※「モビプレップ」及び「MOVIPREP」はNorgineグループの登録商標です。
※モビプレップ®の正式名称は「モビプレップ®配合内用剤」です。
モビプレップ®の開発の経緯
「MOVIPREP」は欧州NORGINE 社により開発され、2006 年8月に米国SALIX 社から大腸内視鏡検査前処置用の腸管洗浄剤として発売されました。2007年1月以降、英国、ドイツ、スペイン、フランス、オランダ、ベルギー、ルクセンブルク等のEU 諸国にて発売され、2013 年1月の時点で1440 万例以上の患者に使用されています。
従来のポリエチレングリコール(PEG)電解質製剤は腸管からの水分や電解質の出入りがほぼ同じになるように高分子のPEG と電解質が調整された等張性の製剤であるのに対し、「MOVIPREP」は、PEG、電解質及びアスコルビン酸類からなる製剤で、高張とすることで少ない服薬量で同等の腸管洗浄作用を示します。
「MOVIPREP」は海外臨床試験で従来のPEG 電解質製剤及びリン酸ナトリウム製剤との非劣性が確認されています。
本邦では、2008 年より味の素製薬株式会社(現EAファーマ株式会社)で「モビプレップ® 配合内用剤」*として開発を開始し、2011年に大腸内視鏡検査前処置に対するニフレック® 配合内用剤との比較臨床試験を行った結果、非劣性であることが確認され、2012 年12 月に製造販売承認を取得しました。
*モビプレップ® 配合内用剤は有効成分にマクロゴール4000 を使用。
モビプレップ® の特徴
特徴
- 高張性の経口腸管洗浄剤です。
- 経口腸管洗浄剤(ニフレック®配合内用剤)に比較して服薬量が少ないです。**
- 経口腸管洗浄剤(ニフレック®配合内用剤)との腸管洗浄効果において非劣性が認められた。臨床試験における腸管洗浄効果の有効率は98.6%(215/218 例)でした。
- 国内臨床試験の大腸内視鏡検査前処置において、総症例280 例中32 例(11.4%)に4 0 件の副作用(臨床検査値異常を含む)が認められ、主なものは悪心7 例(2.5%)、AST(GOT)増加6 例(2.1%)、尿中蛋白陽性5 例(1.8%)、ALT(GPT)増加3 例(1.1%)、腹痛、嘔吐、発疹、白血球数増加各2 例(0.7%)であった(承認時) 。 重大な副作用として、ショック、アナフィラキシー、腸管穿孔、腸閉塞、鼡径ヘルニア嵌頓、低ナトリウム血症、虚血性大腸炎、マロリー・ワイス症候群が報告されています。(0.1%未満)
組成とバッグの特徴
モビプレップ® は、A剤(マクロゴール4000、電解質)とB剤(アスコルビン酸類)とが隔壁で仕切られたプラスチック容器で構成される二室タイプの製剤です。
使用時にはA剤とB剤の成分を混合・溶解して、1液として使用してください。
組成
A剤(白色粉末)
塩化ナトリウム 5.382g 塩化カリウム 2.03g 無水硫酸ナトリウム 15.0g
マクロゴール4000 200.0g (1袋:244.212g中)
B剤(白色~黄白色の粉末)
アスコルビン酸 9.4g L-アスコルビン酸ナトリウム 11.8g (1袋:244.212g中)
なお添加物として、アセスルファムカリウム、サッカリンナトリウム水和物、香料を含有しています。
プラスチックバッグ外観
モビプレップ® 服用方法
大腸内視鏡検査の説明や検査における注意点、モビプレップ®の飲み方の説明などを動画で詳しく解説します。
服用方法
のどが渇いた場合には「水またはお茶」を飲んでください。
- 飲んでもよい水分
- 水( ミネラルウォーターも可)、お茶( 煎茶、番茶、ウーロン茶、麦茶)、紅茶( 砂糖・ミルクは不可) など
- 飲んではいけない水分
- スポーツ飲料水、乳製飲料( 牛乳、飲むヨーグルト)、ジュース類、アルコール類、砂糖・固形物が入っている飲料など
服用例
モビプレップ®1.5L 服用した時点で、排泄液が透明になった場合
調製方法
モビプレップ® は1袋全量を水に溶解し、約2L の溶解液とした後投与してください。
また、隔壁が完全に開通し、小室の薬剤が残っていないことを確認した後投与してください。
調製の際は、容器を外袋から取り出し、以下の図のように取り扱ってください。
調製・投与時の注意点
- モビプレップ®は1袋全量を水に溶解し、約2L の溶解液とした後投与すること。また、プラスチック容器の隔壁が完全に開通し、小室の薬剤が残っていないことを確認した後投与すること。
- 溶解後速やかに使用することが望ましいが、やむを得ずすぐに使用できない場合は冷蔵庫内に保存し、48 時間以内に使用すること。
- モビプレップ®を溶解させた後に他成分や香料を添加した場合、浸透圧や電解質濃度が変化したり、腸内細菌により可燃性ガスが発生したりする可能性があるため、添加しないこと。
- モビプレップ®は、高浸透圧にすることで総服薬量を減らすように設計されている。腸管から排出された生体内の水分を速やかに補給するためにも、モビプレップ®溶解液の服用は2 回に分け、それぞれにおいて服用後に服薬した量の半量の水またはお茶を飲用すること。
- モビプレップ®溶解液を約1Lを投与しても排便がない場合には、腹痛、嘔気、嘔吐のないことを必ず確認し、服用を継続させること。
2Lを服用しても排便がない場合は、医師等に連絡させるよう指導すること。 - 糖尿病用薬を服用している患者には、検査前日のモビプレップ®溶解液の投与は避けること。
検査終了まで食事を摂ることができないため、食事制限による低血糖を起こすおそれがある。
糖尿病用薬の服用は、検査が終了した後の食事摂取後から行うこと。
服用における注意点
モビプレップ® を自宅で服用させる場合
- 患者の日常の排便の状況を確認させるとともに、前日あるいは服用前に通常程度の排便があったことを確認させ、排便がない場合は相談するよう指導してください。
- 副作用があらわれた場合、対応が困難な場合があるので、一人での服用は避けるよう指導してください。
- 用法を遵守し、必ず2L に溶解して服用するよう指導してください。
- 飲み始めのコップ2~3 杯目までは、特にゆっくり服用させ、アナフィラキシーの徴候に注意するよう指導してください。
- 消化器症状(腹痛、嘔気、嘔吐等)やショック、アナフィラキシーの副作用についての説明をし、このような症状があらわれた場合は、服用を中止し、直ちに受診する旨を伝えてください。
また、服用後についても、同様の症状があらわれるおそれがあるので、あらわれた場合には、直ちに受診する旨を伝えてください。 - 脱水を起こすおそれがある患者には、本剤の投与前(例えば検査前日夜や検査当日の朝など)や投与後にも、水分を摂取するよう指導してください。
また、服用中も口渇時には、水分を飲用しても良いことを説明してください。