高野連 来春からタイブレーク導入を決定

高野連 来春からタイブレーク導入を決定
高野連=日本高校野球連盟は、選手の負担軽減を図るため、来年春のセンバツ高校野球から、延長戦でランナーを置いた状態から攻撃を始めるタイブレークを導入することを正式に決めました。
高野連は、ことしの春のセンバツ高校野球で引き分け再試合が2試合続いたことなどから、春、夏の甲子園での選手の負担軽減策として、延長戦で決着をつけやすくするために、ランナーを置いた状態から攻撃を始めるタイブレークの導入に向けて検討を続けてきました。

19日、大阪・西区で理事会などを開き、来年春のセンバツ高校野球から導入することを正式に決めました。タイブレークが行われるのは延長13回からで、決勝でも行うのかや、ランナーを何塁に置いて始めるかなど具体的なルールについては今後、さらに議論したうえで、11月までに決めるということです。

高野連によりますと、甲子園でのタイブレーク導入をめぐっては、人為的に決着をつけることに否定的な意見もありましたが、ことし5月に全国の都道府県連盟に対して行ったアンケートでは、半数以上の38の連盟が導入に賛成だったということです。また、すでに春の地方大会で導入している34の連盟では、タイブレークに入ると平均1.3イニングで試合が終了していて、延長戦の短縮に一定の成果があがっているということです。

高校野球では、選手の負担軽減を図るために延長戦の回数の短縮や休養日の導入など、これまでにもさまざまな対策が講じられてきましたが、甲子園でタイブレーク導入という大きな転換点を迎えることになりました。

事務局長 高校生の体を守る

高野連の竹中雅彦事務局長は「成長途中の高校生の体を守ることや日程上の問題、それに、18歳以下のワールドカップなど国際大会でもタイブレークが導入されているため、それらのことを総合的に考えて導入を決めた」と説明しました。

そして、「高校生の体を守るという意味では、ピッチャーの投球回数や投球数の制限がいちばんいいと思うが、投手力が豊富な強豪校に優位に働くなど現時点で導入するのが難しい。タイブレークはベストでないが、次善の策だと思う」と話していました。

桑田さん「投手に対する球数制限を」

大阪のPL学園のエースとして春夏5回連続で甲子園に出場した桑田真澄さんは、タイブレークの導入が決まったことについて、「選手を守るためにはルールを作るしかなく、時代にあったルールがとても大事だ。導入は賛成だし、一歩前進だと思う」と導入を評価しました。

そのうえで、アメリカの高校では球数制限などが導入されている例を挙げて、「タイブレークに入る試合は数えられるほどだし、投手に対する球数制限や連投禁止をかけないかぎり、子どもたちをケガから守ることはできない」とさらなる改革を求めていました。

荒木さん「けがする選手が減るのでは」

東京の早稲田実業のエースとして甲子園に春夏合わせて5回出場した荒木大輔さんは、タイブレークの導入が決まったことについて、「けがのために野球ができなくなる選手が減るのではないかと思う。

また、WBCなどでもタイブレークは行われているので、国際大会への準備にもなる。ただ、実際に導入すれば、課題も出てくると思うので、そのときにはまた議論をして次のルールを作っていくべきたと思う」と話していました。

太田さん「一律に規制するのはどうか」

昭和44年の夏の全国高校野球の決勝で、青森の三沢高校のエースとして、延長18回、0対0で引き分けとなった試合と翌日の再試合を1人で投げ抜いた太田幸司さんは、タイブレークの導入が決まったことについて疑問を投げかけています。

太田さんは「選手はふるさとの代表としていろんな思いを背負って甲子園に出場しているので、タイブレークで決着がつくというのはあまり見たくない。プロを目指している投手は、監督が無理をして投げさせなければいい。高校で野球をやめるから最後まで投げたいという投手もいると思うので、すべてを一律に規制するのはどうかと思う」と話しています。

タイブレークとは

タイブレークは、延長戦で決着をつけやすくするため、ランナーを置いた状態から攻撃を始めるもので、選手の負担軽減や試合時間の短縮を図るため、国内外の大会で導入が進んでいます。

国内では、社会人野球がいち早く導入し、2003年の都市対抗野球から、タイブレークが始められました。学生の大会では6年前から大学日本一を決める全日本大学選手権で導入され、延長10回以降、ワンアウト満塁から攻撃を始める方式で実施されています。

高校野球でも6年前の明治神宮大会で初めて導入され、全国9つの春の地区大会ですでに行われてきましたが、春と夏の甲子園については導入に慎重な意見があってこれまで実施されていませんでした。

一方、軟式の全国高校野球では3年前に岐阜の中京高校と広島の崇徳高校が対戦した準決勝が同点のまま決着がつかず、4日間にわたって延長50回まで行われたことを受けて、おととしの夏の大会からタイブレークが導入されました。

国際大会では2008年の北京オリンピックから導入され、WBCでも8年前の第2回大会から、タイブレークが行われています。

導入の経緯

高野連はここ数年、選手の負担軽減策として春と夏の甲子園のタイブレーク導入について検討してきましたが、「高校で野球を終える選手もいる中で、最後の試合をタイブレークで終えるのはいかがなものか」など、人為的に決着をつけることに否定的な意見も根強く、議論は平行線をたどってきました。

今回、タイブレーク導入に踏み切るきっかけとなったのが、ことしの春のセンバツ高校野球でした。大会は7日目の第2試合と第3試合がいずれも延長15回で決着がつかず、春夏通じて初めて1大会で2試合が引き分け再試合となりました。さらに雨で1日順延になったこともあって大会の休養日がなくなり、連投となる投手が出たことから高野連に対し、選手の体への負担を心配する声が多く寄せられました。

こうした状況を受けて、高野連がことし5月に全国の都道府県連盟に対してタイブレークの導入についてアンケートを行った結果、ほとんどの連盟が導入に賛成だったということです。

また、春の地方大会ですでにタイブレークを導入している全国34の連盟からタイブレークに入ると、平均で1.3イニングで試合が終了し、延長戦の短縮に一定の成果があがっていることも報告されました。

こうしたことから高野連では、ことし6月の技術・振興委員会で、来年春のセンバツからタイブレークを導入する方向で意見をまとめ、19日の理事会などで正式に決定しました。

負担軽減への取り組み

高校野球では、選手の体への負担に配慮するため、これまでにも延長回数の見直しなどが行われてきました。

延長の規定が初めて作られたのは、昭和33年の夏の全国高校野球で、延長18回が終わって同点だった場合は引き分けとなり、再試合が行われることになりました。

そして、平成12年の春のセンバツ高校野球から、延長の回数が18回から15回に短縮されました。さらに、4年前の夏の全国高校野球からは、準々決勝と準決勝の間に「休養日」が設けられるようになりました。

高校野球は、体力の限界までプレーする選手たちの姿が大きな感動を呼んできましたが、選手の健康に考慮して、さまざまな対策が講じられてきました。
高野連 来春からタイブレーク導入を決定

高野連 来春からタイブレーク導入を決定

高野連=日本高校野球連盟は、選手の負担軽減を図るため、来年春のセンバツ高校野球から、延長戦でランナーを置いた状態から攻撃を始めるタイブレークを導入することを正式に決めました。

高野連は、ことしの春のセンバツ高校野球で引き分け再試合が2試合続いたことなどから、春、夏の甲子園での選手の負担軽減策として、延長戦で決着をつけやすくするために、ランナーを置いた状態から攻撃を始めるタイブレークの導入に向けて検討を続けてきました。

19日、大阪・西区で理事会などを開き、来年春のセンバツ高校野球から導入することを正式に決めました。タイブレークが行われるのは延長13回からで、決勝でも行うのかや、ランナーを何塁に置いて始めるかなど具体的なルールについては今後、さらに議論したうえで、11月までに決めるということです。

高野連によりますと、甲子園でのタイブレーク導入をめぐっては、人為的に決着をつけることに否定的な意見もありましたが、ことし5月に全国の都道府県連盟に対して行ったアンケートでは、半数以上の38の連盟が導入に賛成だったということです。また、すでに春の地方大会で導入している34の連盟では、タイブレークに入ると平均1.3イニングで試合が終了していて、延長戦の短縮に一定の成果があがっているということです。

高校野球では、選手の負担軽減を図るために延長戦の回数の短縮や休養日の導入など、これまでにもさまざまな対策が講じられてきましたが、甲子園でタイブレーク導入という大きな転換点を迎えることになりました。

事務局長 高校生の体を守る

高野連の竹中雅彦事務局長は「成長途中の高校生の体を守ることや日程上の問題、それに、18歳以下のワールドカップなど国際大会でもタイブレークが導入されているため、それらのことを総合的に考えて導入を決めた」と説明しました。

そして、「高校生の体を守るという意味では、ピッチャーの投球回数や投球数の制限がいちばんいいと思うが、投手力が豊富な強豪校に優位に働くなど現時点で導入するのが難しい。タイブレークはベストでないが、次善の策だと思う」と話していました。

桑田さん「投手に対する球数制限を」

大阪のPL学園のエースとして春夏5回連続で甲子園に出場した桑田真澄さんは、タイブレークの導入が決まったことについて、「選手を守るためにはルールを作るしかなく、時代にあったルールがとても大事だ。導入は賛成だし、一歩前進だと思う」と導入を評価しました。

そのうえで、アメリカの高校では球数制限などが導入されている例を挙げて、「タイブレークに入る試合は数えられるほどだし、投手に対する球数制限や連投禁止をかけないかぎり、子どもたちをケガから守ることはできない」とさらなる改革を求めていました。

荒木さん「けがする選手が減るのでは」

東京の早稲田実業のエースとして甲子園に春夏合わせて5回出場した荒木大輔さんは、タイブレークの導入が決まったことについて、「けがのために野球ができなくなる選手が減るのではないかと思う。

また、WBCなどでもタイブレークは行われているので、国際大会への準備にもなる。ただ、実際に導入すれば、課題も出てくると思うので、そのときにはまた議論をして次のルールを作っていくべきたと思う」と話していました。

太田さん「一律に規制するのはどうか」

昭和44年の夏の全国高校野球の決勝で、青森の三沢高校のエースとして、延長18回、0対0で引き分けとなった試合と翌日の再試合を1人で投げ抜いた太田幸司さんは、タイブレークの導入が決まったことについて疑問を投げかけています。

太田さんは「選手はふるさとの代表としていろんな思いを背負って甲子園に出場しているので、タイブレークで決着がつくというのはあまり見たくない。プロを目指している投手は、監督が無理をして投げさせなければいい。高校で野球をやめるから最後まで投げたいという投手もいると思うので、すべてを一律に規制するのはどうかと思う」と話しています。

タイブレークとは

タイブレークは、延長戦で決着をつけやすくするため、ランナーを置いた状態から攻撃を始めるもので、選手の負担軽減や試合時間の短縮を図るため、国内外の大会で導入が進んでいます。

国内では、社会人野球がいち早く導入し、2003年の都市対抗野球から、タイブレークが始められました。学生の大会では6年前から大学日本一を決める全日本大学選手権で導入され、延長10回以降、ワンアウト満塁から攻撃を始める方式で実施されています。

高校野球でも6年前の明治神宮大会で初めて導入され、全国9つの春の地区大会ですでに行われてきましたが、春と夏の甲子園については導入に慎重な意見があってこれまで実施されていませんでした。

一方、軟式の全国高校野球では3年前に岐阜の中京高校と広島の崇徳高校が対戦した準決勝が同点のまま決着がつかず、4日間にわたって延長50回まで行われたことを受けて、おととしの夏の大会からタイブレークが導入されました。

国際大会では2008年の北京オリンピックから導入され、WBCでも8年前の第2回大会から、タイブレークが行われています。

導入の経緯

高野連はここ数年、選手の負担軽減策として春と夏の甲子園のタイブレーク導入について検討してきましたが、「高校で野球を終える選手もいる中で、最後の試合をタイブレークで終えるのはいかがなものか」など、人為的に決着をつけることに否定的な意見も根強く、議論は平行線をたどってきました。

今回、タイブレーク導入に踏み切るきっかけとなったのが、ことしの春のセンバツ高校野球でした。大会は7日目の第2試合と第3試合がいずれも延長15回で決着がつかず、春夏通じて初めて1大会で2試合が引き分け再試合となりました。さらに雨で1日順延になったこともあって大会の休養日がなくなり、連投となる投手が出たことから高野連に対し、選手の体への負担を心配する声が多く寄せられました。

こうした状況を受けて、高野連がことし5月に全国の都道府県連盟に対してタイブレークの導入についてアンケートを行った結果、ほとんどの連盟が導入に賛成だったということです。

また、春の地方大会ですでにタイブレークを導入している全国34の連盟からタイブレークに入ると、平均で1.3イニングで試合が終了し、延長戦の短縮に一定の成果があがっていることも報告されました。

こうしたことから高野連では、ことし6月の技術・振興委員会で、来年春のセンバツからタイブレークを導入する方向で意見をまとめ、19日の理事会などで正式に決定しました。

負担軽減への取り組み

高校野球では、選手の体への負担に配慮するため、これまでにも延長回数の見直しなどが行われてきました。

延長の規定が初めて作られたのは、昭和33年の夏の全国高校野球で、延長18回が終わって同点だった場合は引き分けとなり、再試合が行われることになりました。

そして、平成12年の春のセンバツ高校野球から、延長の回数が18回から15回に短縮されました。さらに、4年前の夏の全国高校野球からは、準々決勝と準決勝の間に「休養日」が設けられるようになりました。

高校野球は、体力の限界までプレーする選手たちの姿が大きな感動を呼んできましたが、選手の健康に考慮して、さまざまな対策が講じられてきました。