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【社会】性犯罪被害者ら「まだ救われぬ」 刑法再改正へ団体設立
性犯罪に関する刑法の規定が今年七月、百十年ぶりに大幅改正され、強盗よりも軽かった強姦(ごうかん)罪の法定刑下限の引き上げなどが実現した。しかし、改正を訴えてきた山本潤さん(43)は「不十分。これでは救われない人が大勢いる」と、法に規定のある三年後の見直しを実現するため一般社団法人「Spring(スプリング)」を設立した。(出田阿生) 二十三日午後一時半から東京都文京区の男女平等センターで、活動のスタートとなるキックオフイベントを開く。 改正では、強姦罪の名称を「強制性交罪」に変更。刑の下限が三年から五年に上がったほか、男性の被害も対象となり、被害者の告訴がなくても起訴できるようになった。 だが、山本さんは「取りこぼした課題は山積み」と話す。最大のポイントは、性犯罪と認めるために暴力や脅しを必要とし、被害者側の立証の大きな壁となっている「暴行・脅迫要件」が残った点だ。子ども時代の性被害の時効を延長・廃止することや、夫婦間の性暴力も犯罪に当たると明記することも見送られた。 自身も十三歳から七年間、実父に性暴力を受けた。法改正に向けた法務省の検討会で専門家が「親子でも同意に基づく性行為があるのでは」と発言したと聞き、がくぜんとした。 活動のスタートを前に、「性暴力被害の実態に法律が追いついていない。救われない被害者のため、数多くの事例やデータを集め、三年後の見直しに生かしたい」と話している。 イベントは誰でも参加可能(参加費千五百円)。申し込みはメールでevent@spring-voice.orgへ。 関連記事ピックアップ Recommended by
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