豊臣秀吉の朝鮮出兵の際に、配下の武将らが持ち帰った朝鮮の人々の耳や鼻を埋めたとされる「耳塚」の慰霊祭が10日、東山区で開かれ、京都・大阪両府の在日本大韓民国民団(民団)地方本部メンバーや日本人僧侶ら有志が参列した。

 この慰霊祭は社団法人「ギョレオル活動国民運動本部」(本部・ソウル)が主催。10回目の今年、団体の京都支部長で韓国茶道家の尹(ユン)道心さん(59)が、知人の広告会社代表、河原正恵さん(73)に慰霊祭の統括企画を依頼し、初めて日本人僧侶らが協力することになった。河原さんは「以前から日本人の協力者を探していたと聞き、慰霊に関わることは地元京都人としての務めと思った」と話す。

 慰霊祭は、大谷義博・真宗仏光寺派前宗務総長、信ケ原(しがはら)雅文・檀王(だんのう)法林寺住職ら6人の僧侶をはじめ、府議や市議、市幹部が参列。ソウルから来日した韓国の国会議員らも追悼の辞を述べた。塚の前で、尹さんが献茶をし、韓国の国立民俗国楽院舞踊団が慰霊の舞を捧げた。

 京都民団の河相泰団長は「耳塚は戦勝記念として造られ、歴史の教訓を今に伝えている。これを反省の証しとしてとらえ、戦争を二度と繰り返さないことを願う」とあいさつした。