たとえば映画『えんとつ町のプペル』の脚本。

一通り書き終えると、今度は一変、アンチ側に立ち、「粗探し」「あげ足取り」の作業に入る。
「この部分、成立してなくね?」「ここ、説明臭くね?」といった、せっかく作り上げた自国にテストミサイルを撃ち込むような自慰行為だ。

作業部屋に籠って、何十個、何百個…とケチをつけて、その都度、修正。
その作業を何度も何度も繰り返して、今度はアンチ側に立つスタッフさんを増やして、また、同じ作業を繰り返し、徹底的に磨きをかける。
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戦略的に残しておく「粗」(僕らは「フック」と呼んでいる)はあるが、見落としている「粗」を無くす。


これは何も脚本執筆に限った話ではなくて、サービスを作るときや、アクが強めのアクションを起こす時も同じ。

「それだと、○○が被害者になってしまうじゃん!」
という"ケチ"をバンバン募集し、修正していく。
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世間にリリースする前に、子供を集めて、テスト画面を見せて、子供ミサイルをブチ込んでもらうこともあるし…
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世間にリリースする前に、スタッフ100人がかりで、ケチをつける会を開催する時もある。
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ときどき、フルボッコに遭う。
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全てのツッコミを受け、そして修正し、
戦略的に残しておく「粗(フック)」については、その説明を求められた時に、完璧に返せるように準備・訓練しておく。
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「西野さんは、よく世間から叩かれていますが、メンタルがやられることはありませんか?」

こういった質問を、よく受けるんだけど、
リリース後に受けるバッシング(ツッコミ)は、リリース前のテスト段階で、僕かスタッフさんかチビッ子が出したツッコミがほとんどで、想定内のツッコミが何十万、何百万個飛んできても、「それはね…」と説明できる準備ができているので、当然、体制が揺らぐことも、気持ちが揺らぐこともない。

ツッコミの場合は、「数」ではなくて、「質」が問題で、想定外の(テスト段階で出なかった)ツッコミが飛び込んできた時に、きっと僕らはオロオロする。

なので、たとえば今年で言うと、絵本『えんとつ町のプペル』を無料公開をした時に、「クリエイターが食いっぱぐれるだろ!」
「『お金の奴隷』とは何事だ!汗を流してお金を貰う人間を侮辱しているのか!」
といった声が星の数ほど届いたが、それはもうテスト段階で「こういう声が届くよね」という『ツッコミの候補』に入っていたので、日本中がお怒りになっても、何も問題はない。

こういう話をすると、すぐに「炎上を狙っている!」「炎上商法だー!」と騒ぐバカが大量発生するんだけれど、まさか「炎上させて、商品を売ってやろう」とは微塵も考えていなくて、たとえば無料公開の時でいうと、「まもなく無料公開が販売戦略の主流になるから、ここを受け入れないと、全員くたばると思いますよ」という提案だ。

その提案に「のる・のらない」は好きにすればいいし、僕は他人に時間を使いたくないので、他人の哲学に、干渉も、強要もしないし、争うつもりも一切無いが、想定内のミサイルを飛ばしてきたら、それは撃ち落とす。
ときどき、議論を無駄に長引かせることで生きようとする人がいて、そういう人の場合は無視するけど。


世の中を変えようと思うなら、バッシングは付き物だ。
既得権益で生きている人達がいて、世間の声の主導権は、その人達が握っている。
挑む人は、そういう条件の上で挑むわけだ。

その時、世間に叩かれて、気持ちがヘニャンと萎れてしまう人は、メンタルが弱いのではなくて、今回記事にした部分(予想できるツッコミ)の準備を単純にサボっているだけだ。

ただの準備不足。
メンタルには1ミリの問題もない。

ライオンの檻に飛び込んで、ライオンに噛まれて、「メンタルがやられた…」と嘆いているような奇妙な言動に見える。
噛むよ、ライオンだもの。

檻の中に飛び込もうとする人達は、
「ライオンがどういう感じで噛んでくるか? 」
「それに向けてどういった準備をしておく必要があるのか?」
それらを知っておく必要があって、そういったことを全て書いている『革命のファンファーレ ~現代のお金と広告~』という次代のサバイバル本がまもなく発売となります。

場合によっては、発売直後に『在庫切れ』で、なかなか手に入らないということもあるので(前作『魔法のコンパス』は猛烈な在庫切れにより、発売後1ヶ月間はまともに手に入りませんでした)、今のうちに予約しておいてくださいな。

以上、地獄的なステマでした。


【Amazon】
【Kindle版】



【お知らせ】
「キングコング西野が『えんとつ町のプペル』を読み聞かせするイベント【無料】」

▼日時
2017 年9月 23 日(土) 19:00~20:00(18:30 開場)
▼開催場所 :
シネマサンシャイン平和島
(東京都大田区平和島一丁目1番1号 BIGFUN平和島A館4階)
▼参加方法
140 名(先着順) 
※17:00よりシネマサンシャイン平和島劇場入口にて、入場整理券を配布いたします。
▼お問い合わせ
BIGFUN平和島 03-3768-9090(受付時間 9:30~18:00)