「銀行をやめる」、りそな東社長が激白

改革は小売りに学ぶ

2017年9月21日(木)

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 2015年に公的資金を完済したりそなホールディングス(HD)。JR東日本出身の故・細谷英二会長が金融サービス業を旗印に進めてきた顧客目線の経営改革は、銀行業界の常識を打ち破るものだった。現在の東和博社長もそれを受け継いている。今年3月には三井住友フィナンシャルグループ系の関西アーバン銀行とみなと銀行を、傘下の近畿大阪銀行と経営統合することで基本合意するなど、一気に攻勢に出た。銀行の存在意義そのものが問われている今、どのようなビジョンを描いているのか。

りそなHDの将来像をどう描いていますか。

 誤解を恐れずに言うと、「銀行をやめよう」と思っています。

 細谷のころから我々は「金融サービス業」と自分たちを定義してきました。私が今言っているのは、「銀行という枠にとらわれるな」ということです。ほかのサービス業との境目がなくなってきちゃっているわけですから。言い方は極端かもしれないが、少なくとも銀行業にこだわることのないサービスを提供しようというのが、根本的な考え方です。

 もちろん我々は銀行免許を持っており、銀行法の枠内にいるのは事実です。ただ、金融庁も相当柔軟な発想になってきているので、我々はどこまで銀行らしくないサービスができるか、限界までやろうと考えています。

りそなホールディングス社長
東和浩氏(ひがし・かずひろ)
1982年上智大経卒、旧埼玉銀行入行。2003年りそなホールディングス執行役、09年副社長、13年社長。福岡県出身。(写真:北山宏一)

具体的にはどのようなサービスをやっているのでしょうか。

 例えば「りそなクラブ.com」というウェブサイトがあります。りそなのホームページから「りそなクラブ.com」に移るとECサイト経由で色々な商品を買えます。お客さんはECサイトのポイント、クレジットカードのポイント、そしてりそなのポイントももらえます。

顧客のニーズは24時間365日

 銀行は入出金の情報はあるけれども、何を買ったかは分からなかったわけです。でも、ビッグデータ活用が重要な時代ですので、購買行動とつなげていくことが必要になってくるんですね。我々は決済のところを押さえていこうと思っており、法令で許されている範囲で、何がお客さんにサービスとして提供できるかを考えました。

確かに一般的な銀行のイメージからすると意外な感じがあります。

 りそなは今、全店が午後5時までやっています。土日にやっている店舗も結構増えてきました。でも、午後5時まででは、お客さんに合わせることはできないんですよ。

仕事帰りに、店舗に立ち寄れないということですね。

 そうです。そこで最近、昼の1時から夜の9時まで開けている店舗を出しました。6人体制で、常時店に3人が出るようシフトで回しています。一方で働き方改革もあるので、無理な運営はしません。例えば途中で、全員で一斉に休む時間をとっています。お客さんには予約して来ていただきますのでご迷惑はおかけしません。予約制ではなく、休みの時間を交代で取ると1~2人で顧客対応しなければならない時間ができてしまいます。

 顧客のニーズは24時間365日対応できることです。ファミリーレストランの24時間営業はだんだん減っていますが、我々はインターネットでサービスを提供できます。そこでは24時間365日振り込みができる体制を作って、お客さんに時間帯を合わせています。

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「もう銀行はいらない」の目次

「「銀行をやめる」、りそな東社長が激白」の著者

広岡 延隆

広岡 延隆(ひろおか・のぶたか)

日経ビジネス記者

日経コンピュータ編集部、日本経済新聞産業部出向を経て2010年4月から日経ビジネス編集部。現在は自動車など製造業を担当している。これまでIT、電機、音楽・ゲーム、自動車、製薬産業などを取材してきた。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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