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3章
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「うん、ごめんね」
弱々しく言う私にファティマと人魚たちは顔を合わせる。
『ここにいれば楽になりますわ』
『しばらくの間はあそこには近づかないことですね』
「ああ。そのつもりだ。ここの水を撒いたから、少しはあの瘴気も薄まるだろう」
『そうですね』
彼らが話しているのを見ながら、私は膝に手をついて立ち上がる。
「...結界を張らなきゃ」
「そうだが、大丈夫なのか?」
「うん」
確かに、瘴気に当てられたがスカーフを巻いていたおかげで昨日ほど深刻ではない。

『私たちも手伝うわ』
『湖の水を使って』
人魚たちが湖へと戻っていく。すると、水面が浪打始め、やがて四本の水柱が立った。

『これなら瘴気が広がるのを防ぐだけじゃなくて、徐々に浄化していくことも出来るわ』
『ただ…私たちは瘴気を浄化できる効能を付加はできるのでけど....』
『結界を生み出すことはできないのよ』

「十分だよ、ありがとう。....半径200メートルってところかな」
『200メートルってそんな大きな結界を張れるの?』
人魚たちが見るからに顔色の悪い私を心配する。しかし、私は大丈夫だと断言する。
「ふう,,,,いくよ」
『ええ』
「我も手伝おう」
人魚たちが一斉に湖の水を操り始めた。湖から現れていた水柱がそれぞれ瘴気を囲むように伸びていった。それを合図に私とファティマがそれぞれの魔力を覆うように水柱を包み、形を変えて水の膜となったそれらを結界へと変えると、側面の邪気が浄化された始めた。

「いいぞトーヤ。その調子だ」

水の膜が上へと伸びていく。そして、穴が完全にふさがり、結界が完成した。

「はあ....はあ...」
『お疲れ様』
『よく頑張ったわね』
結界が完成したと同時に崩れ落ちた私を人魚たちが受け止める。ファティマが結界の最終確認をした後、人型になり、私を抱える。
「よくやったな、トーヤ。結界はしっかり機能している」
「そっか..」

ひとまずは安心できるかな。

『あとはゆっくり休みなさい』
『私たちも休ませてもらうわ』
「うん。ありがとう」

私はファティマに抱えられたまま、水の中に消えていく人魚たちに手を振った。






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