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グノシー(Gunosy)
歴史あるスウェーデンの珍味として知られる一方、世界一臭い食べ物、致命的に臭いと名高い発酵系缶詰界のドン、シュールストレミング(ニシンの塩漬け)のすさまじさは日本でも有名だが、先日アメリカのメディアが現地を訪れ、その缶詰工場を直接訪問した動画が話題になっている。
周辺300mにわたって独特の発酵臭を漂わせ、スウェーデン人の中でも好き嫌いがくっきり分かれる伝統的保存食を作るシュールストレミング工場。そこではどのような作業が行われているのだろうか?
それじゃあちょっくらちょいと、その工場に潜入してみよう。動画でな。
Inside the World’s Smelliest Factory
スウェーデンの珍味シュールストレミングの工場を訪問
スウェーデンの北部ノールランド地方メーデルパッドに位置するSorakerの町に、オスカーズという缶詰製造工場がある。
工場から300mほどまでシュールストレミングの臭いがするそうだ
image credit:youtube
その工場は強烈な臭気を放つことで有名なスウェーデンの珍味シュールストレミングを専門に作っているのだ。
昔ながらの製法で作られるニシンの塩漬け
内部に入るとその臭いはさらに強烈で、従業員たちは鼻に栓をしながら作業するほどだ。だが厳しい臭気とはうらはらに、調理法は単純だという。
スウェーデンの人々の間で古くから作られているシュールストレミングは、豊漁だったニシンを貴重な食塩で保存するために生まれた食品だ。その歴史は中世以前にまでさかのぼり、かつては軍の食糧としても重宝された。
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メインの食材は北部のバルト海で春に獲れる旬のニシン。作り方は頭を落とし内臓を取り除くなどして下処理したニシンに薄い塩水を加え、樽の中で8~10週間漬け込む。
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そして発酵が済んだところで缶に詰める。たったそれだけ。ただしその作業は手で行う。
なお発酵は春に行い、缶に詰めるのは夏だ。その時期にはおよそ20人ほどの若者たちが刺激的な臭気を出す魚を缶詰に加工する。
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つまりそこには缶詰何千個分ものシュールストレミングがあるわけで、作業場には想像を絶するほどの臭いが漂うことになる。
最初の一年は試行錯誤。現場の作業は鼻栓必須?
従業員の一人であるニーリーは、7年前から毎年夏にこの工場で働いている。彼女は一年目の夏は鼻の下にタイガーバームという軟膏を塗ったが、あまりの刺激臭で鼻の下に湿疹ができたという。
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強い臭気対策として鼻に紙や栓をする女性もいる。そうすれば作業は問題なくできるそうだ。
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どれ一つとして同じ味はない。より良い品質を心掛ける工場
親子二代にわたりオスカーズに勤めているジャン・セーデルシュトレームは、常に品質向上のため試行錯誤をしているという。
シュールストレミングの製法は確かにシンプルだが、すべてが単純なわけではない。同じ作り方でもそれぞれの樽の魚の味は微妙に異なるため、工場ではすべての樽の味をチェックする。
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ジャンは均一かつ高品質のシュールストレミングを常に目指している。もちろんこれまでもそうした基準を満たしていると自負しているが、改善の余地は常にあるという。
臭いが強烈でも慣れ親しんでいる人々の地方の味
この珍味は臭いがきついだけでなくかなり塩辛いため、スウェーデンの人の間でも好みが別れるそうだ。
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だが、缶から出してそのまま食べるのではなく、他の具とともにパンに乗せて食べれば臭いも緩和されておいしくいただけるという(個人差あり)
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臭気指数計ではくさやの6倍以上というシュールストレミングも、現地では地域により慣れ親しんだ食材として食卓にのぼっている。日本の納豆同様、なじみのない人には受けつけ難いこの食品も彼らにとっては欠かせない伝統食品なのだろう。
via:laughingsquid/greatbigstory/wikipediaなど / translated by D/ edited by parumo
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