こんにちは!神田です。
日本で一人暮らしをしていた部屋がだいすきでした。
太陽が気持ちよく差し込む部屋で、キッチンが広くて(これすごく大事)、老夫婦がたくさん住んでいて(平和の象徴)、梅田まで自転車で行けて(飲んだ帰りに終電を気にしなくていいことが重要)。
半年のひとりアジア旅に出た時は、その部屋を手放したくなさすぎて友達に半年限定で代わりに住んでもらったくらい。
ちなみにその友達も部屋を気に入りすぎて現在そのマンションに住んでいます。
おわり
2017年9月8日(金曜日)
【オーストリア】 バートイシュル
よおおおおおおおし!!!!
天気いいぞおおおおおおおお!!!
今週外しまくって全然稼げてなくてマジでヤバイからこの週末のバートイシュルで思いっきり取り返してやる!!!
先週は雨が降ってて軒下で傘さし路上だったけど、今日は雲ひとつない快晴!!!
朝の空気が澄みきっており、肌寒いくらいの気温がすごく気持ちがいい。
もう若干川沿いの木々の葉が黄色くなってきている。
朝のバートイシュルにやってくると金曜マーケットで大混雑!!
すごい人ごみに混じってオーストリアの伝統衣装の人がたくさんいる。
森の精みたいな格好をしてる男の人、
ロングスカートにエプロンをしてオッパイをこれでもかと寄せている女の人、
男の人も女の人も、服装のどこかに必ず緑色が入っており、緑が国民色かのようだ。
大自然に囲まれてるオーストリアの人々。
日本人の浴衣みたいな感じなのかな。
さてえええええ!!!!!
気合い入れて歌うぞおおおおおおおお!!!
「モルゲンー!!おはようございます!!路上のライセンス下さい!!」
「おー、モルゲンー。10ユーロなー。あ、そうそう、そこのメインストリートでは路上できなくなったんだよ。言ってなかったな。まぁ君はいいシンガーだから少しくらいはおおめに見るけど。」
なんだとおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!
ちょっと待てえええええええええええええ!!!!!
このバートイシュルにはホコ天は1本しかない!!!!
そこで路上が禁止なんて絶望的にもほどがあるやん!!!!!
どこでやればいいの!???!??
お巡りさんが言うには、そこの通りを外れたところならいいよーっていう曖昧な感じで、厳密にここからここまではダメ、みたいな取り決めはないみたい。
おおめに見るとは言ってくれてるけどルールはルールやし…………
バートイシュルどんどんやりにくくなっていくなぁ……………
そりゃこんな晴れたマーケットの日でも他のパフォーマー誰も出てきてないわ。
10ユーロ払ってメインストリートはナシっていう厳しいルールに、ジプシーたちもこの町から撤退したのかな。
とにかく通りに出て場所を探し回ってみると、メインストリートの終わりのところにギリギリやれそうなスペースがあった。
ただはす向かいに噴水があってジャバジャバ音がしてうるさいのと、建物が切れてるので演奏の音が響かない。
こう音が散ってしまうとやりにくいんだけど、仕方ないよなぁ。端に追いやられてもここでやるしかない。
そして演奏を開始してみたんだけど、やっぱり反応が薄い。
音が聞こえにくいと人々も足を止めてくれない。
うーん、こりゃ厳しいなぁ………………
せっかくのマーケットの人出、天気は最高、他のパフォーマーいない、
そして真横にいつもやってたベストポジションがガラ空き。
でもこのやりにくい場所でやるしかない。
お昼になってマーケットが終わり、人出もまばらになってきた。
ギターケースの中のコインはぼちぼち。
民族衣装の可愛い人たちがチップを入れてくれるのはめっちゃ嬉しいんだけど、今週は全然稼げていないのでこの週末が勝負。
場所を変えてホコ天の反対側の端っこで再開したんだけど、こっちがよかった。
噴水がなくて音が綺麗に聞こえるようになると反応がガラッと変わって、足を止めてくれる人が増えてきた。
目の前にはマダム洋品店があるんだけど、ここのオッちゃんが音楽好きなおじさんで、先週やってる時に20ユーロも入れてくれた。
お店の人たちがウェルカムなのはすごく嬉しいこと。
少し向こうにバートイシュルで1番有名なカフェ、ツァウナーがあるんだけど、そこのオープンテラスのお客さんたちもチップを入れに来てくれる。
なんなら店員さんも接客のあい間にカッコ良いユニフォームで歩いてきてコインを入れてくれる。
このカフェツァウナー。
バートイシュルのホコ天のど真ん中にあっていつもお客さんで溢れてる大人気店。
バートイシュルはかつてオーストリアの皇族が夏の保養地として別荘を持っていた町で、今もその別荘がカイザービラとして一般公開されている。
他にも美しく風格ある建物が多く、自然に囲まれ、花が咲き、温泉もあり、かつての皇帝であるフランツヨーゼフ1世はこの町を地上の楽園と呼んでいたそう。
それくらい美しく、由緒ある町。
フランツヨーゼフ1世がセルビアに対して戦線布告の署名をした、第一次世界大戦の発祥地としても知られている。
このカフェツァウナーはその皇族ご用達だったお店ということもありながら、コストパフォーマンスも高くて一般人でも気軽にお茶できるお店として大人気だ。
まだ行ったことないけど。
皇族ご用達のカフェよりもいつもマクドナルドです。
今日明日でいっぱい稼げたらチョコパフェ食べに行こうかな!!!
ちなみにシュトーレンが名物らしいです。
そんな名店の近くで歌い、そろそろ今日のライセンスのタイムリミットが近づいてきた。
今日はこの辺かなぁと思っているところで、向かいにあるマダム洋品店の並びにあるメガネ屋さんのおじさんがこっちに歩いてきた。
あ、さっきからお店の入り口に立ってチラチラ見てたよな……………
もしかしたら苦情言われてしまうかも…………………
「ハーイ!!これをプレゼントするよ!!」
「え?…………………ええええええええ!!???」
ジョンレノンTシャツ。
しかもカンちゃんとお揃い。
「えええ!!こんな素敵なものいいんですか!?!?」
「もちろんさ!!いい音楽を楽しませてもらったからね。それに君はジョンレノンが好きだろ?」
ニコニコのおじさんから手渡されたのはカッコいいジョンレノンTシャツ。
ワーキングクラスヒーローのやつ。
こんなイカしたものもらえるなんて嬉しすぎる!!!!!!!
「あらあら~、私も楽しませてもらったわ~。バートイシュルにはあと何日いるの?」
すると今度はメガネ屋さんの隣のアクセサリー屋さんのおばちゃんが出てきて10ユーロを入れてくれた。
ありがたすぎる………………
いつも、通りのお店の人たちに迷惑にならないようにと気を使いながら演奏してるけど、こうやって喜んでもらえるなんて路上ミュージシャン冥利につきるよ……………
あんまり嬉しくて、路上を終えてから帰り際にメガネ屋さんのおじさんにせめてものお礼でCDを渡しに行ったら、いくらだい?と笑顔で財布を出そうとしてきた。
「ちょ!!ダメです!!Tシャツのお礼です!!」
「いや、それはいけない。いくらなんだい?」
「ダメです!!」
強引に渡して逃げると、おじさんはすごく暖かい笑顔でサンキューと手を振ってくれた。
あー、嬉しいなぁ。
こうして町の人と心からの触れ合いができることが路上のなによりの楽しみだよ。
すごく気分が良くて、まだ時間も早いから荷物を置いて町の散歩をした。
このバートイシュル。もう何度も来てるけどちゃんと町歩きしたことってなかったかもしれん。
美しい花々が咲き誇る庭園には人々が憩い、犬を連れた小さな子供が駆け回ってる。
銅像を見て、何かいわれのありそうな建物を見て、こんなところにこんな道があったんだなぁって裏路地を歩いて。
小さな町だからすぐに見て回れるけど、こうして心に余裕があるときに歩くと色んな発見がある。
こんなお店にも入ってみた。
キッチン用品店。
ヨーロッパってキッチン用品がすごく素敵で、見てるだけで楽しくなってくる。
ナッツ割り器、種ぬき器、パスタカッターなどなど、どれもユーモラスで機能的なデザインをしており、こんな道具を使ったら料理も楽しくなるだろうなぁって思える。
包丁の柄で、フンッ!!ってナッツをカチ割るのも楽しいけど。
これ、卵の黄身だけ分けるやつ。
倒れてるデザインのワイングラス。
いやぁ、楽しいなぁ。
前の旅中だったらこんなお店絶対足を踏み入れんかったやろうなぁ。
というわけでワインオープナー購入。
19ユーロ、2500円。
ぜ、贅沢!!
イケア行ったら3ユーロくらいで買えそうなのに!!!
でも俺もカンちゃんもワイン大好きだし、こんなカッコいいオープナーでコルクを抜いたら安いワインでも美味しくなりそうだ。
日本に帰ってもずっと使っていけるのでいい思い出になるはず。
女子大生にそれカッコいいですね!!なんて言われた日には、あー、これ、オーストリアのバートイシュルっていう町で買ったものなんだよね、ってめっちゃ自慢したい。
めっちゃウキウキで小腹が空いたらいつものボルニバーガーでボスナ。
ボスナってのはオーストリアではよく食べられてるファストフードなんだけど、ソーセージが入ったサンドイッチみたいなもん。
3.5ユーロ、450円。
ボルニバーガーはなんでも美味しい。
のんびり町歩きして、お買い物して、ファストフード屋台で美味しいもの食べて、
あー、バートイシュル完璧にもほどがあるわー…………
ちなみにカイザービラは入場料14.5ユーロ、1900円もするので行くことはないでしょう。
充実してるなぁ。
オーストリアにいると本当に心が落ち着く。
今まで長いこと音楽をやってきて、そのおかげで今こうしてヨーロッパという遠い地に居場所を見つけることができた。
やっぱり音楽やる人間にとってオーストリアは聖地だって思える。
俺みたいなフォークシンガーにとっても。
ギターケースの中に入れてもらえるコインの1枚1枚に人々の優しさがある。
それを忘れずに大事に使わせてもらおう。
そしてお金をいただけることに後ろめたくならないよう、いい演奏を心がけよう。
中2の、あのころの自分を褒めてやりたい。
野球バットじゃなくてギターを手に取ってくれてありがとう。
一瞬、大人になってから草野球チームに入ったら三振しかできなくて、三振で腰壊しそうになって2秒でやめました。
ベンチでビール飲んでるのは好きでした。
バートイシュルは魅力満載の小さな町
スポンサーリンク