21.他人への不快な感情は「子供のイメージ」でオフにする
誰かに不快な感情を抱くと、私たちは冷静な判断力を失いがちです。それが仕事に関係する相手なら、仕事に悪影響を及ぼしかねません。そんなときは1分だけ相手が5歳の子供だったころをイメージするようにします。
そしてその子供の姿こそが相手の真の姿であり、今もその本質は変わっていないと信じましょう。そうすれば不快な感情はオフになり、その相手と仕事をしようというモードに切り替わります。
22.アイディアが欲しいときはぼーっとする
ワシントン大学の研究によれば、私たちの脳のパフォーマンスは何か行動をしているときよりも、ぼーっとしているときの方が記憶や価値判断に関する部位の活動レベルが高くなるのだそうです。
これは他の活動に使われていた脳の血流が、考える作業に向けられるため。したがってアイディアが欲しいときはむやみに考え込むのではなく、ぼーっとするのが正解なのです。
23.「10秒コマンド」メモでダラダラ休憩を防ぐ
「ちょっとだけ休憩したい」と仕事を中断したものの、なかなか仕事への集中力が戻らない。そんな経験をした人は多いのではないでしょうか。
これを防ぐ習慣が休憩前に残しておく、休憩から戻ったときにスムーズに仕事を始められる10秒で終わる作業メモ(「10秒コマンド」メモ)です。このメモで頭が仕事モードに切り替われば、そのまま休憩前にしていた作業にスムーズに戻れます。
24.人間関係に疲れたら、職場の植木に水をあげる
動植物とのふれあいは精神的にも落ち着きを取り戻し、かつ脈拍や血圧などの正常化にもつながります。「人間とのやりとりに疲れたら、人間以外のものと触れ合ってみる」というのはいかにもバカバカしく聞こえますが、実はきちんと効果のある習慣なのです。
25.余裕がないときは1人になれる場所で1分間目を閉じる
仕事が立て込んで余裕がなくなり、イライラしたりパフォーマンスが下がったりしているときは、外部からの情報を完全にシャットダウンできる環境を作ることが最優先です。
場所は社屋の屋上でも、トイレの個室でも、どこでも構いません。そこで1分間目を閉じて、自分の呼吸音だけに意識を集中させましょう。そうすることで脳が休まり、気分を一新できます。
26.謝罪前には「謝る練習」をする
誰しも謝罪は気が進まないもの。なぜならたいていの人は謝罪に慣れておらず、しかも下手な謝罪をするとさらなるトラブルに発展する可能性があるからです。「謝る練習」をきっちりしておくと謝罪をする自分のイメージが固まるので、「謝罪不足」の問題を克服しつつ、覚悟を決めることができます。
27.ため込んだメールは「すぐ返せるメール」から返信する
ひとつひとつは簡単に返信できるメールでも、何十通とたまれば手をつけるのが億劫になるもの。そういうときはまず数を減らしましょう。最初に「確認しました」などの簡易な返信で済むもの、次に定型文で済むものを返していきます。
このときのポイントは新しいものから順に返信すること。古くなるほど「何のメールだったか」の判断に時間をとられてしまい、やる気を削がれてしまいます。とにかく数を減らすことに集中しましょう。ある程度数が減れば、他のメールへの重い腰も上がります。
28.落ち込んだときはとりあえず笑ってみる
感情は手足の動作によってもコントロールできますが、表情によってもコントロールできます。「落ち込んだときはとりあえず笑ってみる」はまるで人口に膾炙したセリフのようですが、マンハイム大学の実験を始め、多くの心理学実験で効果があると実証された感情コントロール術なのです。
仕事でうまくいかないとき、プライベートで嫌なことがあったとき、まずは笑顔を作るところから始めてみましょう。
29.寝る前の「一息20秒の深呼吸」で仕事モードをオフにする
次の日にも仕事が控えていて、疲れているのに目が冴えてしまう。そんな夜は誰にでもあります。このようなときに仕事モードをオフにする方法が「一息20秒の深呼吸」です。
深呼吸のリラックス効果はいまさらいうまでもありませんが、東邦大学医学部の研究によれば1分間に3〜4回のペースで深呼吸をした際に、リラックス状態を示すα波が増加し、脳が休まる兆候が見られるとされています。このことから一回の呼吸に20秒程度かけるのが最もリラックス効果の高い深呼吸であるといえるのです。
30.朝からスイッチをオンにする「運動×41℃のシャワー×38〜40℃の風呂」
朝に息が上がるくらいの運動をすると脳への血の巡りが良くなり、仕事モードを一気にオンにできます。ここに41℃くらいの熱めのシャワーを浴びると、活動時に活発になる交感神経が刺激されてさらに脳のパフォーマンスを引き上げることができます。
さらに38〜40℃のぬるめの風呂にしっかり浸かると、同じ温度帯のサウナやシャワーよりも筋疲労を軽減できます。この状態で仕事にいけば、脳も体も元気な状態で仕事に臨めるというわけです。
もちろんどれか一つでも効果があるので、できそうなものから取り入れてみてください。ちなみに朝の運動には短時間で高強度の運動になる「HIIT」がおすすめです。
31.「5分休憩」より「1分スクワット」
ちょっとしたリフレッシュのために5分程度の休憩をとる人は多いと思いますが、リフレッシュをするなら下半身の筋肉の大半を使うスクワット運動も効果的です。
座っていると悪化しがちな下半身の血流を改善できるうえ、全身の血流も良くなるので頭がすっきりします。正しいフォームで、4秒間かけてゆっくり沈み、また4秒間かけてゆっくり元の場所に戻る。これを7〜8回繰り返せばおよそ1分の短時間で効果的にリフレッシュできます。
32.仕事を始める前に飲むもの・食べるものを決める
仕事を始める前には必ずブラックコーヒーを飲む。ナッツを食べる。そのようにして仕事を始める前に飲むもの・食べるものを決めておくと「アンカリング」を作ることができます。
アンカリングとは認知バイアスの一種で、五感情報をきっかけに特定の条件反射が起きるプロセスを指します。つまりブラックコーヒーやナッツの味や香り、食感などと仕事を意図的に結びつけておくことで、自動的に頭が仕事モードに切り替わるようになるのです。
33.本番前はあえて「不安」を書き出す
シカゴ大学の実験によれば、試験10分前に試験についての不安を書き出させると、それをしない場合と比べて成績がアップしたという結果が出ています。
これは不安を書き出すことによって、不安を感じるために使われている脳のワーキングメモリが解放され、脳のパフォーマンスが高まるからです。これは試験以外にもプレゼンや面接でも有効で、自分の不安をきっちり認めてやることで落ち着いて本番に挑むことができます。
34.残業に入る前に「社内散歩」をする
なんの切り替えもなく就業時間から残業時間に入ってしまうと、ついダラダラと仕事をしてしまいがちです。これを防ぐための習慣が残業前の「社内散歩」です。
これは「アクティブレスト」といって、体を動かしながら疲れを取る休憩方法にならったもの。血行が改善されるとともに座り続けて凝り固まった筋肉がリラックスし、頭もスッキリします。また散歩途中に出会った人と話すことで、抱えている仕事のヒントを得たり、普段はできない情報交換をしたりと、思わぬ効果も期待できます。
35.イヤなことがあったらトイレに行く
仕事をしていれば多かれ少なかれイヤなことがあります。そんなときいつまでも落ち込んでいると、仕事の効率が落ちるばかりで何もいいことはありません。
それを防ぐには「落ち込んだ気持ちを切り替える習慣」を作る必要があります。トイレに行って目を閉じたり、手を洗ったりするのはそうした習慣の一例です。他にも顔を洗う、歯を磨く、うがいをするなど、水を使ってさっぱりすると、落ち込んだ気持ちを切り替えやすくなります。
36.集中が切れたときの「ルーティンストレッチ」
15で「集中し続けると疲れてきて、背中が丸まって猫背になりがち」だと書きましたが、この状態を改善する方法として凝り固まった筋肉をほぐすストレッチも挙げられます。
ストレッチは血行を改善するので脳のパフォーマンス回復にもつながりますし、肩こりなどで痛みを感じる人は筋肉をほぐせば改善する可能性があります。しかしどんなストレッチをするかでいちいち頭を使ってしまうと、さらに脳を疲れさせてしまいます。
「首をゆっくり回す→肩をゆっくり回す→足首をゆっくり回す」などの単純で覚えやすいルーティンをあらかじめ作っておくようにしましょう。
37.企画書が書けないときは仮の「タイトル」「節の番号」から書く
私たちの脳には「空白の原則」といって、空白があるとそれを埋めたくなる習性があります。不確定なものを確定させて安心したいという心理です。
この心理をいつまでも書けない企画書に応用したのが、仮の「タイトル」「節の番号」から書くという方法です。ここまでできたら次は思いつくキーワードやフレーズで、空欄を少しずつ埋めていきます。
すると全体の大まかな流れができていきます。ここまでできればあとは肉付けをしていくだけなので、最初の頃よりは格段に手がつけやすくなっているはずです。
38.気が進まない仕事は「その仕事で喜ぶ人の顔」をイメージする
やりたい仕事ややりたくない仕事という認識はあくまで自分の目線からの価値判断です。それでは自分が「やりたくない」と思えば、その仕事はやりたくない仕事になってしまいます。
しかしその仕事によって喜ぶ人の顔、例えば上司や同僚、客先や家族の顔をできるだけ多くイメージすれば、「誰かのための仕事」に変わります。すると自分の目線は傍に置いて、誰かのために打ち込めるようになります。
39.プライベートの心配事は「全部紙に書き出す」
33でも見たように、心配事を頭の片隅に置いていると脳のワーキングメモリが無駄遣いされて、目の前の仕事にも支障をきたします。これを防ぐための習慣が「全部紙に書き出す」というものです。
しかしただ全部紙に書き出しただけでは、場合によってはその紙とにらめっこを始めてしまいます。全部心配事を書き出したら、それをカバンなりデスクの引き出しなりに物理的に片付けてしまいましょう。
すると不思議なほど頭がスッキリして目の前のことに集中できます。紙に書き出した心配事は目の前の仕事が終わってから検討すればいいのです。
40.しのごの言わずに「やり始める」
実は私たちの脳は「考えるより先にやり始める」性質を持っています。生理学者の実験によれば、動作を準備するための脳からの信号が、動作を意識する脳の信号よりも、350ミリ秒早く送られていたことがわかっています。
これはもっと時間的に長い動作でも同じで、「勉強のやる気が出たからやり始めた」のではなく「やり始めたから勉強のやる気が出てきた」が科学的には正しい、というわけ。しのごの言わずに始めること。それが仕事モードをオンにするための究極のソリューションなのです。
仕事モードを自由自在に切り替えよう!
筆者はここに挙げた40個の大半を実践していますが、経験上同じ習慣を長期間続けていると徐々に効き目が薄れてきます。そのためストックとして別の習慣もメモしておいて、効き目が薄れてきたら習慣を変えるという方法をとっています。
もともとなかなか仕事モードをオンにできない人間でしたが、随分改善されています。みなさんも生活の中に取り入れてみて、ダラダラ仕事におさらばしましょう。
■参考文献
『スタンフォード大学の超人気講座 実力を100%発揮する方法』
- 1
- 2