不労所得。なんと馨しい響きでしょう。
労働者なら一度は「不労所得で暮らしたい」と思ったことがあるのではないでしょうか。私は年に150回くらい思っています。
不労所得で遊んで暮らす、というわけではなく、安定的な不労所得で生活のベースとなる収入を補えれば、日々の仕事に対するストレスというのは、格段に緩和されるような気がしています。
「生活のために働く」という概念を捨て去りたいのです。
そもそも、不労所得とは、配当や賃料など、それを得るために労働をする必要がない収入のことです。
と言われていますが、不動産投資というのは、個人的には初心者にはハードルが高いと感じています。
投資物件を間違えれば赤字になる可能性がありますし、細々とした業務を考えると本当に「不労」なのか、と疑問を唱える不動産投資家の方もいらっしゃいます。
そうなると、やはり不労所得で王道なのは「配当」だと思っています。
今回この記事では、「配当で月20万の不労所得を実現するにはどうしたらいいか」を試算してみました。
月20万というのに明確な根拠はありません。生活のベースとなる費用がいくらかかるかは個人それぞれによって違うと思うので、私なりに現実的な線で「これぐらいあればいいな」というところを設定してみました。
- 試算における前提条件
- 毎年60万円を投資した場合
- 毎年120万円を投資した場合
- 元本1,000万円で毎年120万円を投資した場合
- 元本1,000万円で毎年150万円を投資した場合
- 元本1,000万円で毎年200万円を投資した場合
- 結論 月20万円の配当所得のハードルはめちゃくちゃ高い
- おまけ 年間利回り4%の株式銘柄
- 株式よりも高利回りの「ソーシャルレンディング」
試算における前提条件
- 年間240万円(月20万円)は税引き後収入です
- NISA*1は計算が煩雑になるため、除外しました
- 配当の利回りは常に4%です。配当収入は、4%から所得税20%*2を控除した3.6%を税引き後収入として計上しています
- 配当収入はすべて投資元本に組み入れました
さあ、それではさっそく試算にいってみましょう!
毎年60万円を投資した場合
まずは、かなり現実的なところから、毎年60万円を投資した場合の数字を見ていきましょう。
毎年60万円を投資し続けると、30年後に年間約113万円、年間240万円になるのはなんと46年後です。今の私の年齢だと、完全に定年後です。うーん、これはなかなか厳しい結果が出てきました。
毎年60万円を投資した場合:月20万円の不労所得を得るのは46年後
毎年120万円を投資した場合
60万円だと毎月20万円を得る頃にはおじいちゃんになってしまっているので、ふんばって毎年120万円の投資をすることにしましょう。一気に倍です。けっこう厳しいかもしれませんが、ぎりぎり現実的な線でしょうか。
毎年120万円を投資し続けると、20年後には年間約120万円。毎月20万円の配当所得を得るのは31年後となります。
31年後ですか。けっこう長いですね。その頃にはもう大きな支出もなくなってきているような…なかなか厳しい結果になりました。年間120万円投資し続けてもこれです。
毎年120万円を投資した場合:月20万円の不労所得を得るのは31年後
元本1,000万円で毎年120万円を投資した場合
ここからは、ちょっと条件を変えて、投資開始時に元本1,000万円を組み入れることとします。
その上で、毎年120万円ずつ投資した場合の試算です。福利のパワーでもって、劇的な期間短縮ができるでしょうか。
この条件だと、10年後には年間100万円の所得になり、年間240万円になるのは24年後です。
これでも24年後ですか。劇的には変わりませんね。これが現実です。
開始時1,000万円で毎年120万円を投資した場合:月20万円の不労所得を得るのは24年後
元本1,000万円で毎年150万円を投資した場合
ここから先は、投資額としてはやや非現実的だとしても数字だけは見ておきましょう。前述の開始元本1,000万円に加えて、毎年の投資額を150万円に増額です。
この条件では、10年後には年間約113万円、年間240万円の所得に達するのは21年後です。120万円の時とあまり変わりませんね。
開始時1,000万円で毎年150万円を投資した場合:月20万円の不労所得を得るのは21年後
元本1,000万円で毎年200万円を投資した場合
さて、ここまで来たら夢を追いかけてみましょう。毎年の投資額を200万円に増額です。これでどうなるか!
上記の条件の場合、10年後には年間約134万円の所得。年間240万円の配当所得を得るのは18年後になります。
元本1,000万で年間200万円投資し続けても、18年後です。こんなに厳しいなんて…
開始時1,000万円で毎年200万円を投資した場合:月20万円の不労所得を得るのは18年後
結論 月20万円の配当所得のハードルはめちゃくちゃ高い
私としては、正直明日からでも月20万円の配当所得が欲しいのですが、毎年200万円投資しても18年後とか、もはや現実的なレベルではないです。絶望です。
現実的な投資額で行くと、大体30年~40年はかかってしまう試算になりました。
さらに、今回の試算では、計算の煩雑さを省くために、年間利回り4%に固定しています。
利回り4%の株式を探すこと自体はそんなに難しいことではありませんが、減配や倒産などのリスクは全く考慮されていないため、これでも楽観的な試算と言えるでしょう。
今回は月20万円を目標に試算しましたが、月10万円の不労所得であれば、相当頑張って10年以内に実現するのは不可能ではないようです。
希望額は個人によって異なると思いますが「月〇円の不労所得が欲しい」と考えた場合に、どのような投資をしていけばそれが実現できるのか、それを考えるきっかけになれば幸いです。
ちなみに、投資元本ベースで言うと、6,700万円ぐらいですね。こちらを指針にして、計画を立てていくのもひとつのやり方かと思います。
おまけ 年間利回り4%の株式銘柄
銀行預金の利率から考えると、年刊利回り4%というのは異常に思えますが、米国株の高配当銘柄などでは、そんなに珍しい利率ではありません。安定的な優良企業でも、株主のために配当を多く出している企業はたくさんあります。
ここで、現時点での配当利回り4%の米国株をいくつかご紹介しておきます。
利回り4%前後以上の米国株銘柄
個別株投資で配当所得を狙うなら、分散投資をオススメします。集中投資でその会社が減配したら、配当計画が水の泡です。
また、米国の投資信託であるETFやその他個別銘柄については、たぱぞうさんが運営する「たぱぞうの米国株投資」というサイトが非常に詳しいです。もし、米国株投資をお考えの方は、たぱぞうさんのサイトを参考にしてみてください。
ちなみに、外国株に投資する場合は、今後確定申告で外国税額控除をする必要が出てくる可能性がありますので、そのあたりの勉強もしておいた方がいいかもしれません。
日本企業は利益が出ていても配当ではなく内部留保でため込む傾向があるので、米国企業に比べると高配当の銘柄は少ないです。
もし日本株で配当利回り4%を目指すなら、J-REIT(不動産の投資信託みたいなもの)などが選択肢のひとつとしてありますね。ただ、必ずしも安定的とは言えないので、注意深い投資が必要です。
株式よりも高利回りの「ソーシャルレンディング」
株式の配当よりも高利回りの金融商品として、ソーシャルレンディングというものがあります。
これは、ファンドやプロジェクト単位で投資するもので、配当としては10%以上の利回りを期待できる案件が多くあります。
はっきり言って、これは株式投資よりもリスクは高いです。ミドルリスク、ミドルリターンの投資だということを理解することが必要です。運用期間も決まっており、最短で約7カ月です。
ソーシャルレンディングの会社はいくつもありますが、その中でも伊藤忠商事が主要株主で1万円から始められるクラウドクレジット がオススメです。
期待利回りは約5.9%~約12.2%で、前述した株式配当の4%前後よりは断然リターンが大きいです。この利回りは国内のソーシャルレンディング会社でもトップレベルです。
ただ、投資をソーシャルレンディングに集中させるのはあまりにリスクが高いので、ポートフォリオの中のひとつとして考えるぐらいがちょうどいいと思います。
不動産投資をお考えの方は、脱サラして実際に不動産投資の状況をリアルに報告しているペリカンさんの運営サイト「あすなろLIFE」がオススメです。