「投げたのお前んちゃうん?」
「そやね、じゃあごめんなさい」
「取れや、取れや、責任取れや」
「なんで?自分のボールやろ?」
「俺らのボールや。だから、お前が投げたんやからとんねん」
「で?だからどうして?」
「は?」
「それ義務があるん?」
「あるある」
「どこに?」
「じゃあお前らのチャリ畑捨てていい?俺取りにいかんで」
「もちろん俺らは抵抗するで」
「どう抵抗するん?」
(両手の拳を叩きつける)
(拳を掲げる)
「拳で」
(嘲笑)
以下略
このような内容の動画が「ツイッター」に投稿された。どうやら、投げられたボールについて言い争っている様子だ。青文字は二人組の青年のうちの一人で、赤文字は複数人の中高生と見られる集団だ。動画には二人組の青年が映し出されている。この青文字の人物の言動が「笑える」と反響を呼び、この動画は現在7万RTを越え、現在も拡散され続けている。中には「コラ画像」や「コラ動画」、さらには音声素材を用いて作曲を行うユーザーまで現れ、流行は収まる気配を見せない。
ここまでなら、"いつものツイッター"である。決して良い流れであるとは言い難いし、プライバシーに関わる問題でもあると思うが、流行した動画が(無断撮影であれ)面白おかしく創作されるのは、何もツイッターに始まった事ではない。しかし、今回は訳が違った。
「炎上」→「個人情報特定」の流れに本人が介在しなかった
大抵、炎上と言えば大体は炎上した本人に原因があり、更にそこに炎上者が煽るような形で言及し、ネットユーザーの怒りを買って個人情報を特定されてしまうケースが多い様に見える。
しかし今回は、炎上した本人はSNSアカウントを持ってないし、もちろん自分から個人情報を公開出来るはずもない。だが、漏れ出してしまった。彼の「名字」と、「出身校」、更に彼の「彼女」の写った動画までもが漏れ出してしまった。いったいなぜだろうか。
もはやネットリテラシーは関係ない。「元」同級生から漏れ出す恐ろしさ
今回漏れ出した個人情報は、「元」同級生がリークしたものだった。リークされた動画は炎上者とその彼女が、記念写真を撮っているものだった。更に別の呟きでは、炎上者とその彼女と思われる人物の名字がリークされていた。
念を押して言うが、今回炎上者はSNSアカウントを持っていないし、ましてや炎上するつもりもネットで有名になる気もさらさら無かったであろう。
度々各所で「ネットリテラシー講座」が開かれている。しかし、その内容は薄っぺらい物だ。大抵の場合、炎上する原因と、どのような事に気を付けてネットを利用すればいいか、は教えられる。しかし、「炎上したらどうなってしまうか」、この部分を実例を挙げて説明されるケースは少ない。大抵は全く知らない無名の俳優が出演する、よく分からない教育ビデオを見せられる。リアル感もあったもんじゃない。
それに加えて、今回の様な「ネットを利用していなくても炎上するケース」について、全く触れられていない。
まだまた足りなさ"すぎる"「ネットリテラシー」の教育
炎上したらどうなる?個人情報が拡散される?就職がしづらくなる?そんなに現実の炎上は甘くない。住所を特定されれば、そこに訪れる人もいる。ピンポンダッシュだけならまだいい方だ。中には車のナンバープレートを剥ぎ取られたり、庭の植物に除草剤を撒かれたり、ドローンで家を空撮されてネット上にばら撒かれるケースもある。酷い物になると、GoogleMapで家の住所を勝手に「朝鮮総連」の支部と設定され、「ネット右翼」に突撃される例もある。こうした事実は多くの「ネットリテラシー講座」では教えられない。ただ、「住所が特定されてしまう」。この一言のみである。
そんな危険性が、「ネットを利用していなくても孕んでいる」、こんな大事なこと、教えてくれるネットリテラシー講座が今までにありましたか?あったら教えてください。是非ここで紹介したいです。
更に言えば、炎上した側がこうした被害に遭うならば、特に罪も無いのに炎上させてしまった側は何も責任が無い、そんな上手い話はない。今回、最初に動画を拡散してしまった者は言うまでもなく民事上の法的リスクが伴うだろうし、個人情報を拡散した者も同じだろう。リアルに実害が出たとなれば、充分裁判に持ち込める材料となる。
今後もインターネットの規模が拡大していく中、「ネットリテラシー」と言う初歩的で最も難しい問題が、日本に立ちはだかっている(よく分からないまとめでごめんなさい)