チルドさんの昨日の記事を読んで、面白いと思った。
一言で要約してしまうと「性欲が減退したら『女の子』を人間として見られるようになった」という話だと思う。
つまり今まで男性と、ごく一部の『女の子』しか見えていなかったチルドさんの世界は、性欲の減退を経てようやく「人間の世界」に様変わりしたわけだ。
ウェルカムニューワールド。
しかし私の中に性欲の減退=大人、という発想は無かったので驚いた。
性差もあり、ヤクルトと肉欲の物語もそんなに買う⁉と思ってしまう。
しかしそのすぐ後にcakesの連載『大学1年生の歩き方』を読んだら、チルドさんの心理がスムーズに理解できた。
この連載は大学生に向けた、人生を生きやすくするメソッド的な内容。
今回は大学生男子の恋愛はしばしば相手を人間として見ない傾向にある、というお話でした。
記事の中で桃山商事代表・清田隆之さんはこんな風に語っています。
私もかつて女性を人間として扱うことのできない男でした。
大学時代、ある飲み会の帰りに男友だちから「お前はホント気に入った女子にしか興味を示さないな。マジ冷酷なやつだよ」と指摘されたことがあります。
「お前は女子と同じ班で共同作業をしたことがないし、体育や図工が得意な女子がいるってことも知らないから、かわいい女子にしか興味を持てないんだよ」と痛烈に批判され、ズドーンとショックを受けました。
完全に図星でした。
男子校育ちのせいか、外見でしか女子を見ることができず、「女子にもいろんな人がいる」「ひとりの女子の中にもいろんな側面がある」という当たり前のことがまったくわかってなかったのです。
清田さんが学生時代にかかっていた『女性を人間として扱うことのできない病』。
この病から、40代のチルドさんはようやく抜け出せた、という話なんだと思います。
ただ私はチルドさんの文章から感じる無意識の歪みとか、怖気だつ感覚が、川原の石をひっくり返しているようで大好きなので、どうか変わらないでそのままで、なんてワガママなことを願ったりもするのだけれど。
ちなみに『大学一年生の歩き方』はなかなか辛辣な内容です。
偏見上等で言いますが、男の中には「女子に幻想を抱く」と「女子を下に見ている」が同居しています。さらに所有意識があり、その所有権は永続すると思い込んでいます。それは母親に対する感覚と同じです。俺は自由に生きたいけど、彼女にはいつも家で待ってて欲しい。いつも俺を見てて欲しいけど、いつも見られてると鬱陶しい。彼女は俺の世話をするのが大好きで、俺を脅かすようなことは絶対にしない。俺の浮気は大目に見てくれるけど、彼女は絶対に浮気しない……。そう思い込んでいる部分が、我々男には少なからずある。とても残念なことですが、これは認めざるを得ない事実です。
怠慢になるのも、話を聞かなくなるのも、束縛するのも、すべて「彼女は俺のもので、彼女はいつでも俺を受け入れてくれる」という意識が原因です。これは彼女を人間として見ていないから起こること。端的に言って、彼女を「女として」しか見ていない。もっと嫌な言い方をすれば、恋人を「セックス付きのママ」と捉えている節すらある。
この話は男子大学生に向けてのモノなので、男性の話ばかり謳ってますが、女子にもありますよね、こういう現象。
ありますよね…というか私自身心当たりあります。
20代前半の恋愛ポンチ脳だった頃。
ほんの一時期だけど、若い男の子は奢ってくれて当たり前、と思いあがってたバカ期があります。
今思うと相手を『男の子』だと思って軽んじてた。人間扱いしてない。
『男の子』でも『女の子』でも、相手が対等で大切な人間だ、思うだけでそんな無体なワガママは言えなくなりますよね。
Cakesの記事を読んで、もう一つ腑に落ちたことが。
私はストーカー殺人や無理心中のように、かつての恋人や自分の子を害するニュースを見るたびに、他者の命をどうしてそんなに簡単に身勝手に奪えるのだろう、と思っていました。
結局こういう事件も、相手を人間扱いしていないから起きてしまうのではないか、と。
交際相手も配偶者もたとえ実の子どもでも、世の中に自分の所有物である人間、なんて存在しませんよね。へその緒が切れた瞬間から、子どもでさえ他者になる。
そんな風に、家族であってもきちんと人間扱いする小さな配慮が大切なのでは、と思うんだよなぁ。
若者が自分の恋人を所有物のように扱い、しかもその所有権は永遠だと思い込んでしまうのは、本人の未熟さはもちろんだけど、親が上げ善据え膳で子どもをチヤホヤしすぎて、子どもに『自分のことは自分でして当たり前』という意識や、『他者のために何かをしてあげることへの喜び』を上手く伝えられなかったせいもあるのでは、と今二人の子の親である私は思っています。
『やってもらう』ことはもちろん楽だし、嬉しいんだけど。
『やってあげる』ことで得られる満足とか、楽しさも勿論あるよね?
社会参加とかボランティアが精神の安定に良い理由は『周囲の役に立つことで得られる満足感』に基づいてるんだろうし。
だから子どもにはバランス良く、『親から大事にしてもらえる幸福感』と『お手伝いすることで得られる達成感』を味わってほしいな、とは思うんだけど…
忙しい時は「手伝うよ!」と言ってくれる息子を自分の都合でお断りしてしまう私、まだまだまだまだ。
40代にして新しい世界を見つけることのできたチルドさんって、結構すごいんだな、と思ったりもするのですが…理由が…性欲の減退、か…
ちょっとはてな村の美女に喝入れてもらったらいいと思います、色んな意味で。
今日からまたブログを毎日更新しようと思います - 接客業はつらいよ! あけすけビッチかんどー日記!
大学1年生の歩き方 先輩たちが教える転ばぬ先の12のステップ
- 作者: トミヤマユキコ,清田隆之,死後くん
- 出版社/メーカー: 左右社
- 発売日: 2017/03/27
- メディア: 単行本
- この商品を含むブログ (1件) を見る