3D空間のビジュアルノベル『NECROBARISTA』プレイレポート。新しい表現なのかどうか?

ビジュアルノベルとは、基本的には手描きでのキャラクターの立ち絵と背景に、画面下のメッセージ枠にて登場人物の会話や主人公のモノローグを重ねていくことでシナリオをすすめていく形式が一般的だ。ところが、そんな構成を組み換えようとする野心的な作品が東京ゲームショウ2017で公開されている。『NECROBARISTA』はビジュアルノベルの約束事を少し変えることで独自性を出そうとしている。

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ある地下室。大勢の人間がぐるりと取り囲んでいるのは、机を挟み、ナイフを持って向かい合う一組の男女だった。女性の名前はマディ。丸い眼鏡が目立つ彼女は不敵な態度で坊主頭の男キーシャンと、指と指の間に素早くナイフを突き立てていくナイフ・フィンガー・ゲームを行っていた。

緊張感が走る地下室の空間に、縦横無尽にテキストが配置される。メッセージ枠を排し、テキストがシーンに合わせてさまざまな形で配置されるという、通常のビジュアルノベルとは別のデザイン性を意識した画面作りも本作の魅力だ。

決着。しかし、プレイヤーはここからが探索の本番になる

とはいえ、3DCGで構成されていることも、メッセージ枠を排して自由な位置に文章を配置していることも、要所でムービー演出があることも、過去のビジュアルノベルと比較して別に珍しいものではない。もっとも独特なのは、ナイフ・フィンガー・ゲームの決着がついた後の空間を“一人称視点”で探索することになるシークエンスだ。この瞬間のこの場所で、マディは、キーシャンは、何を思っていたのか。そして観客たちは何を注目していたのか。プレイヤーはそれを探索することができる。

筆者はビジュアルノベルにまるで『Gone Home』のようなウォーキング・シミュレーターの要素が入っているのではないかと感じたのだが、製作者にお話をうかがうと、その意見は違うと否定された。むしろ影響を受けたのは『極限脱出 9時間9人9の扉』だという。その他、ビジュアルのスタイルに関しては『ゼルダの伝説 風のタクト』のトゥーンシェードを意識していることなども話してくれた。製品版ではこのゲームシステムを軸に据えつつ、プレイヤーの選択次第でシナリオがさまざまな形で分岐していくデザインにしていく予定だそうだ。

『NECROBARISTA』はTGS2017インディーゲームコーナーのROUTE 59のブース(9-B23)にて展示中。2018年にSteam, Nintendo Switchでのリリースを予定。公式サイトはこちらから。

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