はじめての中古マンション投資 ~注意点と手続きの流れ~
今、不動産投資が注目を浴びています。
不動産投資とは、利益を得るために、不動産の購入を行うことです。アパートやマンションなどを購入して、そこから生まれる家賃収入や、購入した物件の価値が上がったときに売却し、その差額の売却益が利益になります。
不動産投資は、FXや株式投資などの金融商品に比べて、比較的低リスクで長期的に安定した収入を得ることができると言われています。また、節税効果も期待できるために、サラリーマンとして働きながらも、不動産投資を始める方も増えています。
そんな不動産投資の中でも、中古マンションに着目して、投資までの一連の流れを解説していきましょう。
~ 目次 ~
- 今、不動産はブームなのか?不動産市場の現状は?
- 中古マンションのメリット、デメリット
- 中古マンションを購入するまで流れと注意点
- 欲しいマンションの条件を考える
- 不動産会社選び
- 物件の確認
- 申込書の記入
- 金融機関の面談、審査
- 契約書の締結
- 登記
- 確定申告、納税
- まとめ
今、不動産はブームなのか?不動産市場の現状は?
まずは「不動産ブーム」「不動産バブル」と言われる背景や金融機関の動きについて現状を確認してみましょう。
不動産ブームの背景
国土交通省の「住宅着工統計」によると、リーマンショックのあった2009年以降、「貸家」の着工戸数が増加しています。貸家とは、賃貸用の住宅・マンション全般を指します。持家と分譲住宅が2013年以降横ばいにあるのに対し、貸家は増加傾向にあります。2016年には40万戸を超え、2008年以来の高水準になりました。
不動産がブームになった背景は、低金利と、金融機関の貸出先の確保です。ここ数年、超低金利が続いています。しかし、企業への貸し出しは、低金利にもかかわらず、低迷していました。不景気のため、企業が設備投資等を控え、内部留保を蓄えるようになったからです。
金融機関の動きは?
そこで、金融機関は、個人に対して貸し出しを行うようになりました。ただし、個人に対しての貸し出しには、目的と担保が必要です。金融機関としても、土地、建物が担保になり、目的が明確な不動産投資には、融資をつけやすいのですね。こういったことを背景に、個人の不動産投資が伸びてきました。
しかしながら、日本銀行が2016年10月のレポートで、下記のように注意喚起を行いました。また、2017年4月にも同様の趣旨のレポートが発表されています。
不動産市場は、現時点では、全体として過熱の状況にはないと考えられるが、大都市圏では一部に投資利回りが低水準となる高値取引がみられているほか、不動産業向け貸出も伸び率を高めている。今後、投資家の期待利回りの過度な低下や高値取引の地方圏への拡がりが生じていくことがないか、注意深く点検していく必要がある。
これを受けて、金融機関が、不動産への貸し出しを絞りました。日銀が2017年8月に発表した貸出先別貸出金統計によると、2017年4~6月期の不動産業向けの新規融資額は2兆3954億円で、前四半期から36.7%減少、アパートローンなど「個人による貸家業」向けの新規融資額は32.6%減の7171億円となりました。現在は市場が一段落している状態といえるでしょう。
【関連】日本銀行:貸出先別貸出金
https://www.boj.or.jp/statistics/dl/loan/ldo/index.htm/
中古マンションのメリット、デメリット
投資用不動産の中でも、中古マンションについて、今回は整理したいと思います。中古マンションは、投資用物件の中でも、比較的スタートしやすい物件になっています。
中古マンションのメリット
中古マンションのメリットの1つに、価格が安いことがあります。
広さにもよりますが、1戸あたり数百万~三千万円程度で購入することが可能です。不動産なので簡単に買えるものではありませんが、同程度の新築物件に比べても、中古マンションは安いことが多いです。その分利回りも高くなります。
また、オーナーチェンジの場合、すでに住んでいる人がいます。住んでいる人がいる場合、必然的に、家賃が最初から入ってきます。新築に比べて安心な点ですね。
- オーナーチェンジって何?
- 入居者が要る状態の不動産物件を売り買いすることです。オーナーチェンジ物件として募集があります。
中古マンションのデメリット
一方、デメリットも存在します。デメリットの最も大きな点は、新築に比べて、フルローンがつきにくく、金利が高いということです。
新築の場合、フルローンが適用され、頭金はあまり必要のないことが多いです。しかし、中古の場合は、頭金が数%~10%程度必要なことがあります。少額で始めたい場合は、この頭金が重荷になることもあります。また、金利負担も、新築に比べ0.2%~0.3%程度高いことが多いです。
また、中古の場合、税金のメリットが、新築に比べて少ない点もデメリットです。特に築年数が古い物件は、設備部分の耐用年数がすでに過ぎてしまっている場合もあり、ほとんど税金上のメリットを享受できない場合があります。
中古マンションを購入するまで流れと注意点
では、中古マンションを購入するまでの、一連の流れを見ていきましょう。不動産の取得の方法は様々ですので、これはあくまで一例とお考えください。
大まかな手順は下記のとおりとなっています。
- 欲しいマンションの条件を考える
- 不動産会社にアプローチする
- 物件の確認
- 申込書の記入
- 金融機関の面談、審査
- 契約書の締結
- 登記
- 確定申告、納税
欲しいマンションの条件を考える
中古マンションは、築年数、場所、値段、形態等、いろいろな条件があります。まず、自分が譲れない条件をしっかりと決めましょう。例えば、下記のようなことです。
- 1,000万円以下で買いたい?
- 築浅の物件がいい?
- 駅から近い物件がいいのか…など
すべての不動産を見ることは不可能です。より良い物件を紹介してもらうためにも、自分の基準をしっかり持つことは重要です。
不動産会社選び
条件が決まったら、不動産会社にアプローチしていきます。不動産会社に、自分の希望を伝え、物件を紹介してもらいましょう。
ここでのポイントは、複数の不動産会社にアプローチすることと、今ある物件だけで判断しないことです。
不動産会社にはエリアや形態等で得意、不得意があります。1つの不動産会社だけだと、何がよいかはなかなかわかりません。2つ以上の不動産会社に話を聞いて、それぞれの特徴を比較するとよいでしょう。
また、不動産市場は毎月のように物件の入れかわりがあります。その場でいい物件がなくとも、翌月には希望の物件が手に入るかもしれません。すぐに物件を見つけようとせず、いいタイミングを待つのも一つの作戦です。
物件の確認
候補物件が決まったら、実際に物件を見にいってみましょう。チェックポイントは以下のものがあります。
- 設備が古くなっていないか
- 共用部が綺麗かどうか
- 周辺環境はどうかなど…
実際に住むつもりで物件を見てみて、懸念点がないか確認しましょう。
物件の確認は省略できる?
物件確認は省略することも可能です。
建物管理状況は、建物管理会社が発行する重要事項調査報告書を取り寄せることでも確認可能です。報告書には過去の修繕履歴や管理費の滞納状況などが書かれています。
これを参考にしながら、管理がしっかりと行われているかをチェックすることができます。
申込書の記入
実際に物件を見て、物件を買うことを決めると、申込書の記入を行います。
申込書は、不動産会社に向けてのものと、金融機関に向けてのものがあります。申込書の記入は、名前、住所だけでなく、年収などの記入を求められます。申込書の記入は、多くの場合カフェやホテルのロビー等で行われます。
金融機関は、自分で探してもよいですが、不動産会社と提携している金融機関を紹介してもらうと、手続きがスムーズにいくことが多いです。
金融機関の面談、審査
申込が終われば、金融機関との面談、審査が行われます。年収のほか、仕事内容や、保有資産の状況について尋ねられることがあります。面談、審査もホテルのロビー等で行われることが多いです。面談時には、源泉徴収票等の納税書類を求められることもあります。
契約書の締結
無事審査が通れば、契約書の締結が行われます。たいてい、同時に、重要事項の説明が行われます。重要事項の説明は、不動産会社の宅建士によって行われます。宅建士が行わない場合、不動産会社は処分を受けることがあります。ここで建物の状況について、再度確認することができます。
次いで契約書の締結が行われます。こちらもホテルのロビー等で行われることが多いです。
注意点
契約書の締結場所を買う側が自宅や勤務先を指定すると、クーリングオフの対象外となることがありますので、注意しましょう。
また、契約書の締結にあたり、住民票や印鑑証明が必要なことがあります。不動産会社が登記等を含めて、まとめて依頼をしてきます。不動産売買の契約締結は書類が大量に発生しますが、原則買い手を守るためのものになりますので、しっかりと準備を行いましょう。
登記
実際に契約の締結が終われば、登記を持って引き渡しとなります。不動産登記は、行政書士が行います。大抵の場合、行政書士は不動産会社が紹介してくれます。これで不動産が、あなたのものになるわけです。
確定申告、納税
不動産を取得したから、それで終わり、というわけではありません。不動産を取得した年は、不動産取得税が、それ以降は固定資産税が発生します。いずれも土地分、建物分と発生しますので、税務署から2通、納税通知が届くことになります。
合わせて、取得した年から、確定申告をすることが可能です。マイナスになった分や、減価償却など、様々な部分でマイナスの申告をすることが可能です。不動産1件につき数万円~数十万円、年間で税金がかえってきます。税理士にお願いしてもよいですし、わかる方は自分で処理してもよいかもしれません。
注意点
納税や確定申告を怠ると、追徴課税という形で追加納税がきたり、本来受けとれるはずの税務メリットが生かされなくなってしまいます。期間が決まっているため、注意して行いましょう。
まとめ
中古マンションをはじめとした不動産は、リスクはありますが、上手に買うことができれば、税金等でメリットを得ることができたり、将来の資産形成に役立つことが多くあります。
また、不動産のように大きい買い物をする場合、手間がかなりかかりますが、大抵の場合は不動産会社が丁寧にサポートしてくれます。良い不動産会社をパートナーとして選ぶことが大事なポイントになります。不動産を検討する際は、まず不動産会社を探してみてはいかがでしょうか。