日本語が読めない日本人が多いよというニュースです。
中3の15%、短文も理解困難 教科書や新聞で読解力調査
http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201709/CK2017092302000119.html
調査では、中学や高校の教科書や、東京新聞などに掲載された記事など数百の題材をもとに問題を作り、コンピューターで無作為に出題した。
三十分間でできるだけ多く解いてもらい、内容を正しく把握できているかを調べた。昨年から今年にかけて、全国の約二万四千人に実施した。問題はすべて選択式で、文章の意味が分かれば、知識がなくても解ける。
その結果、中学三年生の約15%は、主語が分からないなど、文章理解の第一段階もできていなかった。約半数が、推論や二つの文章の異同などを十分に理解していなかった。
この新井紀子先生、じつは「ロボットは東大に入れるか」プロジェクトを率いてきたAI研究者の方でもあります。
今回はどちらかというと人間の知性そのものに焦点をあてた研究をされた、ということなのでしょうか。
元になる論文が見つからなかったので、国立情報学研究所のサイトを置いておきます。
国立情報学研究所
http://www.nii.ac.jp/
何が起きているのか
まあタイトルは釣りだということで勘弁して頂きたいのですが、ニュースの要点としてはこういうことです。実際、こうやって要点を短くしているサイト結構増えてきてますが、あれって文章を読めない人向けなんですかね?
・基礎的読解力について中学生~社会人までを対象に調べた
・中学3年生の約15%が主語がわからないなどの問題を抱え、半数が推論などを十分に理解していない
・中学まで基礎的読解力は伸びるが、高校以降あんまり伸びない
ざっくりいうと記事はこんな内容でした。
(追記)で、今これだけ読解力が低いよ、ということなんですが、「以前と比べてどう低いか」というのはよくわからないわけなんですね、ということをご指摘頂いたので追記しておきます。
冒頭に示したようにもととなる論文が見つからないのでなんとも言えず、論文に書いてあるのかもしれないですが、もしかすると過去との比較をしたら昔も基礎的読解力は低かったかもしれないわけです。この研究では、人間の知性についてまず研究する中で、じゃあ人間の読解力ってどうなってるんだろう、ということをテストしたんだと思われます。
参考になりそうな新井紀子先生ご本人のツイートがあったので補足します。
とりあえず、研究結果として実は「事実について書かれた短文を正確に理解する力」がない人が中学生で15%ぐらいいるよ、ということですね。これと絡めて、進学結果についても考察されているようです。
実は数学もという話も
たしかに昔、中学生の幾何でこういうことやったな……と思いながら見ていました。
先ほどのような短文が理解できてない中学生には「原点Oと点(1,1)を通る円がX軸と接している」という日本語を理解する能力がそもそもないということですね……
ただ正統進化とも言えるよねという話
そんな感じでよもやま話だったのですが、でも今、LINEとかTwitterとか出てきていて、その中で主語がある文章がどれぐらいあるのだろうか、とか考えていくと、スタンプも使うし、「わかる」「それな」「つらい」「草」「りょ」ぐらいの単語が100語も使えれば十分会話出来てしまうかもしれないと思う今日このごろ、読解力がなくても別に困ることってないのかなあ、と思ったりします。
冒頭に免許の更新すらできないじゃん、みたいな話出てましたけども、まあそれは問題だと思いつつも、じゃあ自動車の運転する時に文字を読む機会があるかというと、標識も絵だし、主語と述語がしっかりある文章なんか運転中にほとんど読む機会ないわけですね。そしたら、逆に免許の更新で文章読解力を試すような(いや、実際は普通に読める人にとっては試しにもなってないわけですけど)試験を課す事自体が間違いで、全部映像で問題を出して「これは○?✕?」ってやるのが正しいのかもしれないわけじゃないですか。
そう考えていくとなかなかこの問題は深い、と言いますか、自分で深くしているだけではあるんですけども、「使わないからない/衰えている」という能力については、やっぱり「使わないから別にいいんじゃないか」とも思えてくるわけですねえ。
実際、現代人は和歌の素養なんかないわけで、日本語運用能力(ここでは基礎的読解力という文脈ですが)っていうのはもう必須の能力ではなく、和歌と同じく教養みたいなレベルになってくるのかもな、とか思ってちょっと悲しくなったりしていました。それは小説とか楽しい文字でのエンターテイメントが衰退していくことも同時に示しているわけなので。
(追記)
もちろん、低下してるわけじゃなくて元々それぐらい低い可能性もある、というか指摘を受けて考えてみるに、あまりにTwitterとかで短文の読解能力がない人が多いのを目にする(クソリプとか)ので、もしかしたらこれは元々このぐらいの基礎的読解力なのかもなあ、とも感じたところです。
「問題文を読んでもそこに何が書かれているのかわからない」子を教えていた時のお話
http://blog.tinect.jp/?p=33408
人口知能の研究の中で、今の人口知能は読解ができないにもかかわらず、人口知能より低い点数の生徒がいるのはなぜか、という点か挙げられ、それを調査した結果だったかと。
だから、過去の調査はしてないと思いますが、読解問題の正解率からある程度そうていできるかもしれませんね。