この人工筋肉を使えば、人間型の骨格人間のように筋肉を盛り付けて、柔らかい体を持つ(ターミネーターのような)ロボットを作り出すことも可能です。
従来の人工筋肉技術は、両端に電極かエアコンプレッサーで収縮/膨張します。しかし、新開発の人工筋肉の場合は、内部に通した抵抗性の電線からの発熱で強力な変形力が得られ、人間の筋肉と同様の仕組みで骨格を動かすことができます。実験では物を掴んで拾い上げることもできています。
研究グループのリーダーHod Lipson氏は「(AIの進歩により)ロボットの"心"になる部分は大きな進歩を遂げているが、ロボットの身体の部分はまだまだ原始的です」と指摘し、この人工筋肉について「これはパズルの大きなピースであり、生物学的なアクチュエーターとして何千種類もの形で作り出すことができます。この素材により、我々はまるで生きているかのようなロボットを作り出すための大きな壁を乗り越えることができました」とコメントしています。
チームは発表時点では人工筋肉の動作に電極および抵抗線を使用しているものの、これをより柔軟な導電性素材に置き換えるようとしています。そして、電気信号の送出元には筋肉のコントロールのしかたを学習させるための人工知能を接続する構想もあります。もしこれがうまくけば、人間と同様の筋骨格系を備え、よちよち歩きから歩き方を身体で覚えていくロボットが姿を表すかもしれません(歩き方を覚えたAIをコピーすれば、2体目からは学習しなくても良さそうではありますが)。
研究者は、この技術によるロボットが完成した場合の使用目的のひとつとして、体力の衰えた高齢者のケアや、人間が立ち入れない危険な場所、たとえば原発事故現場なども考えられると説明しています。
[Image : Westworld / HBO, Columbia Engineering]