最近、平和ボケの症状は、現状認識の薄さであるとすると、最近、その症状に新しいタイプが登場している。今までは、憲法9条を理由に国際社会と足並みを揃えられないことに対して「平和ボケ」と自虐してきた。
スーパーマン・シンドローム
だが最近は、「アメリカが北朝鮮をやっつけてくれる」との好戦的な考えを持つ新しい「平和ボケ」が表れている。きっと、アメリカなら北朝鮮の攻撃能力を無力化するほどの一斉攻撃をする戦略と能力があるはずだ、と考えるのだ。まさに、スーパーマンやウルトラマンが突如として表れて、救ってくれる発想と同じ種類であり、「スーパーマン・シンドローム」と呼べるだろう。
「スーパーマン・シンドローム」に侵されているかどうかは、トランプ大統領やマチス長官の発言に対する心の声でわかる。「軍事オプションも机の上だ」と聞いた時に、ほっとする気持ちがほんの少しでも表れれば、すでに「スーパーマン」への期待感が脳内に浸透していると考えられる。北朝鮮が対話や経済制裁で核を放棄するとは思わないだけに、北が核を放棄する唯一の策は「攻撃」ではないかと思う。次に、もし、そうなったら日本と韓国が火の海になると思うと、その考えを打ち消す。そして、「アメリカなら日韓が火の海にならずに済むほどの完璧な攻撃能力がある」と希望を抱くのだ。
以前の平和ボケと新種の平和ボケである「スーパーマン・シンドローム」は、非戦と好戦で真逆に見えるが共通項は「現実逃避」である。
アメリカも崩壊・シンドロームだった
「北朝鮮は崩壊する」と思うのも平和ボケの種類である。崩壊しないかもしれないし、仮にしたとしてもいつするかはわからない。その過程やそのほかのシナリオを考えないで、将来の「崩壊」を見越すのは明らかな「現実逃避」である。アメリカも「崩壊シンドローム」に陥っていた。今までの政権には「北はそのうちに崩壊する」との前提があり、核問題を先送りしてきた傾向がある。コメディ・ニュースでは、「アツアツのベークドポテト」を北朝鮮として見なし、クリントン大統領もブッシュ大統領もオバマ大統領も「あちち」と次の大統領に先送りし、ついにトランプ大統領がぎゅっと握りしめて、「熱い!!!!!」叫ぶコントが披露されていた。日本にも「崩壊シンドローム」も少なからず存在する。
他人事・シンドローム
北朝鮮の核を自らの安全保障の危機を認識せずに、「トランプ大統領のせいで戦争に巻き込まれる」とアメリカと北朝鮮の問題としてとらえるのは、「他人事シンドローム」と言えよう。
日本にとっては、どんな考えが平和ボケではないのだろうか?
現実を直視することである。アメリカの専門家はすでに議論を始めている。北の核保有は受け入れられないが持ってしまった以上、非核化を目指しつつ「北朝鮮の核との共存」のシナリオを考えることである。長期化も予想できる。日本にとっては考えたくないシナリオであるが、米韓は駐韓米軍への核装備を議論し始めたと報道されている。朝鮮半島では印パ関係のように核による均衡ができたとしても、それは日本にとっては安心できる状態なのか?それで良しとするのか、または、日本も核武装すべきと考えるのか?その際も、米軍基地への核配備とするのか、自国の保有とするのか?自国の保有の場合、アメリカから買うのかまたは開発するのか?
または、大どんでん返しで、北の核保有を受け入れ、国交を開くのか?その場合のアメリカとの関係はどうするのか?
今の硬直状態が続くとき、もはや現実逃避は不可能である。北朝鮮に対して日本の抑止力はどうあるべきなのか、目の前の現実の問題として日本独自で考えて決める時代がついにやってきた。日本ではタブーとされてきた議論が必要になる。
私が書いていることも平和ボケの一種ではないかと恥ずかしいところもありますが書いてみました。
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