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「ツール・ド・東北」に参加してみた

自転車に乗って観光を楽しむ「サイクルツーリズム」。全国の自治体が力を入れていて、ちょっとしたブームの様相を呈しています。
宮城県では毎年秋、自転車大会の「ツール・ド・東北」が開かれています。東日本大震災からの復興を目指して始まったこの大会。記者が実際に参加して、サイクルツーリズムの可能性を考えました。(経済部記者 木下健)

観光を意識したコース設定

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9月17日までの2日間、宮城県で開かれた「ツール・ド・東北」。2013年11月に第1回大会が開催され、5回目を迎えたことしの大会。台風接近の影響で一部のコースが変更されましたが、全国から過去最多に迫る3700人が参加しました。最高齢は86歳の男性。高価なロードバイクを駆る本格派はもちろん、いわゆる“ママチャリ”で参加する人も見られました。

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ことしの大会は、より観光を意識した新たな試みが行われました。宮城県の沿岸部に複数用意されたルートのうち、東松島市の奥松島エリアを舞台とした70キロのコース。10人前後のグループで走り、道中、高台に歩いて登って松島の絶景を楽しむというもので、自然や震災遺構の見学にハイキングを組み合わせました。近くの多目的施設では、地元の食材をふんだんに使った「サラダのりうどん」がふるまわれました。

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肌で感じた復興と厳しさ

私が参加したのは、女川町と石巻市の雄勝エリアを巡るコース。沿道から地元の人たちの声援を受けながら、変化に富んだリアス式海岸の景色を楽しみ、休憩所では、地域の方々が調理したサンマのつみれ汁や焼きホタテなど、地元の海の幸を堪能しました。

震災の発生から6年半。壊滅的な被害を受けたこの地域にも新しい建物が増え、復興が進んでいます。一方で今も仮設住宅での暮らしを余儀なくされている人たちもいます。自転車に乗って、この土地の風を感じながら走ったことで、被災地の今がより鮮明に感じられたように思います。