THE ZERO/ONEが文春新書に!『闇ウェブ(ダークウェブ)』発売中
発刊:2016年7月21日(文藝春秋)
麻薬、児童ポルノ、偽造パスポート、偽札、個人情報、サイバー攻撃、殺人請負、武器……「秘匿通信技術」と「ビットコイン」が生みだしたサイバー空間の深海にうごめく「無法地帯」の驚愕の実態! 自分の家族や会社を守るための必読書。
September 21, 2017 08:00
by 『Security Affairs』
違法な活動に関与する犯罪者たちを追跡し、麻薬組織やダークウェブ市場を解体するため、英国国家犯罪庁(NCA)が「サイバーセキュリティの専門家」と「ダークウェブのアナリスト」の人材募集を開始している。
NCAは、ダークウェブの違法な活動を捜査する能力の向上を望んでいる。今年8月にも、同機関は「Intelligence and Operations Directorate」(直訳:諜報作戦局)の「Armed Operations Unit」(直訳:武装作戦部隊)に所属する「G5 Armed Surveillance Investigator」(直訳:G5武装諜報調査員)を募集した。このとき提示された給与は3万3850ポンド(約510万円)だった。
「我々は、英国で『組織化された深刻な犯罪を撲滅する戦い』を率いている。インテリジェンスの発展は、複雑かつ多様化した脅威(たとえば銃器、子供に対する性的虐待、人身売買、麻薬の密売、経済犯罪やサイバー犯罪など)を包括的に理解できるようにするものだ」とNCAの広報担当者は語った。
「たとえ職業的犯罪者やプロのイネイブラーであろうと、あるいはダークウェブに潜んでいるそれらの人々であろうと、我々は裁判にかけ、犯罪者を根絶やしにする。我々の教育活動は、素行に変化をもたらす助けとなるものだ」
ダークウェブ市場は、あいかわらず麻薬常用者を惹きつけている。英国にとって、その現象は特に気がかりだ。Global Drug Surveyによれば、英国の麻薬常習者のうちダークウェブのマーケットから違法な薬物を入手している者の割合は、全体の25%という驚異的な数に及んでいる。
「実際のところ、英国における違法薬物常用者のダークウェブの利用率は、ノルウェーとフィンランドに続いて世界第3位だった」とDeepDotWebは報告している。
また英国政府は、ダークウェブにおけるテロリズムのプロパガンダも恐れている。「ダークウェブ市場を訪問する行為は、法執行機関から『テロリズムの兆候』だと見なされる可能性がある」とNational Counter Terrorism Policing Networkは警告している。
ダークネットで秘匿化されたオンラインのコミュニティは、過激な(急進的な)活動において重大な役割を果たす。そのため英国の法執行機関は、この「ダークウェブ」に注力して取り組もうとしている。
サイバーセキュリティの専門家、そしてダークウェブのアナリストは、薬物、武器の流通、マネーロンダリングなどに関わる違法行為を、NCAが見出す際の助けとなる可能性がある。また彼らは、児童の人身売買や性的虐待に関する捜査においても、法執行機関に協力できるだろう。
もうひとつNCAにとって重要な側面は、他の法執行機関との協働と情報共有だ。先日、米国の法執行機関は(他の法執行機関との協働によって)AlphaBayやHansaなどの世界最大級の闇市場を閉鎖に追い込んだ。
英国の政府と法執行機関は、世界中の法執行機関との協力関係の強化を目指している。
「我々は他の法執行機関や政府、民間セクター、そしてボランティアセクターと協働していく構えだ」と、そのNCAの公式発表は続いている。
NCAによる活動はこれまで、英国で1763人の逮捕、国外で1300人の逮捕に成功している。
翻訳:編集部
原文:UK Government is hiring cyber experts for Dark Web investigations
※本記事は『SecurityAffairs』の許諾のもと日本向けに翻訳・編集したものです。情報・データはSecurityAffairsが公開した当時のものです。
ダークウェブをターゲットにした調査は難しい。そもそも、ダークウェブを利用している時点で、「自分の身元を隠したい」と強く願っているユーザーが多い。闇市場で非合法商品を扱っている人間は逮捕の危険性があるため、さらに自分の情報は隠したがる。
そのため各国の捜査機関は、ダークウェブを舞台にした犯罪の取り締まりに苦労している。FBIは児童ポルノのサイト乗っ取り、一時的に運営して利用者の情報を集めたり、AlphaBayやHansaといった闇市場はサービス自体を捜査機関が制圧するなど、荒っぽいやり方が多い。今回の記事のように専門家を雇えば、より小回りがきく捜査も可能となる。
ダークウェブを舞台にした調査手法はいくつかある。中でも重要なのはクライム系コミュニティサイトへの潜入捜査だ。ここにはダークウェブ内でも表に出ない情報の宝庫となっている。この手のサービスに上手く入り、隠れた情報をどこまで入手できるかが専門家の腕の見せ所となる。
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