社員を追い詰める「自爆営業」の横行
ノルマを達成できないと社員自身に買わせるなど、昔から残る風習でもある自爆営業。今やパートやアルバイトなど非正規社員でさえも某コンビニにおいて季節性商品を買わせるなど深刻な問題。
更新日: 2017年01月26日
ノルマを達成できないと社員自身に買わせるなど、昔から残る風習でもある自爆営業。今やパートやアルバイトなど非正規社員でさえも某コンビニにおいて季節性商品を買わせるなど深刻な問題。
更新日: 2017年01月26日
■「恵方巻」の販売ノルマ ネット上でアルバイト店員の悲鳴相次ぐ
ネット上で、コンビニなどでも販売される「恵方巻」の、販売ノルマを課せられて悩んでいるというアルバイト店員の書き込みが相次いでいる。NHKニュースが報じた。
「ブラックバイト」の相談を受け付けている労働組合の窓口には、「恵方巻」だけでなく、クリスマスケーキやおせちなどの販売ノルマに関する相談が毎年寄せられている。中にはノルマが達成できなかったぶんを給料から天引きされたり、やむをえず自らが買い取ったりしたケースもあるという。
■今年も「自爆営業」の被害相次ぐ 「おせちに2万3000円」「彼女なしもXケーキ強制購入」
ノルマ達成のため、社員やアルバイトが不要な商品を買わされる「自爆営業」。ブラック企業やブラックバイトが問題となり、年々意識は改まりつつあるが、それでもなくならないのが実態らしい。クリスマスを今週末に控え、ネット上では今年も「自爆営業」にまつわる悲鳴が聞こえてきた。
この時期、毎年話題になるのがクリスマスケーキにまつわる自爆営業だ。ツイッター上では、12月中旬からコンビニやスーパーなどのバイト先でケーキを予約させられた、という声が続々と出ている。
「バイト先で強制的にクリスマスケーキ買わされた。彼女いないのに買う意味ないでしょww」 「コンビニでバイトしてる弟が強制的にイベント系の物(今だとクリスマスケーキとか)買わされるって言ってるんだけど、コンビニバイトってほんと経営者くそだな」
他にも、来年の正月用のおせちの予約を強制されたという人も。
「なんでおせちに2万3000円も払わないといけないのよ?社員は強制で買わせるとか意味わかんないし、売れないんだったらおせちなんて辞めればいいんだ」
厚生労働省が2015年に実施した調査では、コンビニでバイトする学生の11.6%が「商品やサービスの買い取りを強要された」と回答している。学生のアルバイトですら、10人に1人が「自爆営業」を経験しているという結果になった。社員や大学生以外のアルバイターも含めるとかなりの割合の人が「自爆営業」を強要されている可能性がある。
こうした「自爆営業」は、法律に違反する場合もある。「強要罪」として、3年以下の懲役に処される可能性もあるという。また、給料から商品代金を天引きすることも労働基準法24条に違反する可能性があり、働く人としては職場で自爆営業を要求されてもすぐに鵜呑みにしないことが肝要のようだ。
学生なら「親に相談します」と言うのも有効
首都圏青年ユニオンによると、「自爆営業」にまつわる相談は一年を通して寄せられるが、この時期にはクリスマスケーキやおせち、年賀状についての相談が増えるという。
「クリスマスケーキやおせちの場合が多いですが、他にも、郵便局員が、年賀状を買い取らされたという事例もあります。大量に買い取った年賀状を金券ショップやチケットショップに転売するため、こうしたショップにはたくさんの年賀状が並びます」
こうした「自爆営業」を強いられそうになったらどうすればいいのか。首都圏青年ユニオンの担当者は、「断ることができなければ、とりあえずその場では返事をしないように」と注意を促す。
「嫌と断れればそれが一番いいです。しかし難しい場合には、その場で返事をしないようにして下さい。『ちょっと考えさせてください』といって返事を先延ばしにしたり、学生であれば『親に相談します』と言ったりして曖昧にしておきましょう」
記録を残しておくことも大切だ。ICレコーダーで録音できればよいが、それができなかった場合もその日のうちにメモを取っておくと後で役立つという。
もはや風物詩となりつつある「自爆営業」が、なくなる日はくるのだろうか。
■エステティックTBCに労基署から「是正勧告」 休憩時間ほぼゼロ、残業代未払い 自爆営業も
エステ業界大手「エステティックTBC」の福岡県の店舗に3月4日、労働基準監督署から是正勧告が出された。十分な休憩を与えず、従業員を長時間働かせた上、時間外労働に対する賃金も支払っていなかったという。
3月14日、当事者の一人である女性従業員が、東京・霞が関の厚生労働省記者クラブで会見し、「早く誰もが安心して働ける環境を作りたい。TBCには、子供がいても働きやすい会社になってほしい」と訴えた。
是正勧告の内容には含まれていないが、女性はTBC内で「自己購入」と呼ばれる、店舗の売り上げ目標をクリアするための自社商品の自腹購入も問題視している。強制ではないが、断りきれない雰囲気があったといい、購入額は多くて月4、5万円、少ない月でも1万円前後あったそうだ。女性は約15年間で化粧品など自社商品を200万円以上購入したという。
「目標というプレッシャーの中で働いていて、自己購入をほとんど毎月していました。それで辞めていくスタッフや体調を崩すスタッフもいてつらかった」
女性は現在、精神疾患で休職中。2013年11月から休職前の2015年9月までの未払い残業代は、約280万円になるといい、エステ・ユニオンを通した団体交渉で支払いや労働環境の改善を求めていくという。
弁護士ドットコムの取材に対し、TBCの広報は「勤怠管理のシステムも含め、事実関係を確認している。コメントは差し控えたい」と話している。
■「ノルマ達成できなかったから恵方巻きを買わされた」
節分に恵方(幸運を招く方角)を向いて太巻きを食べる、「恵方巻き」の風習。もともとは関西地方で行われていたローカルな文化だったが、今では全国のスーパーやコンビニで大々的な「恵方巻きフェア」を見かけるようになった。
だが、こうした「恵方巻商戦」の裏で、大量に廃棄される売れ残り品が問題になっている。商品の販売期限を迎える16年2月3日深夜から4日未明にかけて、ツイッター上には、全国のコンビニ店員から「恵方巻きの大量廃棄」の報告が数十件も寄せられた。
「私の働いてるコンビニでは恵方巻きが49本廃棄になりました」
「26万円分の廃棄 二度と恵方巻き見たくない」
「恵方巻きの廃棄えげつなかったwww84個wwwwww」
「恵方巻きのみで合計価格13万以上の廃棄が」
ツイートの多くは画像つきで、大量の恵方巻きをゴミ袋にまとめて廃棄する様子などがおさめられている。さらに、「ノルマ達成できなかったから恵方巻きを買わされた」「恵方巻きのノルマさばけずに困ってる」といった投稿も見つかった。
こうしたネット上の報告の通り、大量に売れ残る恵方巻きを押し付けられるケースは本当にあるのだろうか。労働組合の「首都圏青年ユニオン」はJ-CASTニュースの取材に、
「恵方巻きの『販売ノルマ』を、コンビニのオーナーが従業員に強要する例は少なくありません。従業員が買い取りを強要されているという相談も、数年前より徐々に増加しています」
と答えた。社員だけでなく、アルバイトであっても販売ノルマが課されるケースも存在したという。
首都圏青年ユニオンは、こうした問題が発生する背景には「コンビニ業界の歪んだ構造がある」と指摘する。今回のように大量の廃棄品が出てしまうのは、店の発注ミスではなく本部からの厳しい売上目標が原因だというのだ。
こうした状況に追い込まれたオーナーが、少しでも売り上げを確保するために取ってしまうのが、「従業員に対して販売ノルマを設定し、売れ残り品を無理に買い取らせる」という方法なのだという。実際、厚生労働省が15年11月に発表した意識調査の結果によると、コンビニでバイトする学生の11.6%が「商品やサービスの買い取りを強要された」と回答している。
恵方巻きを巡る今回の問題について、大手コンビニエンスストアの広報部に問い合わせたが、「前年と比べて廃棄量に大きな変化はありませんし、需給を見越した発注を心掛けているつもりです」との回答だった。また、従業員の商品買い取りといったノルマ問題に関しては、「そのような事態は把握しておりません」という。
■「自爆営業」を強要された…どう対処すべき?
各地の郵便局員が「年賀はがき」などの販売ノルマを課され、それを達成できない分を自腹で購入する、いわゆる「自爆営業」について、日本郵政が根絶を目指すとしながら、いまだに実現できていない実態が報道されていました。
この、いわゆる「自爆営業」の横行は、日本郵政に限ったこととは思われませんが、会社が従業員にこれを強要することには、法律上どのような問題があるのでしょうか。
当然のことですが、会社が堂々と規則を設けて、販売ノルマを達成できない従業員に商品の自腹購入を強制するようなことは、違約金の定めや、損害賠償額を予定する契約の禁止(労働基準法第16条)に反し、許されません。
また、会社が、販売ノルマを達成できない従業員に対し、自腹での購入をしないことを直接の理由として、解雇や雇止めをすること、また、賃金その他の労働条件について、不利益な取り扱いをすることも、当然許されません。これは堂々と会社の規則で設けられていなくとも、販売ノルマを達成できない従業員にペナルティを課すなど、諸々の事情から事実上、強要があったとみなされる場合も同様です。
すなわち、理屈の上では「自爆営業」の強要は明らかに違法です。しかし、中には違法であることを知りながら、従業員を「自爆営業」に追い込んでいく会社もないとは限りません。
そこで、実際に「自爆営業」を強要され商品を自腹で購入してしまった場合、従業員はどう対処したらよいのでしょうか。
まず、上記のように購入行為自体が労働基準法に反するといえるので、購入行為(会社と従業員との売買契約です)について公序良俗(民法第90条)に反し、無効を主張できます。また、会社による事実上の強要を立証することで、強迫による契約の取消を主張することができます。この場合、当初から遡って購入行為はなかったことになるため、購入したことにされた商品分の代金の返還を会社に求めることができます。
事実上の強要(いわゆる「パワハラ」です)があったということで、商品の代金のみならず慰謝料について、会社に対し損害賠償請求することも考えられます。購入させられた商品の分量が不相当に多いようなケースでは、それ自体で会社による黙示的な強制があったとして不法行為を立証できる場合がほとんどだと思います。
現実の訴訟において、このような損害賠償請求がなされた場合には、会社側として「一部の管理職が独断でそのような強要をしたかもしれないが、会社としては一切関知していない」という反論も想定されます。しかし、会社には従業員の職場環境について管理責任がありますので、そのような反論は到底成り立たないでしょう。
■ABCマート社員が悲鳴 自腹購入も
靴販売チェーン「ABCマート」の店舗で、従業員に月112時間もの違法な残業をさせた疑いがあるとして、東京労働局は同社を労働基準法違反容疑で東京地検に書類送検することを決めた。
今回は従業員数名の残業過多という話だが、一部従業員たちからは「もっと内情を暴露すべき」という不穏な声も上がっている。
「残業というか、ハナから勤務時間は朝から真夜中までという感じです。店の接客で入ったのにそれ以外の雑務が多すぎて、残業なしに帰ることは不可能。でも、問題は残業だけじゃなく、売り上げノルマを達成できないと会社の商品を買わされること。年収240万円しかないのに、そこからさらに不要な靴やスプレーを買わないといけないのは、涙が出るほどつらい」(勤務2年半の20代社員)
この状況から察するに、今後「ABCマート」の従業員から、ほかにも問題の告発が続発する恐れはある。
■自爆営業が起きている現場では、高い確率でパワハラ
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