いつまでも君と……

愛犬のために わたしたちができること

衆議院解散か? ~どうでもいいけれど、うちのミントに、大臣をやらせてみないか?~

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今朝、犬を連れて、散歩に出た。
日比谷公園から皇居周辺にかけてが、私と愛犬のいつもの散歩コース。特に決まったルートがあるわけでなく、気が向くままにそぞろあるくだけだ。時には日本橋近辺や、永田町の辺りにまで足をのばすことがある。

私の名前は、夏目潤一郎という。職業は某私立大学の非常勤講師である。
ずっと昔は、誰もが知る有名国立大学で、最年少の准教授を務めており、自分で言うのも何だが、将来を嘱望されていた。教授になるのも目前だと、周囲も思っていた。
だが――、ちょっとしたことでしくじった。
まあ、はっきり言うと、クビになってしまったのだ。

理由はいつか書くかもしれないし、書かないかもしれない。実を言えば、自分では全然納得していない。

 

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こうやって散歩をしていると、犬は気ままでいいなあと思う。私も生まれ変わることがあったら、犬になりたいものだとしみじみ思ったりする。

因みにうちの犬は、ジャックラッセル・テリアの女の子で、名前はミントという。
この犬種の特徴は、とにかくハイパーで飼いにくいということだ。
犬の中では、かつて闘犬として鳴らしたブルテリアと並び、悪名では1、2位を争うのだという。

ジャックラッセル・テリアは。一旦興味をもった対照には、とにかく桁違いのまっしぐらさを発揮し、聞き訳がない。しかも強情である。
飼いにくくて、飼いにくくて仕方がない犬――。そんなところが飼い主には堪らない。そして、夢中になってしまうのだ。

 

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いつも私たちの散歩のルートは、ミントの興味の趣くままだ。もちろん今日も。
本当は飼い主がリードしなければならないのだと言うが、まあそれもいいだろうと思っている。それが我が家の犬との接し方なのだ。

ミントに導かれるままに歩いていると、すぐ目の前のに、多くの警察車両が集まっている事に気付いた。TVカメラも出ている。そこは、意味も無いほどに広い、8車線の直線道路の突き当り付近だ。

何だ? と私は思う――

ふと見れば、私の左手には、角ばった姿の国会議事堂がそびえている。
そうか――、そう言えば――、今日にも衆議院の解散を、首相が表明するのではないかと言われていたんだ。

となると、この建物に集まる議員や、閣僚たちの顔ぶれは、もうすぐガラリとかわってしまうということだ。本当に解散するんだろうか? あんまり意味があるように、思えないんだけれど――
まあ、餅は餅屋と言うし、政治家には政治家なりの思惑があるんだろう。

 

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私は政治になんて興味はない。そんなことよりも、日々の生活の方が大事だ。私だけでなく、今はみんな、そうなんじゃないだろうか。

政治に興味が無いのは前からだ。しかし昔は選挙の時だけは、熱気があって好きだった。その時だけは、政治に参加している気持ちになれた。

私が大学生の頃に住んでいた地域では、アパートの近くに、某有名政治家の選挙事務所があった。実名で書いてもいいのだけれど、今はちょっとしたことが問題になるご時世だからやめておく。

その頃は選挙になると炊き出しがあって、色んな候補者の事務所に、良くご飯を食べにいったもんだ。

建前は選挙スタッフやボランティアのご飯なのだけれど、事務所まで行って「応援しています、頑張ってください」と伝えると、必ず「まあまあ、奥でご飯でも食べていきなさい」と言ってもらえた。そこでは、政治家に対する支援者たちの、生の声を聞く事ができた。もちろん対立候補の事務所でも、ご飯を食べた。

仲間内では、どこの事務所の味噌汁が美味いとか、おかずがいいとか、そんなことが話題になったもんだった。

 

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今は、公職選挙法の規制が厳しくて、炊き出しは無くなってしまったと聞く。
一票を金で買うのは明らかに問題だけれど、一票を得るために、美味しいごはんを振る舞うのって、そんなに悪い事なのだろうか?
当選したいという熱意が、ご飯の味に込められているのって、平和で良くないか?

見えやすいところの規制を厳しくしたら、見えないところにお金が回るだけで、もっとずっとずるい事や、悪い事で競い合いをしているんじゃないかと思えてくるよ。

有権者が、選挙にも政治にも興味をなくすくらいなら、ちょっと目をつぶって、炊き出しくらい許したって、いいんじゃないのか? 大体、一人でそう何杯も、お代わりができるもんじゃない。使う金額なんてたかがしれているよ。炊き出しは伝統文化なんだって、ひねりの効いた考え方ってできないのかねえ。

立ち止まってそんなことを考えていたら、ミントが退屈そうに私を見上げていた。
ゴメンゴメン、散歩の続きをしような。お前は散歩が大好きだからなあ。

歩きだした、私とミント。
 ――そこで急に、閃いた!

ミントよ、大臣たちって、何でお前みたいに、仕事に一生懸命になれないのかなあ?
もしかしたら、好きじゃないのかなあ、仕事が――

ミント、お前、一回大臣やってみないか?
きっと、良い仕事すると思うぞ。

 

文:夏目潤一郎

※このお話は、フィクションです。

 

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