2017-09-24

なろう系の長編と、1クールアニメ相性の悪さと、今後のアニメ化

書いている内にすごく長くなっちゃいました

2017年アニメで「小説家になろう」発でアニメ化された作品は下記のような作品がある

(※ 2017年アニメの一つであるゲーマーズ!』も「なろう」ではない別のところとは言えWeb小説発とも言える作品になるが、継続してWeb執筆が続けられた作品ではないし、ここでは分かった上で除外してしましたと、一応ツッコまれない程度の知識開陳しておく)


異世界食堂』は連作短編作品なので、1クールアニメ構成する上では非常に楽な作品だっただろう。

連作短編アニメにはなっていないエピソードもまだ多く残っていて、登場していないキャラクターもまだまだ多い。

原作の方でも「常連」と言われるようなキャラはまだ他にもいて、アニメではその全員が登場したわけでもない。

この辺りの判断監督判断してエピソードを絞り、アニメ放送する上で必要最低限のキャラエピソードをチョイスしたのだろう。

常連キャラには中堅・ベテラン声優を配して、複数話に登場するようにして、うまくバランスを取ったシリーズ構成物語を仕上げたと思う。

ちなみにキチンとアニメを観ていた人は気付いたかと思うが、アニメ監督シリーズ構成脚本も兼ねて担当し、かつ全12話の脚本執筆された作品でもある。

なので他の作品ではたまにあることだが、OPEDには登場しているが、アニメでは登場しなかったみたいなキャラクターがなかった理由の一つにもなっているかと考えている。

異世界食堂』はニコニコでは動画での一週間無料公開なく有料で、無料ニコニコ生放送のみの配信となってしまったが、毎回アンケートでは90%以上の高いアベレージの高評価を保ち、最終回は97.0%の高評価で終りました。

評価だったので円盤が売れる……と短絡的にイコールにはならないこともありますが、評価が売上にも繋がることを期待したいと思います


ナイツ&マジック』は長編作品になるが、今回のアニメ化に際して物語というか、小説的な描写にかなりの圧縮を施されたかと思う。

大原さやかによるナレーションにより、幻晶騎士(シルエットナイト)の細かい製作過程や、敵国との関係や動き、アニメで描くと面倒が色々なところが必要最低限に圧縮されて視聴者提供されたと思う。

原作ストーリーの違いが見られるところも少しあったが、ほぼ大筋は変わらないし、1クール全13話で切りのよいところでまとめるとなると、こういう形になるかと思われる。

シリーズ構成であるベテラン横手美智子の手腕が大きく影響したのではないかと。

これを書いているのは最終回放映当日。最終話はかなりガンダム意識したところが多く、オマージュ要素を読み解くのが楽しいエピソードでした。

幻晶騎士3DCGによる戦闘シーンの描写は、マクロスアクエリオンなどで慣れた「サテライト」によるものなので、なかなかの迫力のある仕上がりだったと思う。

1クールアニメ作品としては悪くなく、むしろ良作以上の出来になっているので、これも円盤が売れて欲しい作品だと思っています


……で問題の『異世界はスマートフォンとともに。』になりますが、自分放送からこの作品は1クールにまとめるにはかなり難しい作品だと思っていました。

そもそも原作がかなりの大長編作品で、「なろう」の方の原作では大きな区切りとなるところはありますが、HJノベルスから出た今月発売お最新10巻の方でもそこまで達していません。

仮に今のアニメ放映のペースで(自分が切りがよいと思っているところの)区切りまで持っていくとなると、もう+1クールでも多分足りず、+2クールの全36話分ぐらいは必要になるんじゃないかと思っています

なのでストーリー的には半端なところで終わるかと思われる作品ですが、そういう意味合いも込めて、出来として考えると余り上手な作品ではないと思います

そもそも問題として大長編作品を1クールにまとめる困難さがあると思います

とりあえずはアニメ異世界はスマートフォンとともに。』の出来を論ずるよりは、今回のこの問題を抱えている可能性のある作品にも言及した方が建設的なのではないかと思います


今後「なろう」発のアニメ化が予告されている作品がいくつか発表になっています

自分が知らないだけで他にもアニメ化公表されている作品があるかもしれませんが、とりあえずこの四作品を並べました。

(※ 2017年末に何か発表予定のある『ありふれた職業世界最強』も、アニメ化されるのかもしれません)

(※ 二期製作決定が発表されている『オーバーロード』は既にアニメ化されたということで外しました)


異世界居酒屋「のぶ」』は、同じ系統の『異世界食堂』が好評だっただけに、比べられる後発の苦しさのようなものがあるかもしれません。

ただ同系統、つまり連作短編なので、ストーリーを1クールにまとめるのならば比較的楽な作品になるかと思います


自分としては問題作だと考えているのは、『デスマーチからはじまる異世界狂想曲』です。

正直言ってストーリー構成の面から考えると、『異世界はスマートフォンとともに。』と同じような問題を抱えていると思います

まり1クールにまとめるのなら着地点は中途半端。かと言って、2クールでも全く足りない。

仮に4クールやっても終わらないんじゃないかとか思うほどすごく長いし、区切りの難しい作品です。

明確な区切りという点では「なろう」の方のオリジナルを読んだ限りは、『異世界はスマートフォンとともに。』よりも今のところはハッキリしてなく、大筋のストーリーをずっと継続している感じです。

主人公目的の一つが「この異世界観光したい」なので、ある意味で終わりのないロードムービーをずっと続けている作品という側面があるかもしれません。

その為、区切りという観点から考えると、主人公の行動や目的が終わりのある明確ではないので、それが区切り邪魔をしていると思います


盾の勇者の成り上がり』はもしかすると1クールなら、そこそこまとまる可能性はあるような気がします。

書籍版の4巻〈ISBN:9784040663210〉、コミックスの8巻〈ISBN:9784040691541〉までを区切りと考えると、1クールの尺に収まるようにストーリー構成することはそこまでは難しくないかも知れません。

俯瞰的ストーリーをなぞると要所要所で強敵が登場するので、うまく区切っていけば、1クールでも二期に繋げるようなストーリー展開も可能物語だと思います


そして変な意味ネット上ではネタ枠扱いもされている『賢者の孫』ですが、凄く強引にストーリー圧縮してまとめれば1クールで完結しちゃう可能性があるような気がしま(笑)

自分が読んだ限りは「なろう」の方の原作もまだ完結していませんが、ラスボス戦は近いので、それさえ終わればストーリー的には完結してもおかしくはないかと思います

作品的にキャラはそれほど多くなく、作中の(強くなる為の成長要素を加える為の旅的な)移動も多くないし、最初から強い無双系の主人公で、ストーリーシンプルな感じなので、もしかすると構成次第では1クールで強引に圧縮してまとめることも可能ではないかと思いますが、『賢者の孫』という作品を知っている方々はどう考えますか?と問いたいところ。

良い意味で言えばあっさり、悪い意味で言えば薄っぺら物語作品……と言っちゃうかもしれないので、もしかしたらアニメオリジナルな大きな改変を入れたりする作品に仕上がる可能性もあるかもしれないと書いておけば、もし当たらったら予想的中とちょっと自慢できるかもしれないので続く駄文






……でここまではあくまでも前提で、ある意味やっと本題に入ることになります

自分問題視した大長編の『異世界はスマートフォンとともに。』と『デスマーチからはじまる異世界狂想曲』がなぜ1クールアニメとしてまとめるのが難しいのか、その問題を少し考えたいと思います


自分意見になりますが、主人公最初から無双できるぐらいに異常に強いことが問題じゃないかと思っています

なぜかと言うと、登場する敵よりも主人公の方が強いので、多少の強敵撃退することが物語区切りになりづらく、物語のものの盛り上がりになっていないというストーリー構造的な弱点になっているのです。

主人公が多少の苦労するぐらいのてこずりでは、命の危機に追い詰めらるほどの切迫感がないので、主人公の成長を余り感じず、物語区切りにもならないのではないかと考えます

異世界はスマートフォンとともに。』と『デスマーチからはじまる異世界狂想曲』では、自分が読んだ範囲になりますが、自分と同格以上の強敵と相対するようなことがありません。

多少てこずることはありますが、ちょっと別の手札を使えばあっさり解決みたいなパターンが多いと思います

「なろう」の異世界での無双パターンで、「無限収納四次元ポケット系)」「レベルMAX(もしくはレベル上限なし)」「瞬間移動(転移どこでもドア系)」「鑑定&スキル学習能力魔法)」「トンデモ錬金」(強さには直接は繋がらないが「和食ではなく日本での食知識による無双」も定番の一つ)あたりの能力定番ですが、これらの能力複数持っていると強さに限界がないので、ドンドン強くなっていきます

特にデスマーチからはじまる異世界狂想曲』は多分書籍版の12巻以降ぐらいか主人公の強さ(というか正確には能力)も極まってくる設定になってしまい、『ドラゴンボール』で言えばパターン化した展開である悟空は仲間が強敵と戦っている間は別のところにいるので遅れて登場するということが多々ありましたが、この作品でもそれを踏襲というはおかしいですが、そんなパターンを何回かやっています

主人公転移能力を持っているので、ある意味ではすぐに仲間のいる現場に来れるのだが、その辺りをどうにか回避、もしくは遅延させる為に、色々な状況を作り出すのに苦労している描写垣間見ます

穿った読み方をしたい方は、その辺りの描写を見つけて楽しむという変な方法があることを記しておきます


話が飛びそうになったので閑話休題

例を挙げて考えると、「なろう」発のアニメ作品であるRe:ゼロから始める異世界生活』は物語全体で考えると、中盤に「王選」という主軸となりそうなストーリー提示されましたが、アニメストーリーの終わり方を考えると、「王選」には結局のところ多少の同盟的な繋がりと、主人公意思を味方と敵に認めさせるぐらいのことしか目的としては達していないと思います

ただしストーリーの抑揚というか、物語の浮き沈みから見ると、主人公は中盤に絶望どん底に落ちるが、そこから這い上がって復活し、そして強大な敵を倒してヒロインを救ったことで、根幹のストーリーは余り進んでいないが、主人公の大きな成長をみせたところで終わったので、印象的には凄く区切りの良いところで終わった感じのアニメ作品になったかと思います

まあ1クールではなく、2クールというそれなりの尺を使ったことも大きいと思いますが、物語にキチンとした起伏があるからこその区切りとなったと思います


まり自分と同格以上の強敵中ボスラスボスを倒すようなシチュエーションを作り出していない作品は、区切りがないように感じると思います

ひと昔前だと、原作ありのアニメ化作品の中にはたまに、1クール枠の終盤に原作にはないアニメオリジナル強敵が出現し、それを倒して終わりを飾る作品結構あったかと。

しか継続連載している「なろう」の作品だと、アニメオリジナルラスボスキャラが登場するような事態は、話に齟齬が出来る為かそういう展開に持っていくことを避けている傾向を感じます

その辺りが足枷になっているし、原作物語の展開を兼ねて考えると、そういう展開にもできないジレンマかもしれません。


ここで視点を少し変えて、原作が完結している「なろう」系の作品ならアニメ化可能か?という問題提示したいと思います

「なろう」発の作品で、アニメ化が発表されておらず、かつ書籍版が100万部以上売れている作品自分が知っている範囲では二作品あります

無職転生
https://twitter.com/mushoku_tensei
転生したらスライムだった件
http://micromagazine.net/gcn/slime/

アニメ化した上でシリーズ累計100万部以上売れればヒット作品と呼べる言われる世界異論はあるかと思いますが一つの分かりやす基準として)。

作品ともに文庫ではなく、単価の高いソフトカバー出版されている作品で、まだアニメ化していないのにも関わらず、現時点でこれだけの売上を誇っています

これだけの売上を誇っていればアニメ化の噂も聞こえてくるかと思いますが、2017年秋の時点ではまだそれらしい話は入ってきません。

その理由は今までここで考察している通り、1クール枠では中途半端なところまでしか描けない問題を抱えているからではないかと思われます

もしもの話ですが、仮に2クール枠を用意できたとしても、書籍版の方はまだまだ出版が続いていますが、オリジナルであるなろう版はストーリーが完結している作品です。

これだけの売上を誇っているのなら、アニメ化ブーストもかかり更に売上は倍増し、ラストまでのアニメ化を期待するファンも多くなると思います

ソフトカバー書籍版だと20巻ぐらいにはなるかと思われる大長編なので、ファンが多くなればなるほど、更にアニメ化した上での目指す先がかなり高い場所になっているジレンマがあるのかもしれません。


この二作品ストーリー俯瞰すると、自分考察になりますが、『転生したらスライムだった件』より『無職転生』の方がアニメ化ハードルが高い気がします。

これはネタバレに近いところに触れますが、『無職転生』のエンディングはよくあるパターンラスボス撃破してのエンディング……という感じでは終わっていないからです。

しかすると書籍化にあたり、この辺りに大きく手を入れて修正する可能性は高いかもしれません。

それを別に考えても、前半はかなり波乱万丈なストーリーになっているので、キチンとストーリー区切りの良いところはどこだろうと考えると意外と難しいので、ストーリー構成結構練らないとアニメ化するにはかなり高いハードルがあると思います


転生したらスライムだった件』の方は書籍化に際して、オリジナルであるなろう版には登場していない新しい中ボス級の敵が登場し、大きく違っているところが。

かなり設定が変わっているキャラもあるので、その辺りのストーリー全体の構成の見通しが立たない限りは、アニメ化は難しいのではないかと思っています

逆に言えば2クール枠が用意できるなら、そこそこ切りの良いところである書籍である6巻か7巻(もしかしたら10巻の可能性も)あたりまで、アニメ化するようなプロジェクトが動いていたりするかもしれません(いい加減な期待値を込めた予想です)。


編集の手が入らず自由に書かれた「なろう」の大長編作品は、アニメ化する上ではかなり難しいものが多いのかも。まだ文章あるが文字数限界以下略――

無双展開で

  • anond:20170924223519

    長いってレベルじゃねえぞ

    • anond:20170924223850

      オタクの文章は、読ませる気がない

      • anond:20170924223949

        増田とかいう便所の落書きみたいな場所とはいえ こうも身も蓋もない長文を開陳するにまでなると特殊性癖よな。

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