面倒くさいに、さよなら。
使いやすさはもちろん、使って楽しいネット銀行を目指す
UXデザイン部 半田、関
「目指すのは、使いたくなる銀行です」と話すUXデザイン部の半田、関両氏に、アプリ開発を中心にデザインの考え方などについて語ってもらいました。
お客さまの手間は徹底的に削る。
例えば、残高確認もログインなしで。
—すごく基本的なことなのですが、住信SBIネット銀行って本当にすべての銀行サービスをインターネット上でいつでも利用できるのですか?
関:さすがにキャッシュカードのお受取りや現金のお引出しなどは無理ですが、それ以外でしたら原則として可能です(※)。
創業時のコンセプトとしても、「インターネットの特性や利便性を最大限活かして、フルバンキングをやる」ということでしたので、お振込、残高照会、預金商品の取扱いは当然のこと、来店不要の
住宅ローンや、
SBI証券の取引きに利用できる
「SBIハイブリッド預金」のような、銀行サービスの枠にとらわれない画期的なサービスもご提供できていると思います。
—最近はスマートフォン関連のサービスを強化しているそうですね。
半田:実は当社はスマートフォン関連の対応が遅れてしまっていた時期がありまして、ここ1~2年はかなり積極的にサービス強化を図っています。
スマートフォンの普及に伴いスマートフォンによるお取引きシェアも劇的に増えていますので、スマートフォン専用サイト、専用アプリの両面でお応えしているという状況ですが、特に力を入れているのがスマートフォンアプリ「住信SBIネット銀行」の運営です。
関:スマートフォンサイトは、当社のお客さまだけでなく口座開設を検討しているかたに向けても重要な意味をもっていますが、スマートフォンアプリ「住信SBIネット銀行」は、当社をご利用中のお客さまに特化した利便性の向上や、スマートフォン端末やOSの機能をフルに活かした新しい取引体験につながるサービス提供を意識しています。
例えば、現在の残高や直近の入出金の明細は、アプリを起動するだけで、毎回ログインをしなくてもパッと確認いただけます。
この機能は2015年に
デビッドカードのサービスを始めた際にお客さまが残高を確認するシーンが増えることを想定して提供を開始しました。
—確かに、デビットカードを使うシーンもそうですが、ちょっと残高が気になったときにすぐ確認できたらかなり便利そうですね。
他には、どんな便利な機能がありますか?
関:スマートフォン端末の機能を活かして、指紋認証、パターン認証、PINコード認証から、お客さまの好みに合わせて選べるようにしています。
—3種類もあるのですか?指紋認証だけでもよいように思ってしまいますが。
関:スマートフォンのロック解除方法としてお客さまになじみのあるものを当社のログイン認証でも提供しようという考え方ですね。そもそも開始当初はAndroidで指紋認証ができる端末がほとんどなく、iPhoneもすこし古い機種だと指紋認証に対応していませんでした。
そこで、Androidをご利用のかた向けに、パターン認証を用意し、iOSをご利用のかた向けにPINコードを用意。
せっかくなので両方のOSで全種類使えるようにしたというのが実際のところです。
—セキュリティといえば、ネット銀行の場合は、不正利用が気になる点だと思いますが、その辺りの対策は進んでるのでしょうか?
関:セキュリティは銀行が提供するサービスの生命線ですので、当然このアプリについても厳格に安心してご利用いただけるように設計しています。
まず、アプリ内に保存した認証情報は暗号化し、外部から解析できないようにしています。
また、パターンやPINを一定回数間違えたらアプリを初期化するので、全ての組み合わせを試して突破するといったことはできないようになっています。ATM引出し、振込完了などを、リアルタイムで通知するのも、不正利用に気づけるというセキュリティ面での対策の意味もあり、他社の事例をみてもまだ少ないはずです。
お客さまに複雑な設定などの手間をかけさせずに、きめ細やかなサービスにしようというのは私たちの基本姿勢です。
少しでも安心してご利用いただければと考えています。
お客さまにとって、空気のように当たり前なサービスを実現
—こうしたアプリは、どのように開発されているのですか?
半田:「住信SBIネット銀行」は、企画、開発から運営まですべて社内で体制を構築しています。
アプリの運営をより機動的にしていくことで、私たちが実現したいサービスレベルを維持、向上していこうという考え方です。
正直、最初は大変でした。当社のシステム開発はいわゆるウォーターフォール型ですので、スマホアプリならではのアジャイル的なアップデートをいかに実現するかという試行錯誤は今も続いています。
しかし当初と比較して、今はディレクション、デザイン、開発の現場がかなり密接になっていて、非常によいチームワークが生まれてきていると感じています。
—住信SBIネット銀行のアプリを使いやすいものにしていく秘訣は体制にもあったのですね。開発秘話とかありますか?
関:細かい見直しや改善は本当にたくさんあるのですが、例えばこのアプリの最初の試作品ができたとき、振込の操作中にメールなど別アプリを開いて戻ってくると再び認証が入る仕様になっていました。
このようなシチュエーションはよくあると思いますし、いくらログインしやすくしているとはいえお客さまには負担なので見直しをするのですが、整理しなくてはいけないことはたくさんあるんです。
何分以内なら認証不要、何分経ったらロック、自動ログアウトにするのは何分、といった具合に、ひとつひとつ細かい条件を関係各部で話し合って決めていきました。
—アプリを利用するかたは、そんな設定がされていること自体、考えたこともないですよね。
関:こうした機能の設計は対応できていない場合は不満を感じますが、対応できている場合には空気のように当たり前に感じる。
でも、そういう類のものですからね。「作り手側の存在をいちいちお客さまに感じさせない」というのも、快適なサービスの大事な条件だと思います。
ワクワクするデザインで
「この銀行を使いたい」
—半田さんや関さんが所属しているUXデザイン部について教えてください。銀行でUX関連部署があるのも珍しいですよね。
半田:はい。2016年5月に、WEBサイトやスマホアプリを通じたサービス強化のために発足した部署です。
UXとは「ユーザーエクスペリエンス、ユーザー体験」の略で、当社WEBサービスのデザイン・利便性を追求し、お客さまに上質なお取引きの体験を提供していくこと、デザインや操作性で当社のサービスをより付加価値の高いものにしていくことをミッションとしています。
関:私はスマートフォンアプリを担当しています。当社でも年々スマートフォン利用のお客さまが増加しています。
複雑な取引きはまだPCを利用した方がスムーズですが、今後もスマートフォンを使ったお取引きの利用率は増えていくはずですので、アプリ開発も含めてスマートフォン向けのサービスを充実させることは、とても大事なことと考えています。
—アプリの開発体制についてもう少し聞かせてください。社内で企画から開発までするようになり、どのようなメリットを感じていますか?
関:やはりスピード感ですよね。お客さまからのご期待やご不満の声がたくさん届けられるなか、重要なのは、「いかに迅速に対応できるか」だと思います。
気が付けば、この1年弱で19回のアップデートをしていました(笑)。振り返ればアプリのリリースはゴールではなくてスタートだったんだなと思いますが、これだけの対応ができたのも内製化したからこそだと思います。
もちろん、アプリの運営を通して、今までわからなかったことがわかるようになり、チームもかなりレベルアップしました。
—19回というのはすごいです。そのぐらい繰り返して初めて使いやすい、という評価を得ることができるわけですね。今後、UXデザイン部としては、どんなサービス、プロダクトを提供したいと考えているのでしょうか。
関:現在は、
外貨預金のお取引きに特化した専用アプリのリニューアルも進めています。
このインタビューが掲載されるのとアプリができるのと、どちらが先になるかな?という状況です(笑)。デザインや機能面をかなり見直しているのでご期待いただきたいです。
半田:デザインや使い心地のよさにこだわるために、開発にあたってはプロトタイピングという、デザイン先行で機能やサービスの仕様をかたちづくる工程を取り入れて、アプリ開発をデザインがリードできるような進め方をしています。
現在開発している
外貨預金のアプリでは「私たちはどういうサービスを作りたいのか」を議論したり、手描きのラフなイメージやデザインをプロトタイピングツールで動かしてみてメンバー間で意見を交わしながら機能や仕様を考えました。
関:銀行のサービスって、「仕方なく使っている」というかたも少なくないと思うんですよ。現在開発を進めているアプリは「このサービスを使ってみたい」と思ってもらえるようなものを目指しています。
開発の各工程で実際に操作してみながら、どういったデザイン、動きが心地よさを生むのか、ということを考えながら開発しています。
—そういった手法で作ることで使い心地よいサービスが生まれるわけですね。ここに、ちょうど今、進めてらっしゃるアプリのデザインイメージがこちらにありますが、確かに素敵な仕上がりですよね。
関:ありがとうございます(笑)。私たちの提供するサービスは、お客さまが接するWEBサイトやアプリが、いわばお店で、そこで提供するものが金融商品やサービスですからね。
デザインや使い心地のよさは、サービスの質に直結すると考えています。
—なるほど、確かにそうですね。お話を伺ってみて、とても使ってみたくなりました。そろそろお時間となりましたので、最後に一言お願いいたします。
関:これからも、「使っていて心地よい」「ワクワクする」ようなサービスをどんどんリリースしていきたいと思います。ぜひご期待ください。