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3章
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ヴァルの後ろでもう一人の生徒が頭を抱えている。
生徒会長は獣人の少女から視線を反らしヴァルを見た。

「君はいつまでたっても学習しないな。相手は君に危害は加えていない。そこに君は未遂だが手を上げようとしたんだ。先に手を上げた方が悪いんだぞ」
「…っ!」
「まあ…今日は未遂だから見逃すが、次何かやったときは覚悟しとくといい」
「わ、わかりました!…行くぞ!」
ヴァルは慌てて一緒にいた生徒を連れて食堂を出て行った。


緊迫した空気が緩んで、生徒たちは各々談笑に戻る。しかし、まだ一部の生徒の視線が私たちに集まったまま。


これは早々に逃げ....立ち去ったほうが良さそうかも。

「あの、ありがとうございました」
「トーヤさん。君は問題を起こす体質なのか?」
生徒会長はクツクツと面白そうに笑いながら言う。
その様子に生徒達は驚いたような表情をする。

起こしているわけではないんだけど....。

「もうヴァルに喧嘩売っちゃだめだぞ」
「はい」
生徒会長は私に笑いかけると、後ろにいた淡い水色の髪の美形と話し始めた。

私はレジーに目配せをし、気配を消して食堂を出る。
途中、すれ違った一人の生徒が獣人の少女に駆け寄るのをしっかりと確認しながら。


あれほど生徒の視線を集めていたのにもかかわらず、トーヤが出て行ったことに気づいた人は目配せを受けたレジー以外は誰もいなかった。




「もう、トーヤ!置いていくなんてひどいじゃない」
食堂から離れたところに立っていた私に向かってレジーが走ってきた。
「うん。....ごめんね」
「....どうかしたの?」
眉を寄せている私にレジーがたずねる。

「どうして、何も言わなかったの?」
「え」
真剣な顔をしてレジーを見る私に彼女は困惑する。

「あの子を助けようとした人は誰もいなかった。それに、レジーには権力があるのに何もしなかった」
「.....」
彼女は申し訳なさそうな顔をする。

「何も言えないんだね。.....今日は疲れたから、もう寝るね。おやすみ」

レジーが何か言おうとしていたが、私はそのことに気づきながらも先に部屋に戻った。









まず、第1に遅くなってしまい、すみません。
色々と物事が重なり、執筆活動する時間が作れませんでした。

これからも遅れる可能性がありますが、よろしくお願いします!

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