地価調査 商業地10年ぶりに上昇

地価調査 商業地10年ぶりに上昇
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ことしの都道府県地価調査が公表され、外国人旅行者の増加でホテルや店舗向けの土地の需要が強くなっていることから、「商業地」の地価は0.5%値上がりし、10年ぶりに上昇に転じました。「住宅地」はまだ下落が続いていますが、下落率は8年連続で縮小しました。
都道府県地価調査はことし7月1日の時点で都道府県が行った調査を国土交通省でまとめました。東京電力福島第一原子力発電所の事故による帰宅困難区域などを除いた全国21,600か所余りが調査の対象です。

今回は、「商業地」の全国平均の地価がプラス0.5%と10年ぶりに上昇に転じました。東京、大阪、名古屋の「三大都市圏」の平均の地価はプラス3.5%。札幌、仙台、広島、福岡の4つの市ではプラス7.9%と三大都市圏を上回って上昇しました。

外国人旅行者の増加に伴ってホテルや、飲食店・小売店など店舗向けの土地の需要が高まっていることや、日銀の金融緩和で大量に供給されている資金が引き続き、不動産投資に向かっているためです。

また「工業地」は、ネット通販の普及を背景に、高速道路のインターチェンジ周辺に物流施設の建設が相次いでいることなどから、全国平均の地価は、プラス0.002%と26年ぶりに下落から脱しました。

一方、「住宅地」の地価は、3大都市圏の平均でプラス0.4%となり、マンションの建設用地の需要が強い東京23区はプラス3.3%、名古屋市はプラス1.4%、大阪市はプラス0.5%となりました。札幌、仙台、広島、福岡の4つの市の平均も、プラス2.8%で、住宅地も3大都市圏を上回る上昇となりました。全国平均は、今回も下げ止まらず、マイナス0.6%と26年連続で下落しましたが、下落率は8年連続で縮小しています。

全国の主な上昇地点

<住宅地>
全国の住宅地で地価の上昇率が最も高かったのは、北海道倶知安町樺山で、去年より28.6%上昇しました。スキーリゾートとして知られる「ニセコ地区」にあり、外国人による別荘地の需要が盛んで、2年連続で上昇率が最も高くなりました。

2番目に上昇率が高かったのは、福岡市城南区鳥飼で13.2%上昇しました。市の中心部に近く、地下鉄の駅周辺の土地です。周辺は、利便性が高いことから、住宅の需要が強く、マンション用の土地が高値で取り引きされるされるケースも出ているということです。

3番目は、那覇市安謝で上昇率は13.1%でした。市の中心部にある「新都心地区」で、区画整理が進んだことから、住宅需要が強く地価を押し上げました。

<商業地>
商業地で最も上昇率が高かったのは、京都市伏見区深草稲荷御前町で29.6%上昇しました。周辺にある伏見稲荷大社は外国人旅行者に人気の場所で、旅行サイト運営会社「トリップアドバイザー」の口コミで、人気の観光地の1位に選ばれ、店舗向けの土地需要が高くなっています。

2番目に高かったのは、大阪市中央区宗右衛門町で29.1%上昇しました。大阪観光の中心地となっている道頓堀の戎橋周辺にあり、外国人旅行者の増加に伴ってにぎわいが増しています。

3番目は、名古屋市中村区名駅3丁目で28.8%上昇しました。駅周辺の大規模な再開発で、店舗やオフィス向けの土地の需要が高まったことが要因です。

<工業地>
工業地で最も上昇率が高かったのは、茨城県五霞町江川で17.9%上昇しました。ことし2月に茨城県内で全線開通した圏央道のインターチェンジが近いことから、大型の物流施設などの土地の需要が高くなっています。

全国の最高価格地点

<商業地>
商業地で全国一、地価が高かったのは、12年連続で東京・中央区銀座2丁目の明治屋銀座ビルで、1平方メートル当たり3890万円でした。外国人旅行者の増加で、免税店など店舗向けの土地の需要が高いことや、2020年の東京オリンピック・パラリンピックを前に再開発が進んだことから、バブル期の平成2年と平成3年の3800万円を超え、過去最高の価格となりました。

<住宅地>
住宅地で最も地価が高かったのは、6年連続で東京・千代田区六番町で、1平方メートル当たり380万円でした。高級住宅地で、駅からも近くマンションの需要が堅調だということです。

専門家 全国的に地価の回復感

今回の地価調査について不動産の調査会社「東京カンテイ」の井出武上席主任研究員は「住宅地は、地方の県庁所在地でも駅前の再開発などが進み、中心部の値上がり傾向がはっきり出ている。全国的に地価の回復感というのが非常に強く出ている」と話しています。

ただ、「東京の都心部では、マンションの価格が高くなりすぎて、上昇の余地がなくなっているところもあり、地価の値上がりに鈍さも出てきている」と話し、千代田区や中央区、港区、目黒区では伸び率が下がっていると指摘しています。

商業地については、「地方でも観光客の増加によってホテルやビルの需要が高まり、地価を引き上げる循環に入っているという印象がある」と分析しています。

一方、今後の地価の見通しについて、「東京オリンピック・パラリンピックが開催される2020年以降については価格が下がるという見方もあるが、2020年以降も、都市部では大規模な再開発がめじろ押しとなっており、再開発が進むところでは、それほど大きな下落は起きないのではないか」と分析しています。

地価調査 商業地10年ぶりに上昇

ことしの都道府県地価調査が公表され、外国人旅行者の増加でホテルや店舗向けの土地の需要が強くなっていることから、「商業地」の地価は0.5%値上がりし、10年ぶりに上昇に転じました。「住宅地」はまだ下落が続いていますが、下落率は8年連続で縮小しました。

都道府県地価調査はことし7月1日の時点で都道府県が行った調査を国土交通省でまとめました。東京電力福島第一原子力発電所の事故による帰宅困難区域などを除いた全国21,600か所余りが調査の対象です。

今回は、「商業地」の全国平均の地価がプラス0.5%と10年ぶりに上昇に転じました。東京、大阪、名古屋の「三大都市圏」の平均の地価はプラス3.5%。札幌、仙台、広島、福岡の4つの市ではプラス7.9%と三大都市圏を上回って上昇しました。

外国人旅行者の増加に伴ってホテルや、飲食店・小売店など店舗向けの土地の需要が高まっていることや、日銀の金融緩和で大量に供給されている資金が引き続き、不動産投資に向かっているためです。

また「工業地」は、ネット通販の普及を背景に、高速道路のインターチェンジ周辺に物流施設の建設が相次いでいることなどから、全国平均の地価は、プラス0.002%と26年ぶりに下落から脱しました。

一方、「住宅地」の地価は、3大都市圏の平均でプラス0.4%となり、マンションの建設用地の需要が強い東京23区はプラス3.3%、名古屋市はプラス1.4%、大阪市はプラス0.5%となりました。札幌、仙台、広島、福岡の4つの市の平均も、プラス2.8%で、住宅地も3大都市圏を上回る上昇となりました。全国平均は、今回も下げ止まらず、マイナス0.6%と26年連続で下落しましたが、下落率は8年連続で縮小しています。

全国の主な上昇地点

<住宅地>
全国の住宅地で地価の上昇率が最も高かったのは、北海道倶知安町樺山で、去年より28.6%上昇しました。スキーリゾートとして知られる「ニセコ地区」にあり、外国人による別荘地の需要が盛んで、2年連続で上昇率が最も高くなりました。

2番目に上昇率が高かったのは、福岡市城南区鳥飼で13.2%上昇しました。市の中心部に近く、地下鉄の駅周辺の土地です。周辺は、利便性が高いことから、住宅の需要が強く、マンション用の土地が高値で取り引きされるされるケースも出ているということです。

3番目は、那覇市安謝で上昇率は13.1%でした。市の中心部にある「新都心地区」で、区画整理が進んだことから、住宅需要が強く地価を押し上げました。

<商業地>
商業地で最も上昇率が高かったのは、京都市伏見区深草稲荷御前町で29.6%上昇しました。周辺にある伏見稲荷大社は外国人旅行者に人気の場所で、旅行サイト運営会社「トリップアドバイザー」の口コミで、人気の観光地の1位に選ばれ、店舗向けの土地需要が高くなっています。

2番目に高かったのは、大阪市中央区宗右衛門町で29.1%上昇しました。大阪観光の中心地となっている道頓堀の戎橋周辺にあり、外国人旅行者の増加に伴ってにぎわいが増しています。

3番目は、名古屋市中村区名駅3丁目で28.8%上昇しました。駅周辺の大規模な再開発で、店舗やオフィス向けの土地の需要が高まったことが要因です。

<工業地>
工業地で最も上昇率が高かったのは、茨城県五霞町江川で17.9%上昇しました。ことし2月に茨城県内で全線開通した圏央道のインターチェンジが近いことから、大型の物流施設などの土地の需要が高くなっています。

全国の最高価格地点

<商業地>
商業地で全国一、地価が高かったのは、12年連続で東京・中央区銀座2丁目の明治屋銀座ビルで、1平方メートル当たり3890万円でした。外国人旅行者の増加で、免税店など店舗向けの土地の需要が高いことや、2020年の東京オリンピック・パラリンピックを前に再開発が進んだことから、バブル期の平成2年と平成3年の3800万円を超え、過去最高の価格となりました。

<住宅地>
住宅地で最も地価が高かったのは、6年連続で東京・千代田区六番町で、1平方メートル当たり380万円でした。高級住宅地で、駅からも近くマンションの需要が堅調だということです。

専門家 全国的に地価の回復感

今回の地価調査について不動産の調査会社「東京カンテイ」の井出武上席主任研究員は「住宅地は、地方の県庁所在地でも駅前の再開発などが進み、中心部の値上がり傾向がはっきり出ている。全国的に地価の回復感というのが非常に強く出ている」と話しています。

ただ、「東京の都心部では、マンションの価格が高くなりすぎて、上昇の余地がなくなっているところもあり、地価の値上がりに鈍さも出てきている」と話し、千代田区や中央区、港区、目黒区では伸び率が下がっていると指摘しています。

商業地については、「地方でも観光客の増加によってホテルやビルの需要が高まり、地価を引き上げる循環に入っているという印象がある」と分析しています。

一方、今後の地価の見通しについて、「東京オリンピック・パラリンピックが開催される2020年以降については価格が下がるという見方もあるが、2020年以降も、都市部では大規模な再開発がめじろ押しとなっており、再開発が進むところでは、それほど大きな下落は起きないのではないか」と分析しています。