東京ゲームショウ2017で「ラブプラス EVERY」を遊んだところ、期待を込めた意味で「このゲームは完成したらどうなるのだろう?」と思わされた。一方、D3パブリッシャーの「しあわせ荘の管理人さん。」をプレイした後は「このゲーム、いったいどうなってしまうのだろう……」と絶望を込めた思いが湧き出てしまった。

「しあわせ荘の管理人さん。」は、2018年1月にD3パブリッシャーから発売予定の恋愛アドベンチャーゲームである。主人公は“しあわせ荘”の管理人となり、3人の美少女が住むこのマンションの管理やメンテナンスを行っていくことになる。そして、彼女たちと交流を深めていく……というわけだ。

本作にはひとつ大きな問題がある。それは急遽全面的なPS VR対応が断念され、通常のPS4専用タイトルになってしまったということだ。もっとも発売後のアップデートで部分的なPS VR対応が行われるのだが、この変更による影響はかなり大きいものと思われる。

PS VRの仕様が残るゲームプレイ、眺める価値が減ってしまったヒロインたち

「しあわせ荘の管理人さん。」の試遊版をプレイし始めると、すぐに違和感を覚える。本作は主観視点のゲームなのだが、左スティックの上下を入力すると自分のいる高さが変わる。主人公は「ろくろ首か何かなのでは?」と思うほど伸び縮みし、自由に移動することはできない。おそらくこれは、PS VRの仕様がそのまま残った操作体系になっているのだろう。

プレイヤーは管理人なので、マンションの掃除などをすることになる。最初に1日の予定を決めて実際に行動を行っていくのだが、ゴミを拾う場合は視点を合わせて見つめるだけ。左スティックで自由移動が出来ないのでアイコンをじっと見て移動。ボタンを押して操作するといちいちPS4コントローラーのようなインターフェイスが出てきたりと、やはり完全にPS VRを前提とした内容になっているのだ。

またその影響か、フォントサイズが異様に大きい場面があったり、視点を移動させると字幕がブレて読みづらくなってしまったりという不具合も確認できた。ここまで明らかに「PS VRに対応したかったけれども無理だった」ということがわかるとガッカリと言うほかない。ましてやコントローラーだけで遊ぶとつまらなさと面倒臭さも倍増だ。

「しあわせ荘の管理人さん。」は元よりPS VR専用というわけではなかったので、こうして通常のモニターでプレイすることも想定の範囲内なのであろう。しかしながらいくらなんでも、PS4専用タイトルとしてこのゲームプレイはありえない。PS VRに対応していれば「このゲームはVRに最適化されているのだろうな」などと自分を慰めることもできるが、通常のモニターで遊ぶゲームとして発売するのであれば、ただただダメだ。

ヒロイン「桜井静香」。TGS2017版の彼女は髪型がこれとは少し異なっていたようだ。

とはいえ、重要なのはヒロインのかわいらしさだ。ひとまずヒロインのひとりである「桜井静香」を見てもらおう。どうだろうか? ……まあ人の感性はそれぞれだが、ひとまず2017年の現在に人気を博しそうなキャラクターデザインとは感じられず、「VRで見ることができたのならばまだ許されたのかもしれない」と思わざるを得ない。

見回りをすると彼女たちと遭遇し、交流することができる。会話の仕方によっては好感度が上昇するものの、服の隙間から見える下着を覗いたり、変な箇所ばかりを見ていると怒られてしまうようだ(それを解決するため、自由に眺めることができるようになるアイテムもあるようだ)。もっとも、VRではないので眺める行為の魅力も減ってしまっているのだが。

 

短い試遊時間で断言することはできないが、やはり彼女たちが魅力溢れる存在であるとは言い難いように思える。何よりさまざまなPS VR的な仕様を残しつつPS4専用タイトルとなってしまった事実が、ただただ悲しい。アップデートの部分対応で救われるといいが……。もしこのままの作りで発売するのであれば、VRに対応するまでは「ふしあわせ荘の管理人さん。」などと揶揄されそうな作品である。