を通じて短期間のうちに人生や生活を一変させたいと考えている人達でしょう。
例えばサラリーマン投資家であれば、今勤めている会社や仕事が嫌で嫌で仕方なく、株式投資で大きく儲けて一刻も早くリタイアしたいと思っている人もいるのではないでしょうか?
もしくは高級マンションや高級外車など、どうしても手に入れたい高価なモノがあるものの、普通に働いていたら買うことができないため、株式投資で大きく儲けて早く買いたいと思っている人もいるはずです。
いずれも大きく儲けたいという野望だけでなく、一貫しているのは短期間のうちに何とかしたいと考えていることでしょう。
なぜならば、長期でも構わないのであれば、配当金など収入もなく株価の上昇だけを狙うグロース株よりも、私のような配当金再投資を軸とした連続増配銘柄に投資した方がはるかに儲けられる可能性が高いからです。
薄利で利益確定を急ぐ理由
さて、それではなぜ私がグロース株で儲けることが難しいと考えるのかという話ですが、上記グロース株の特徴と投資家の特徴が相乗効果となって長期保有を阻害してしまうからです。
冒頭で触れたように、グロース株とはその名の通り成長しなければ全く価値がなく、一度でも成長が鈍った段階で即座に株価は大きく下げることになるため、投資家は常に経営状態を注視し、売却するタイミングを見逃さないように注意しなければ大きく利益を棄損してしまいます。
改めて先ほどのアマゾンの株価チャートを見てください。
確かに2000年代初めに下落して以降は順調に上がり続けていますが、1990年代の終わりから2000年初めにかけての大幅上昇とそれを帳消しにしてしまうほどの大幅下落を見ている投資家はどのような行動を取るでしょうか?
結果的には以降は右肩上がりが長期的に続くことになりますが、おそらく常に同じような下落のリスクを感じながら投資することになるため、少しでも何かあったり株価の下落が続いたりすると一旦手放すという行動に出るはずです。
しかも、そもそもがすぐに人生や生活を一変させたいと考える短期志向の人たちですから尚更で、少しでも大きめの含み益が出た段階で利益確定し、他のグロース株に資金を移すことを考えるでしょう。
まとめ
つまり、20年前に投資しずっと放置することができれば結果的に211倍にまで増やすことができますが、実際には大半が比較的薄利で売却してしまい長くホールドし続けられるグロース株投資家が少ないため、この手の銘柄で大きく儲けることが難しいのではないか?というのが私の見解で、少なくとも私にはその自信はありません。
また、もう一つ大きく儲けられない理由の一つに、実際のところリスクの高いグロース株に対して大きな資金をつぎ込むことが難しいため、少額の投資に止まるが故に儲けも少額になりやすいということも挙げられます。
投資家さんのブログでもテンバガー達成の報告がありますが、大半が多数の銘柄に少しずつ分散投資している中の一つであることが多いため、テンバガーになっても大した儲けにならなかったというケースがありますが、それと似ています。
以上確かにグロース株投資は株式投資の醍醐味感があり成功した時の喜びも大きいので憧れる気持ちは分かりますが、株式投資は最終的に儲けられなければ全く意味がないため、本来は醍醐味や喜びではなく、高い確率で儲けられる方法を最優先すべきだと考えますがいかがでしょうか?
ちなみに、皆さんの身近にいる方の中で、グロース株で大きく儲けた人を何人知っていますか?