燐太郎(@redphos15)です。
今週、本屋で立ち読みしていて気になった本をまとめていこうと思います。
1.歴史系
(1)「全世界史」講義Ⅰ 古代・中世編:教養に効く!人類5000年史
「全世界史」講義 I古代・中世編: 教養に効く!人類5000年史
- 作者: 出口治明
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2016/01/18
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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「歴史の流れを掴む」系の本。
この人の本、最近少し立ち読みするようになったけれど、博識だなぁ。文体も親しみやすく、好きだと感じる。
中身はそんなに読んでいないが、今ちょこっと勉強しているアッシリアについての記述が比較的詳しく、嬉しくなった。
「教養に効く」というタイトルについては、うーん……「効く」って何なのか。本がまるでサプリみたいに扱われているのが気になる。でもまあ、売れそうなタイトルだ。
(2)逆説の日本史〈1〉古代黎明編―封印された「倭」の謎
逆説の日本史〈1〉古代黎明編―封印された「倭」の謎 (小学館文庫)
- 作者: 井沢元彦
- 出版社/メーカー: 小学館
- 発売日: 1997/12/01
- メディア: 文庫
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「学校で習う歴史」だけが歴史の見方ではない、ということを最初に教えてくれた本。
大学受験の頃に少しだけ読んで、感銘を受けたのを覚えている。
今読むと、どう見えるかな。
(3)世界史 II──人類の結びつきと相互作用の歴史
「ウェブ」というキーワードで世界史を解釈する試み。
このキーワードを見て思い出したのは、「物事は、流れが良くなる方向に進化していく」という「コンストラクタル法則」のこと。
マクニールの言う「ウェブ」も、このような「流れ」の類の話かな、と思った。
「コンストラクタル法則」についてはこの本で知った。
この理論についても詳しく学びたいが、それにはサイエンスに関する知識が不足している。 現在、積ん読中。
(4)史的唯幻論で読む世界史
心理学者が書いた、独自の歴史観に基づく世界史の本。
「史的唯幻論」とは、マルクスらの「史的唯物論」と対概念として提出されたものだろう。
よく読んだわけではないので、あまり自信はないのだが、
- 「史的唯物論」においては、「経済」が「政治・宗教」などを規定する。
- 「史的唯幻論」においては、逆に「政治・宗教(=幻想)」が「経済」を規定する。
ざっくりした理解では、このような違いだったと思う(でもこれ、要は『プロ倫』の構造と同じじゃないのかな?)。
この本に関心を持ったのは、「素人が、自分なりに構築した歴史観」を表明している本だから。
これは、今僕がやろうとしている試みと同じ。参考になる部分があると思う。
(5)新しい中世 相互依存の世界システム
帯に書かれた文句は、「国境」は薄れゆき「マネー」が世界を支配する、だった。
これは、日頃感じていること。
仮想通貨の流行は、国境が消えていく流れの一貫だと感じられる。
しかし、今はうまく頭の中を言語化できない……。
(6)新しい世界史へ――地球市民のための構想
大学の時に授業で課題図書になった本。
「世界共通の歴史なんて無理だ」と思って、そこまで真剣に読まなかった覚えがある。今もその考えは変わらない。
しかし、「自分自身にとっての歴史」とは別に、「共通認識としての地球史」があってもいいのかもしれない。「学校で習う歴史」のようなものとして。
だが、「人類共通の地球史を作ろう」ということになれば、その歴史を一部の国や民族にとって有利なものにしようとする工作は、必ず行われる。
そんなことになるくらいなら、バラバラの歴史がいくつもある今の方がいい、と思ってしまうが、うーん、この発想もどうなのかなぁ……。
2.その他
(1)社内政治マニュアル
ハーバード・ビジネス・レビュー公式ガイド 社内政治マニュアル
- 作者: カレン・ディロン,金井真弓
- 出版社/メーカー: ダイヤモンド社
- 発売日: 2017/08/31
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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「嫌らしい名前だなぁ」と思いつつ、まあめちゃくちゃ気になるので、とりあえず目次を流し読み。
内容は、タイトルから連想してしまうような嫌らしいものではなさそうだ。
要は「様々なタイプの人間がいる中で、うまく上司や同僚と付き合っていくにはどうすればいいか?」という本、という印象を受けた。
読むべきポイント
「害になる上司・同僚」をある程度パターン化し、その対処法についてまとめられている。
特に、新入社員や若手社員には推奨できる。「これから訪れる苦しみ」を先取りして擬似体験する上ために非常に有用だと感じた。
「対立」の3パターン
また、本書では、社内に出現する「対立」を3類型に分けている。
- 意図の違い
- 認識の違い
- 個人的スタイルの違い
要するに、
- 何がしたいのか?
- 仕事の内容をどのように理解しているか?
- どんな風に仕事を進めたいか?
これらが違ってしまうと対立が生じる……という話なのだろう。個人的な経験からしても納得できる。
不愉快さを感じる相手と出会った時は、「あいつと俺は、どうして衝突するのだろう?」と分析するために、この3パターンを照らし合わせてみればいい。
人知れず買うべし
ただ、この本を買っているところを人に見られていいことはない。目をつけられ、告げ口され、足を引っ張られることは目に見えている。
よって、購入する際は遠くの書店へ出向くことを推奨する。
(2)私が語り伝えたかったこと
ユング心理学の専門家、河合氏の本。
この人の本は好きだ。本を手にした時に「あ、これいい本だな」という感触がよく伝わってくる。自分の気に入る本は、読まずとも触った瞬間にわかることがある。
河合氏は、よく「神話」や「古い物語」について書いている。
『イリアス』『オデュッセイア』を読んだのも、『ヘッセの読書術』の影響のほかに、河合氏の話を理解できるようになりたかったから、という動機もある。
『源氏物語』も途中まで読んだが、図書館に続きの巻がなく断念している……。
僕は「ユング心理学」に昔から興味を持っている。「集合的無意識」の存在を信じたいのかもしれない。深く学びたいテーマのひとつだが、一歩間違えるとオカルト化しそうなので、なかなか踏み込みにくい。
「シュタイナー神智学」も同様。こちらの方がオカルト度はかなり上だが。
しかし、人は理性のみで生きようとすると、苦しくなる。心の安定のために、オカルトが必要だ。そういう人間もいる。
オカルトに惹かれるのは、ブーバーが言うところの〈われ−なんじ〉の関係性への憧れが反映されているような気もする。
一方、理性は〈われ−それ〉の関係性だ。理性でのみ物事を捉えようとすると、いつか破綻する気がする。
(3)教養としての社会保障
どこかで強く勧められたので、覚えていた本。パラパラめくってみたが、確かに良さそうだった。
社会保障の問題は、日本の今後を考える上で避けて通れない。
例えば、誰がどのように保障費を負担していくのか、という問題。
老人が「社会保障の削減反対!」と叫んでいるのを見ると、「誰の金で支えると思ってんだ?」と感じてしまうのは、よくないことだろうか……。
「誰もが平等に、文化的な生活を」という理念はわかる。素晴らしい。その理念に対して何も言うことはない。
しかし、「できること」と「できないこと」の境界を見定めなければ、質の良い議論にならない。「可能行動」を列挙しなければ、適切な行動を決心することはできない。妄想を抱いて突っ走るのは危険すぎる。
かつて、ある経済学者が言ったように「クールヘッド・ウォームハート」こそが重要だと思う。
この本を読めば、社会保障の議論をするための基礎知識を得られるだろうか。
今すぐにではないが、いずれ読んでみたい。
以上、9冊の紹介とちょっとしたメモでした。