2017年09月23日

ドラクエ11は、ほぼ期待通りの「絶対にドラクエでないと出来ないゲーム」でした

【ネタバレアリ】この記事には、ドラクエ11のネタバレが含まれます。裏ボスまでクリアしていない方には、折りたたみ箇所以降のこの記事を読むことを推奨しません。お気をつけください。


ドラクエ11(3DS版)を裏ボスまでクリアしました。



先に所感を書いてしまいますと、私自身は大変楽しめましたし、「ドラクエで、まだこんなに「すげえ!」と思わされるとは」と正直びっくりしました。

つい先日も、「さすが」と「まさか」の二つの軸について書きましたけど、私にとってドラクエって、どちらかというと「さすが」のシリーズだったんです。元々ある程度期待値が高くって、その期待値を大体はクリアしてくれて、「さすが大作のシリーズ、細かいところでよく出来てるなー」と感心する、というような。期待値と、その期待を裏書きされることが気持ちいいシリーズ。


皆さんは、「ドラクエの新作」と聞いた時、それに対して何を期待しますか?


私自身の話をすれば、

・制限と解放の気持ち良さ、世界が広がる時の気持ち良さ(参照:ドラクエにおける「世界が広がる瞬間」という話、あるいは11を遊ぶ前に書いておきたいこと
・丁寧なバランスコントロールと成長バランス
・よく考えればそれ程難しくない、けれどプレイしている間は意外と必死になる程度の絶妙な戦闘難易度
・随所随所に練り込まれた「ドラクエ的」な小ネタ

こういったところについては、ドラクエに対してかなりのクオリティを期待します。

一方で、ドラクエは昔から、シナリオ的にはそこまで作り込まれず、対象年齢層を考えれば児童小説や童話の軸に近いので、例えば「練り込まれた設定、緻密なシナリオ展開」とか「感動的な、泣ける展開」みたいなものは、少なくとも私は全く期待しません。

ドラクエという物語は、「よく出来た児童小説」として考えるべきだ、と私は思っています。「児童小説にめっちゃ練り込まれたゲームシステムがついてきた」という感覚で、私はドラクエというゲームを捉えています。

で、上記期待したような内容は、今回のドラクエは完全に、100%満たしてくれていました。この点文句は全くありません。


・ゲーム展開と共に、最初は狭く、ある段階から一気に広がっていく世界観
・「不思議な鍛冶」を軸として、工夫すれば工夫する程強くなれる、けれど絶妙に破綻しない成長バランス
・やり込むという程鍛えていないキャラクターたちに、そこそこの高さのハードルを提供してくれる敵ボスとダンジョン

文句なし。この辺については、ドラクエ11は実に「よくできたドラクエ」であって、スキルであーだこーだ悩む楽しさ、武器をあーだこーだ迷う楽しさといった副次的な楽しさも含めて、大変楽しませて頂きました。この辺、「さすが」の面白さだと私は感じたのです。あと、戦闘時のAIが4の頃に比べるとめっちゃ頭よくなったよなあ…と思いました。

で、今回私が「まさか」と感じたのは、「これでもか」と言わんばかりのシリーズファンに対するファンサービスでした。


以下、折りたたみます。


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とにかくですね、今回過去作のオマージュがあちらこちらにこれでもかっていうくらい詰め込まれているんですが、その質と量が、本気で物凄いクオリティなんですよ。

お前、これお前なーー!ここまでなーー!シリーズタイトルの正規スタッフがここまで!ここまでやるかーーー!?

と思わず叫びたくなるくらいに。

とにかく、今までの歴代タイトル(特にその中でもDQ3)に対する愛が、これでもかというくらい詰め込まれていて、これ本当に心底のドラクエファンが開発メンバーとして今回のタイトルに参加したろうと思える程なんです。

これは、こればっかりは。この密度と質のシリーズオマージュ、それによるファンサービスばっかりは、ドラクエくらい「共通する文法」と「連鎖する世界観」を積み上げてきたシリーズでしかできないだろうなーと。


例えば、ドラクエ6。シエーナのドガとボガによる値引き競争。あるいは、ディーネから受け取るマーメイドハープ。

例えば、ドラクエ5。時間を越えて、幼少の頃の自分に出会う主人公。あるいは、ヘンリーの「あいかわらずカエルは苦手なのか?」という言葉でヘンリーの正体に気付く兵士。

例えば、ドラクエ4。武術大会で戦うことになるビビアンやミスター・ハン。滅ぼされる主人公の故郷。

例えば、ドラクエ8。船出直後に戦うことになるオセアーノン。

そしてなにより、「ロト伝説」であるドラクエ1から3。クリア後にフィールドで流れる「冒険の旅」も、ホムラでのあれやこれやも、女王の愛も、16歳の誕生日も。裏ボスの闇の衣をはがした後なんて、やっぱりかーーー!!やっぱりそうくるかーーー!!って叫んじゃいましたよ。

個人的にはなにより、ケトス覚醒シーンが本当に、「あ、このシーンだけの為にドラクエ11買ってもいいわ」っていうくらい鳥肌でした。ベロニカとセーニャが「ときは来たれり」って言った瞬間の、あの衝撃は本当に忘れられません。

念を押しておきたいんですが、これら、決して「過去作からちょい借りしてきたファンサービス」というわけじゃなくて、きちんと全てが浮かないように、ドラクエ11世界の中にきちんと作り込まれてるんですよ。「知ってないと楽しめない内輪ネタ」ではない。知らなければ知らないで、きちんとドラクエ11のエピソードとして無理なく受け取れるようになっている。決して「単なるファンサービス」で終わっておらず、きちんと「最新作としての面白さ」を兼ね備えている。

これが、単なるオマージュの域を超えた、「絶対にドラクエの積み重ねの中からしか生まれない、ドラクエならではの恐るべきファンサービス」だと私が感じた所以なんです。時渡りの迷宮にせよ、あのスタッフロールにせよ、「ドラクエでなかったらこうは作れねえよな」と思ってしまう訳なんです。

ドラクエが本気で過去作オマージュをやるとこうなるのか…!という点で、私はドラクエ11に「まさか」を感じました。こればっかりは、ドラクエシリーズを追いかけてきてよかったとしか言いようがありません。

特に、クリア後のドラクエ11は実質ドラクエ3なので、「11というのは実は二進数表記だったんだよ!!!」と強く主張しておきたいと思います。


まあ勿論、細かくアラを挙げれば挙げられないこともないんですが、今回は本当にこれでもかというくらいの「ドラクエの集大成」を見せて頂いたので、それだけで正直満足です。

ここから、「次のドラクエ」が一体どんな展開を見せてくれるのか、まったくもって楽しみでなりません。期待して待ちたいと思います。


長くなりましたが、今日書きたいことはそれくらいです。



posted by しんざき at 00:24 | Comment(0) | レトロでもないゲーム | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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