自殺の職員遺族が病院側を提訴

3年前、岐阜県瑞浪市の病院に勤めていた当時26歳の男性職員が自殺したのは長時間労働によってうつ病を発症したためだとして、男性の遺族が、21日、病院側に9000万円余りの損害賠償を求める訴えを岐阜地方裁判所に起こしました。
訴えを起こしたのは瑞浪市にある東濃厚生病院に務めていた鈴田潤さん(当時26)の両親です。
代理人の弁護士によりますと、鈴田さんは、平成26年1月、愛知県一宮市の高速道路のパーキングエリアの駐車場に止めた車の中で「もう無理です」などと、携帯電話にメッセージを残して自殺しているのが見つかりました。
遺族側は自殺前の3か月間は残業や休日勤務時間が、1か月、100時間を超え、特に10月には、148時間に達していて、長時間労働によってうつ病を発症したのが自殺の原因だとして、病院を運営する岐阜県厚生農業協同組合連合会=JA岐阜厚生連に対して、9000万円余りの損害賠償を求めています。
提訴の後、代理人弁護士は記者会見を開き、「何が男性を自殺にいたるまで追い込んだのか裁判の中で明らかにしたい」と述べました。
男性の自殺を巡っては、9月4日、多治見労働基準監督署が長時間労働に伴う過労が原因として労災認定しています。
JA岐阜厚生連は「提訴については事実関係を把握していないのでコメントを控えたい。労災認定についてはしんしに受け止め、労務管理の適正化を進め再発防止に努めたい」としています。
男性職員は長崎県出身で、大学卒業後、JA岐阜厚生連に就職し、平成24年に岐阜県で開かれた国体のライフル競技に岐阜県代表として出場して優勝しています。