死ぬくらいなら会社辞めればができない理由、という衝撃的なタイトルの本を読みました。
感想です。
死ぬくらいなら会社辞めればができない理由
内容・あらすじ
NHK、毎日新聞、産経新聞、ハフィントンポストでも紹介された話題騒然の過労死マンガを書籍化しました。
精神科医・ゆうきゆう(『マンガで分かる心療内科』シリーズ)が監修・執筆を担当し、
過労死・過労自殺する人が「死ぬくらいなら辞めれば」ができない理由をわかりやすく解説しながら、
仕事や会社に追いつめられている人がどのようにすればその状態から抜け出し、
自分の人生を大切にするための方法と考え方を描きおろしました。
また、過労やうつ状態から抜け出して幸せになった人を取材して描きおろした「実録! ブラックな状況を抜け出しました」も収録。
もうあのような過労自殺の事件を繰り返したくない。
現代日本で働くすべての人に必読の1冊です。
タイトルから想像できる通りの内容です。
過労死とまではいかなくても、激務で思考が正常ではない状態に陥ったことのある著者が、その体験を書いています。
また、精神科の医師が解説をされていて、心療内科や精神科などの受診をする症状についてなどを説明しています。
表紙には、「リアルすぎて泣ける」「これ、私のことだ」「会社辞められた。ありがとう。」という声が載っています。Twitter30万リツイートだそうな。冒頭の部分はたしかに見たことがあります。
全5章からなるストーリーで各ページに一つずつタイトルが付き、イラストマンガが描かれています。各章のあいだに、おしえてゆうき先生という文章があり、精神科医の先生から詳しい解説がなされます。
全章にわたり、心を病むということが重大なことであるということを様々な比喩を用いて説明されていて、また会社を休んだり辞めたりという決断に対してのハードルを下げているマンガだと感じました。
感想
終電に乗って帰宅するサラリーマンが描かれていて、電車に飛び入りすれば明日会社に行かなくて済むという思考に陥っているシーンがあります。
・休む
・転職
・退職
・寝る
・サボる
・ワーホリ
そのような選択肢が書かれている道があるのですが、それがすべて暗く塗りつぶされていきます。
「転職先が見つかるか・・」
「親に心配かけたくない」
「もっとがんばってる人がいる」
「甘えだ」
こういった言葉や思考に陥り正常な思考ができない状態まできているということがイラストで上手く描かれています。
自分も、落ち着いているときは正常な思考ができると思いますが、本に描かれるような思考に陥ることがありました。
第1章では
人には個人差があり、体力であったり精神的な部分でも差があるということや
向き不向き、自分で決めた仕事であるか、などがイラストを用いて描かれます。
がんばり過ぎ
と
甘え
に関しても、本では「自分で決めたことかどうか」「周りからの評価」ということが重要な要素となると書かれています。
わたし自身も、周りから評価を得られることであったり、好きであったり、覚悟があったりで頑張れたときもありました。
第2章では
「うつ」であったり精神的な疲れが出ている症状について解説されています。
涙が出る、起きられないなどの症状や、それに対して「休む」という選択肢を取れるように促しています。
ここも非常に共感できます。わたし自身も、相当に病んでしまった時期があり、自暴自棄なときもあったので、いまでは敏感なほどに自分の身体的な声に耳を傾けるようにしています。一時期はメニエール病というめまいの出る病気になりました。そのときは、精神ではなくて病名が出るような病気になってくれて休みやすい、と感じたものです。
体が丈夫な人ほどSOSに気が付きにくいということも書かれていますので、ぜひ早めのサインに気づいてうまく対処してください。
第3章では
頑張らない勇気というタイトルで、休むための考え方や普段からのストレスを感じないような考えから捉え方が載っています。精神科や心療内科への受診方法も描かれています。
自分自身、メンタルクリニックに通ったことがあります。先生によっては、あまり好きではない体育会系のようなノリの先生もいらっしゃいました。病院の先生にも合う合わないもあったりするということも本でかかれています。心療内科や精神科に通院するということ自体がやはりまだまだ後ろめたい世の中である中で、そういったことへのステップが踏みやすい状況となるような言葉が載っていたように思います。自分自身も眠剤なくては眠れないような状況だったこともあるので、悩んでいる方には無理をせず頼れるところに頼ってよいという考えです。
第4章では
3年は辞めないほうがいい?
自分の身は自分で守る
幸せとは?
人生の選択肢
などのテーマで描かれます。
自分の人生を生きるために大事なことのヒントとなるようなエピソードが多くあり、悩んだときにどっちを取るか、なにを優先するか、といった判断の軸となるような考えがあります。わたしも最近もいまだにちまちま悩んでいるので、すこし指針となるような光が見えた気がしました。さてがんばろう、そんな気持ちになれます。
第5章では
ブラック企業で働いていた方々の体験談が描かれています。
ブラック企業ってたくさんあるんですね。どなたも命を落とさずに、その後は安定した生活をされているようなエピソードです。著者のまわりでもそのように以前よりはよい環境であると感じている方ばかりのようです。
わたし自身も似たような経験があり、そのような情報には比較的アンテナを張って見てきたので知っているような話だとも感じましたが、それでもやはりしっかりとした体験談なので興味深かったです。
体力的にソフトな部署へ移ったときに身体症状が出てきた事例
辞めると決めてから引き継ぎなどで引きとめられそうになった事例
などがありました。
最終章で
著者の面白いところが載っています。
がんばらない、無理しない、配慮しない、自己中心的、起きない、立たない、やらない、逃げる、サボる、寝る、人まかせ
そんなスキルも大事になるときがあると、わたしも思います。
とても面白く、読みやすくて、興味深い、ベリーインタレスティングな本です。ぜひ。