米政府、北朝鮮など8カ国を対象に新たな入国規制を発表

米最高裁が今年7月に入国禁止令の一部施行を認めた後、ワシントン・ダレス国際空港に到着する人々 Image copyright Reuters
Image caption 米最高裁が今年7月に入国禁止令の一部施行を認めた後、ワシントン・ダレス国際空港に到着する人々

米政府は24日、同国への渡航を規制する対象国に北朝鮮とベネズエラ、チャドの3カ国を追加した新たな入国規制令を発表した。

ホワイトハウスは、賛否両論がある入国規制の拡大について、外国政府との情報共有の状況を検討した結果に基づいていると説明した。ドナルド・トランプ大統領は24日遅くに新たな入国規制令に署名した。

トランプ大統領はツイッターへの投稿で、「アメリカを安全にするのは私にとって最優先課題だ。安全だと確認できない人を我々の国に入れることはできない」と述べた。

ベネズエラ国民については、入国規制の対象とされるのは政府関係者とその家族のみ。

トランプ大統領が「アメリカを安全にするのは私にとって最優先課題だ。安全だと確認できない人を我々の国に入れることはできない」と述べたツイート投稿>

新たな規制措置は、24日に90日間の期限を迎えた大統領令が規制対象にしていたイラン、リビア、シリア、イエメン、ソマリア、スーダンの6カ国からスーダンを外し、北朝鮮など3カ国を加えた。

激しい反発を呼んだ当初の大統領令では、対象6カ国がすべてイスラム教徒が多数を占める国であったため、イスラム教徒(ムスリム)を標的にする「ムスリム禁止令」だと受け止められた。

大統領令に対しては多くの訴訟が提起され、いくつか大規模な抗議デモが行われた。最高裁判所は今年7月、最終的な判断を10月に下すことを条件に、部分的に執行を認めた。

人権擁護団体の米自由人権協会(ACLU)は、規制対象に新たな国を追加しても「政権による措置が依然としてムスリム禁止令だという本当の事実をあいまいにはしていない」と指摘した。

主要部分への変更をいくつか伴う新たな規制令が訴訟に影響を及ぼすかどうかは依然として不明。

北朝鮮とベネズエラが加わったことで、規制対象がイスラム教徒が多数派の国だけではなくなった。新たな措置の要件は、審査手続きや外国政府による協力に基づくものとなり、国によって規制内容も違う。

  • ホワイトハウスは、北朝鮮が「あらゆる面」で協力せず、すべての要件を満たさなかったとし、北朝鮮市民の米国への渡航をすべて禁止すると述べた。
  • チャドは対テロ政策で重要なパートナーであるものの、米国が求めるテロ関連情報や公的情報を共有しなかった。同国民に対してはビジネスおよび観光ビザ(査証)が停止される。
  • ベネズエラへの規制では、「特定の政府関係者とその肉親」のみが対象となる。米国は8月にベネズエラへの経済制裁を発表している。米政府は、ベネズエラ市民が国家安全保障上もしくは公衆の安全の脅威になるかどうかを調べる際に同国政府が協力しておらず、強制送還された市民の受け入れも積極的に行っていないと指摘した。

入国規制の内容は、商用のB-1ビザ、観光目的のB-2ビザの停止が大半を占めており、トランプ大統領による大統領令のような効力の期限はないとみられる。

新たな措置の説明資料でホワイトハウスは、イラクも要件を満たしていないものの規制対象に含まれていないのは、「米国との緊密な協力関係」や、過激派組織のいわゆる「イスラム国」(IS)との戦いへの貢献が理由だと述べている。

新たな規制措置は来月18日に施行されるが、有効なビザをすでに所持している人は対象とならないとホワイトハウスは説明した。

(英語記事 US expands travel ban to include N Korea

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