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講義No.08420

シェイクスピア作品は、なぜ時代や国境を超えて人々を魅了するのか?

シェイクスピアの魅力とは

 ウィリアム・シェイクスピアは、16世紀末から17世紀初めに活躍したイギリスの劇作家です。400年以上も前に書かれた作品にもかかわらず、世界中で上演され、鑑賞されています。イギリスでは、書かれた当時の時代設定ではなく、現代の社会・政治状況を背景に、現代の服装の登場人物が、シェイクスピアの戯曲を演じる舞台が主流です。例えばハムレットは、イギリス・ルネサンス時代の王子さまの姿ではなく、ニットの帽子とジーンズ姿で登場したりします。シェイクスピアの作品は、なぜ時代や国境を超えて人々を魅了するのでしょうか?

SNSに見るシェイクスピア作品

 シェイクスピアの作品には、現代にも通じるところが多くあることが魅力の1つです。では日本ではどのように受け入れられているのでしょう?
 現在では、イギリスで上演された舞台を、日本でも鑑賞することができます。「ナショナル・シアター・ライヴ」や「ブラナー・シアター・ライブ」などのコンテンツは、イギリスで上演された舞台を映像に撮り、映画館で上映することで、まるで舞台を見るようなライブ感を実現したものです。これらを鑑賞した人々はツイッターやフェイスブックで、意見や感想を盛んに発信するので、それを追跡することで、シェイクスピア作品がどのように受け入れられているのかの一端をとらえることができます。SNSを演劇の受容の研究に活用するのは、これまでにはなかった新しいアプローチと言えるでしょう。

社会とつながりながら学ぶ

 また無料のオンライン百科事典「ウィキペディア」を活用することで、新しい学びのアプローチをすることもできます。例えば、英語版のウィキペディアのシェイクスピアに関する記事を日本語に翻訳してアップロードすれば、翻訳の力の向上とともに社会的な貢献ができます。もちろん、Web上での公開が前提ですから、翻訳には質と責任が求められます。このように、演劇や文学研究においては、新しい学びの方法も試みられているのです。

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あなたも書ける、シェイクスピアの翻訳記事

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この学問が向いているかも 文学、英文学、舞台芸術史

武蔵大学
人文学部 英語英米文化学科 准教授
北村 紗衣 先生

先生の著書
メッセージ

 シェイクスピアの研究というと、ただ、座って文献を読むというイメージを持つかもしれません。しかし、私のゼミでは、実際にシェイクスピアを読みながら、お芝居の中で登場人物がどのような動きをするのかなど、演出家のような視点で読み進めることもあります。
 また、シェイクスピアに関するウィキペディアの記事を作ることもあります。そうすることで、実際に行動し、手を動かし、社会にもつながるようにしています。あなたも、文学を読む時は、いろいろなことを考えたり、動いたりしながら、活動的に読んでみてください。

先生の学問へのきっかけ

 シェイクスピア作品に初めて出会ったのは中学生の時に映画館で見た悲しい恋の物語、『ロミオとジュリエット』でした。その映画の「キラキラした夢のような世界」にひかれるとともに、「ミステリアスでわからないな」と感じたところもありました。
 同じ頃、シェイクスピアの戯曲の翻訳本をもらっていたので読んでみると、「わからない」と思っていた疑問が少し解消できたのです。ちょっとしたことがわかるだけで面白くなることを実感し、「シェイクスピアの世界をもっと知りたい」と思うようになりました。それ以来、研究を続けています。

先輩たちはどんな仕事に携わっているの?

文化産業/観光業

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北村 紗衣 先生がいらっしゃる
武蔵大学に関心を持ったら

 武蔵大学は「自立」「対話」「実践」の3つの目標を掲げ、旧制七年制高等学校から続く伝統の少人数教育は「ゼミ・演習」というかたちで堅持されています。「ゼミの武蔵」ともよばれる本学では、経済・人文・社会の3学部すべての学生が、1年次からゼミに所属します。10数名の少人数で、学生が主体となって発表・討論を繰り返しながら学ぶ「ゼミ」は、知識を深めるだけでなく自主性やコミュニケーション能力を育むことができます。このようなきめ細かな教育により、「面倒見が良い大学」としても高く評価されています。