都心部から郊外まであらゆる場所で、日本の夜間経済が縮み始めている。人口が減る以上、一定の内需減退は仕方ないとはいえ、夜の産業の縮小は“理論値”を上回る。夜は誰も消費してない!!──。そんな「日本の夜」を縦断リポートする。
明治政府が北方開拓のため設置した行政機関「北海道開拓使」が1871年、札幌市南4・5条と西3・4丁目を遊廓地帯と指定したことをきっかけに生まれた「ススキノ」。現在も約1平方キロメートルの区画に4000以上の“飲食・サービス業”が集積するこの150年近い歴史を持つ歓楽街で今、中国語学習ブームが起きている。
「中国語学校? ススキノでそんな所にわざわざ通うやつなんていないよ。今はITの時代だから、スカイプを使うんだわ」。地元で老舗風俗店を複数経営し、中古車販売業と合わせて事業年商は約20億円だというA氏はこう説明する。
A氏が2016年以降、従業員たちに実践を義務付けているのは、スカイプの通話機能を活用し現地の講師とマンツーマンで話す「オンライン外国語教室」だ。英語版では07年設立のレアジョブが有名。中国語版でも、レッスン数・講師数で日本最大級のドントコイ(東京・港、川崎亨代表、08年設立)など様々な業者が存在し、月額4800円(週末25分プラン)といった格安料金で授業が受けられる。
日経ビジネス2017年9月25日号 28~33ページより