かなり日があいてしまったが、前回の中国のモバイル決済に関するエントリーは多くの方に読んでいただいた。日本でもこの分野に関する関心が非常に高いことを痛感。また、ブログを始めたばかりの自分の文章が、多くの方に見てもらえる「喜び」を感じると共に、「発信することの責任」を感じる良い経験となった。そして、この個人ブログがハンズラボ(株)のブログに転載されることになり、より多くの方の目に触れることになった。機会をいただいた代表の長谷川秀樹さんには、この場を借りて御礼申し上げたい。
コンビニでセルフ会計がスタート
さて今回は、上海のコンビニエンスストアでたて続けに無人レジが始まったということなので、週末視察に行ってみた。一つは7月から始まった上海の「ローソン」、もう一つは9月から始まった新興コンビニの「24鮮」。
"無人" と言うと、一見「Amazon Go」や中国の「Bingo Box」のような "無人店舗" を想像しがちだが、あくまで "無人レジ" なのでそのレベルは大きく異なる。さらに言うと、タイトルに付けた "無人レジ" という表現にも少々語弊がある。要は、顧客自身に会計をしてもらう「セルフ会計システム」なのだが、日本人がイメージする "無人レジ" とはアプローチが異なる。セルフ会計システムは、日本でも大手スーパーではしばしば見られるようになったが、コンビニへの導入はまだまだこれからだ。
今年の7月に入って、日本のローソンがオフィス内で菓子やカップ麺などをセルフ販売する設置型コンビニ「プチローソン」に、交通系電子マネー専用セルフレジを導入したとの事だが、一般店舗での導入は聞いたことがない。
<参考資料>非現金化セルフレジ専用の設置型オフィス内コンビニ「プチローソン」7月3日(月)より、東京都23区内先行でサービス開始|ローソン
24鮮 fresh+
まず最初に見に行ったのが2017年開業の新興コンビニ「24鮮」。現在、11店舗展開しているとのことだが、視察に行ったのは日本人が多く住む娄山関路駅から10分ほど歩いた仙霞路にある店舗。24鮮の取り組みは、アリババ傘下のO2Oサービス「口碑(Kǒubēi コウベイ)」(※後述)との協業によるものである。
店外にも、店内にも、セルフ会計の告知が派手になされている。24鮮が、この取り組みにかなり力を入れていることが分かる。
《使い方》
- POPに掲示されているQRコードをAlipayでスキャン。Alipay内のタブに設定されている「口碑」の24鮮のページが開くので、「自助結帳(セルフ会計)」を選択。
- スキャナーで購入商品のバーコードを読み取る。
- カートに入った商品をAlipayで支払い。
- 支払い完了画面を店員に提示して、確認してもらった上で退店。
使ってみた感想は、特に分かり辛い点もなく、非常にスムーズに購入できた。口碑はAlipayから自動的に起動されるので、特にアプリのインストールも必要ない。しかし、しばらく店内の様子を見ていたが、セルフ会計を利用する客は全くいない。皆、有人レジで普通に入金している。私がセルフ会計の支払い完了画面を提示した時も、店員の反応は「あー、それね」ぐらいの冷めた反応だった。
ローソン
1996年に初めて中国に進出したローソン。上海中心部だけで言うと、日系コンビニではファミリーマート、ローソン、セブンイレブンの順で店舗を見かける。視察したのは、上海高島屋と同じ建物内になる国際財富中心の中にあるローソン。ローソンのセルフ会計は、「火星兔子」というサードパーティのアプリを使うのだが、そのアプリで対象店舗の一つに出てきたローソンがこの店舗だった。