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3章
58 瘴気汚染
屋敷から十分に離れた森の中でファティマが止まる。
「このあたりでいいだろう。トーヤ、おまえ仮面をつけ忘れているぞ」
「あ、忘れてた」
ファティマは本来の大きさに姿を変え、私は《ケース》にあった仮面を取り出してつける。そして、魔力と属性封じの魔道具を外して《ケース》に入れる。
「はあ、久々の開放感」
のびをしながら言う。
「乗るがいい」
そう言って、ファティマは私が乗りやすいようにしゃがんでくれた。
「やった」
背に乗ると、彼はすっと立ち上がり風のように森の中を駆け抜けた。

「!トーヤ。口をふさげ」
「え、どうし...!?」
ファティマが急に張り詰めた声で言い、問いかけようとしたらのどが突き刺さるような痛みを感じた。
ー何、コレ?ー
話せそうにないので念話で問いかけ、意味が無いかもしれないが私たちの周りを風で覆う。
ー瘴気がこの辺り一面に満ちている。離れるぞー
ファティマが更に走るスピードを上げる。

「ガッゴホッゴホッ」
私たちは先ほどの瘴気が立ちこめていた場所から離れ、星空が水面に映った湖にいた。
「大丈夫か?この湖の水を飲め」
「わ、わかった」
のどがやられてしまったのかかすれた声が出た。
仮面を外し、ファティマの言われた通りに湖の水を手ですくいあげて飲む。すると、先ほどの痛みが少し和らいだ気がした。
「ふう、ここは?」
のどをさすりながら聞く。
「聖域だ。湖の中心にある島の木がこの辺りを清めている。だが、ここも問題だな。瘴気のある場所からさほど遠くない」
「瘴気?どうしてそんなのものが?」
「わからぬ。我はもう一度先ほどの所へ戻る」
「待って。私も行く」
「ダメだ。ここで待て。すぐに戻る」
そう言って彼は森の中へと消えていった。

「ゴホッ....。遅いな。いったいどこまで行ったんだろう」
置いてけぼりにされた私は、ファティマが戻ってくるのをいじけて待っていた。
『暇なの?』
『珍しいお客ね』
『ほんと、しかも愛し子よ』
『フェンリルが来るまで』
『私たちとおしゃべりしましょ』
透き通った女性たちの声が聞こえ、辺りを見渡すが誰もいない。今しがたの現象に首をかしげながら、湖に目を戻すと私は目を見開いた。
水上に姿を現したのは見るもの全てを魅了する美貌を持った女性がいた。...上半身は。




2016年があと、もう少しで終わりますね。それまで2、3話ぐらい出すつもりです。
そして、登場人物を整理します!

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