ニュース
速報
» 2017年09月20日 15時48分 公開

胃がんの多い日本人 原因はピロリ菌が作るタンパク質 東大の研究で判明

日本を含む東アジア諸国のピロリ菌が作るタンパク質は、欧米型のものよりも強力に酵素と結びついて細胞のがん化を促進させるという。東大の研究グループが発表。

[ITmedia]

 日本人には胃がんが多いが、その背景にはピロリ菌が作るタンパク質の結合様式の違いがある――そんな研究結果を9月20日、東京大学の研究グループが発表した。これまでも胃がんの発症にはピロリ菌への感染が関わっていると考えられており、日本を含む東アジア諸国と欧米のピロリ菌には発がん性の強さに違いがあったが、その原因は分かっていなかった。今回の研究で、東アジアと欧米のピロリ菌には生産するタンパク質の構造に違いがあり、それが発がん性の高さの違いにつながっていることが判明したという。

 ピロリ菌(ヘリコバクター・ピロリ)は、ヒトの胃粘膜にすみつく病原細菌で、感染すると胃潰瘍(いかいよう)や萎縮性胃炎を引き起こすほか、胃がんの発症原因にもなるといわれている。研究グループによると、発がんの過程にはピロリ菌が作り出す「CagA」(キャグエー)というタンパク質が関わっており、これがヒトの胃細胞に侵入して「SHP2」という酵素と結び付くことで、SHP2が異常に活性化し、細胞のがん化が促進されるとしている。

photo ピロリ菌が胃がん発症につながる仕組み

 中でも日本を含む東アジアにまん延するピロリ菌が生み出すCagAは、欧米型CagAに比べてがん発症への影響が強いとされていたが、両者の違いがどのようにして生まれるかは分かっていなかったという。

photo 東アジア型CagAと欧米型CagA

 今回研究グループは、2種のCagAを原子レベルで分析し、アミノ酸残基の違いによる立体構造の違いが発がん活性に影響していることを解明。欧米型の持つアスパラギン酸残基よりも東アジア型の持つフェニルアラニン残基の方が、よりCagAとSHP2の結合を安定化させるという。また、この安定した結合が胃細胞のがん化を強力に誘導するとしている。

photo 残基の違いと結合への影響

 今回の研究は、胃がん発症のメカニズムの科学的な解明に役立つほか、胃がんの予防や早期治療の開発などにもつながる可能性があるとした。

 研究成果は、米国の科学誌「Cell Reports」(オンライン版)に9月19日付(アメリカ東部時間)で掲載された

Copyright© 2017 ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

- PR -

Special

- PR -

「AIは万能だ」──間違った知識を身に付けていませんか? AIの現状をいち早く知ることで、他社に差を付けるチャンスを掴めるかも。ビジネス活用の今がここに。

会社の大型ディスプレイを低コストで手軽にタッチパネル化できる「てれたっち」。セットアップから会議での使い勝手まで、編集部が試してみました。

デスクトップ版CPUを搭載する15.6型ノートPC「Endeavor NJ6100E」の実力は? 最新ゲーム「テラバトル2」の公式トレーラーを制作したIKEDA氏に話を聞いた。

大規模ゲームアプリや Google の各種サービスを支える Google のクラウドプラットフォーム。「我が社のインフラにも使いたい」──誰に相談すればいい?

Special

- PR -

「てれたっち」で会議室のディスプレイをタッチ対応に 一体どんな変化が?

見やすく分かりやすい資料作成は、やっぱりカラー印刷したい。だったらコレ!

遂に「働き方シンカ論」発表!今やワークスタイル改革は「経営戦略」です。

2020年1月に延長サポートが終了。今からWindows 10移行を着実に進めよう。

メーカー以外の事業者が保守を行う「第三者保守」、そのメリットと品質とは

テクノロジーの最先端を行くトピックが満載! 【先端(ギ)研】

そうは言っても変われないビジネスパーソンに贈るコンテンツが満載

PULSENSE PS-600なら時計型で使いやすい!脈拍計測機能付きの活動量計を使う

パブリッククラウド、どれを選べばいいの……? 相談できますよ、この人に。

日々進化する人工知能(AI)は本当に仕事で役立つのか?実践的な話題を紹介