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【FINSUM WEEK】ICOについて京大岩下氏、VALU小川氏、テックビューロ朝山氏らが語る

投稿日:2017-09-22 更新日:

「INSTANT MILLIONAIRES? THE RISE IN INITIAL COIN OFFERINGS」と題するFINSUM WEEKのセッションについてのメモです。
参加者は以下の通り。

Kraken マネージング・ディレクター・ジャパン 宮口礼子氏
テックビューロ 朝山貴生氏
VALU 小川晃平氏
京大 岩下直行氏

岩下氏
イーサリアムを作る時にそもそもICOを行った。これが史上初のICOだと思う。その後起こったThe DAOもトークンにあたるものを売って居るという点では、定義にもよるがICOだといえるだろう。今年の3月ぐらいまではごくごくわずかであったといえるだろう。それ以降日本円で2,000億円ぐらい集まったというのが今の状況。
ホワイトペーパーの中のものがちゃんと作られているかというと極めて少ない。開発者が逃げちゃったというところもある。
ICOというのはIPOと違って作ったトークンを商品として売る。基本的にはノー・オブリゲーションといえるだろう。ミリオネアになって満足してもらっては困るので、その後ちゃんと製品を作ってもらうための仕組みがあまりない。

日本で今後やるときにどんなICOを目指すのか、どんなICOにしていったら人々に受け入れられるのか、朝山さんにお伺いしたい。

朝山
サブタイトル(ミリオネア)というのは幻想で、ぽっとICOしてミリオンいくのは半分ぐらいしかない。実質本当にミリオンを人から取ろうと思ったらよほどちゃんとしたものか、ミリオンなのかどちらか。問い合わせの99%はお金はほしいが何もしたくないというもの。そういうのはお断りしている。トークンにどのような機能を持たせて、ネットワーク効果が生まれてバリューが生まれるかを考える必要がある。ICOが期待されることもあるが、ちゃんとしたビジネスのみで採用される手法になる。

岩下氏
是非そういうふうになるといいと思っている。小川さんにもお聞きしたいが、今朝山さんが仰ったような問題が、VALUというプロダクトの中ではどう考えられているのか。

小川氏
ちょっと質問が理解できてないが、VALUがICOかというと別にそうではないと思う。今後それは決まっていくと思う。リスクは色々あって、お騒がせしてしまって申し訳ないが、売り逃げみたいなものは出てくるんだと思う。業界全体の問題なのかなと思う。それをどうリスクヘッジするのかは今後の課題。朝山さんがやってるCOMSAなどは参考にしたい。

岩下氏
相場操縦的な問題が発生したことで、そういったことをしにくくするようなルール改正があったと思うが、発行供給を一体としてやってるから出来たのだと思うが。

小川氏
意図的に流動性を下げるような取り組みをしている。流動性が高くなるのはいい面もあるが、ここに居る人みたいな人以外の、ミュージシャンとかみたいな人にサービスを拡げていきたいと思っており、そういった人に不利にならないような仕組みを一時的にとっている。

岩下氏
流動性を与えるのが取引所の役割となると思うが、取引所としてICO、デジタルアセットとしてのトークンをどう考えているのか。

宮口氏
ここ何週間はICOについて質問を受ける事が多い。
どうやったらKrakenに取り扱いしてもらえるのか聞かれる。取引所としての責任は非常に考えている。イーサの場合は将来性を見て判断した。最近Krakenがリストしているのは、プロダクトをサポートするトークンのほうが多い。選定の段階で、プロダクトが
どういうもので、それがちゃんと作られているのかどうか、ということも考えながら。
色々ずるをしようと思えばできるので、慎重。一般の人が参加できるようになればなるほどリスクは増える。個人的にはICOができた一番のバリューは、本来はすごくイノベーティブな、インパクトを与えるスタートアップから作ったプロダクトが、一般のVC moneyにたどり着けない、開発リソースがない、という人たちにチャンスを与えるシステムを構築したことかと思う。ICOを全部禁止してしまえば、こうした利便性を失うことになる。

岩下氏
今の話は示唆に富んでいて、裏にプロダクトとしての有用性があるのと、一般のVCでは資金調達できない層にまで資金調達の手段を拡げたということの2点か。小川さんはどう思うか。

小川氏
プロジェクトの進捗度合いとICOやトークンの価値の上昇がどうリンクしていくのか、は見ものだと思っている。Krakenについては、扱うトークンがどんどん増えていった時どうするのか、お伺いしたい。

宮口氏
昔は知ってるチームがこれは間違いないだろうといって投資をしていたが、ちょっとバランスだが、ICOとIPOを並べられると難しいが、自己責任で管理できることを前提としていると思う。ただそうでない人も入ってきて、そのバランスが難しくなっていることは認めたい。自分たちの出来る限りの能力で、一発屋で終わらないプロダクトであることを真面目に議論している。

小川氏
そうすると取引所ってどんどんベンチャーキャピタルみたいになってくるんじゃないのか。今だとY Combinatorがやっているようなことなどを取引所が行うことになるのでは。

朝山氏
そもそもバリューの最大化を目標としているので、そもそも潰れそうな企業がやっても意味がない。既存のVCと同じ。既存の経済で目利きができる人間がICOでも必要になる。
投資する側が自分のリスクをわかっている。

岩下氏
朝山氏の言わんとすることを感じるならば、ゴーイングコンサーンに立った企業が資金調達の中にICOを組み込む、とかになるだろう。そうなってくると、金融商品取引法上の事業者と正面からぶつかるが、その点についてはどう考えているのか。

小川氏
競合する部分にはあまり興味がない。
平均寿命は85だけど企業の年齢は25歳ぐらいなので実際はゴーイングコンサーンではないんじゃないか。

宮口氏
こちらが競争する気があるかというよりは、ビットコインが出来た時に、金融機関の人に「ビットコインは競合相手だ」と言われた事がある。インターネットと一緒で、既存のものをリプレイスすることはあると思うが、そんなことはそちらで考えてもらうしかないというか(笑)既存の事業者がそれにどう対応するか考えるべきなのではないか。

朝山氏
ビットコイン、ブロックチェーン、ICOという3つの向かい風に立ってきた。感情的に言うとねずみ講とか、価値の裏付けがないとか言われて黒魔術のような扱いを受けてきた。20年先を見れば、なにかあると思うが、来年再来年に仕事がなくなるわけがない。既存のビジネスが活用することにより、経済をディスラプトするのではなく、活用していない同業他社をディスラプトする武器であると感じる。

岩下氏
私も、出は伝統的な金融機関の出だが皆さんの意見に大いに共感できることもある。
ただ一方で、伝統的な金融機関の立場を代表していえば、現在の金融商品取引法にのっている話でいえば、インサイダーの禁止とか相場操縦の禁止などが法定されているわけである。それに対して、現在の資金決済法にはそれに類した法律がない。仮想通貨に関して、レベルプレイングフィールドではないんじゃないかという議論があるが、これはどう考えるのか、必要な規制は受けて当然だという考えか、あるいはグローバルな視点からどうか。

宮口氏
今まさに日々その対応で頑張っている。日本の金融庁の登録を頑張っているが、あまりそういうことを言うとどんどん厳しくなっていくのでやめていただきたいと思う。リスクを基準に考えると仰ることはごもっともで、私からいうと日本の文化だなあと思う。どうやってイノベーションをちゃんと壊さずにするか、一方で育成するかのバランスは難しいが、ある程度の失敗に対する許容度がないと、なかなか育っていかない。温める期間が必要で、ICOもその期間なのではないか。存在するポテンシャルを理解した上で、技術と可能性を潰さないほうが重要だと声を大にして言いたい。

朝山氏
規制はあってしかるべきだと思うが、テクノロジーから来ている面が強い。技術はボーダレスなので、今までの枠組みで培われてきたルールを当てはめても意味がない側面もあるし、元々の優位点をなくしてしまうこともありうるので、理解を適切にしてほしい。財務局・金融庁には現状ポジティブにとっていただいているのでありがたく思っている。この先もICOについても同様の適切な規制は作っていくべき。

小川氏
いろんな規制を作っていいと思う。技術とかバックグラウンドを理解して、適切な規制をしてほしい。国際競争力の観点から、アメリカとかグローバルなアプローチを期待したい。

岩下氏
アメリカだけじゃなくて色々なところとしていく議論かと思う。最後に一言。

小川氏
まだ始まったばかりなので、これから色んな所でいろんな問題が出ている。一個一個つぶしながら成長していきたい。

朝山氏
非常にアグレッシブで先進的なテーマだと言われている。ICOを自社で実施していて、血の滲むような努力をしている。弊社の結果を見てほしい。これからのICOを推し進めて活用していただきたい。

宮口氏
エクスチェンジとしては真面目にトークン、プロダクトを扱って選定していく。個人的には、なぜICOをする意味があるのかということをしっかり確認していただきたいと思う。なんだったら儲かるかというところから入らないようにしていただきたい。

岩下氏
最後にまとめると、今日のタイトルについては、皆さんそうじゃないよと仰っていただいたことは意味があると思う。ICOというと、ノー・オブリゲーションで何百億も資金が集まるので倫理的に許せないという発想を持つ人が多い。多分これからICOをやりましょうという場合、ICOのトークンさえ買っておけばもうかるという世界から、どこかで上がり続ける時代は終わる。その時にICOがどうあるべきかが問われる。今後そのあたりを真面目にやっていくんだということがわかればこのセッションをやった意義があったと思う。

【FIN SUM WEEK】SBI 北尾吉孝CEO講演「仮想通貨の未来」メモ
https://www.noahpeah.com/blog/sbi-kitao/

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