ソロ登山にオススメのウェア 初夏~夏
初夏から夏にかけて、登山の際の服装で注意すべきなのは通気性の良い素材のものを選ぶこと。
暑さを逃がすため、風が通る素材の服を着る必要があります。
登山はサッカーや野球などのスポーツとは違って、命を守るためにたくさんの装備が必要となります。
すべての装備を一気に揃えようとすると、数万円では収まらないでしょう。
登山に挑戦するのであれば、多少お金がかかるのは仕方ありません。
節約するために安物に手を出してしまうと、すぐに使えなくなって結果的に高くつくことがあります。
初めからそれなりの値段のものを買っておく方がいいでしょう。
登山用品の専門店で、プロに相談しながら高くても良いものを選んでおくべきです。
長く愛用できればそれだけ愛着も増すので、お気に入りのものに囲まれて登山をすれば、きっとより楽しく感じられますよ。
買うときは高いなと感じるかもしれませんが、結果的に長い目で見るとその方が安くつくはずです。
では改めて、夏の登山に適した服装をご紹介していきます。
上着
暑いからといって、決して半袖のものを選ばないようにしてください。
長袖の上着は必ず必要です。
長袖の上着を着用することで、日焼けを防いだり、急な天候の悪化で寒さに襲われたときも安心です。
また、半袖で肌がむき出しになっているとそれだけ怪我をするリスクも高く、また怪我をしたときに重症になりやすくなります。
バイクに乗るときに、万が一の転倒に備えて半袖や半ズボンは避けた方がいいのと同じですね。
そして、長袖の上着であれば何でもいいというわけではありません。
登山用のものを選び、特に高い山に挑戦する際は、保温性の高いウールや化学繊維で作られたものを選んでおきましょう。
ズボン
ズボンもまた上着と同じ理由で、フルレングスのものを選んでおきましょう。
最近では、登山に適した伸縮性の強い素材のものもたくさん販売されています。
着心地にもこだわりたいでしょうが、綿100%の生地は濡れたときに渇きにくく、また水分を含むと重くなるのでおすすめできません。
ズボンもまた、登山用のものを選んでおきましょう。
下着
山では突然の寒さに襲われることがあるので、保温性の高い化学繊維の下着が必要になることがあります。
暑くなったときの備えとして、通気性の良いメッシュ素材のものも1枚持っておくと安心です。
下着は必ず替えも持っておきましょう。
フリース
軽いので、防寒対策として夏でも持っておくといいでしょう。
休憩や宿泊するときにも使えます。
最近では、小さくたためる薄手のダウンジャケットも販売されているので、好みでどちらかを選んで持って行くようにしてください。
靴下
ウールや化学繊維で作られた、厚手のしっかりとしたものを選びましょう。
靴下の2枚履きは足の血行を悪くし余計に冷えてしまうので避けましょう。
最近は登山靴の性能も上がっているので、靴下は1枚で充分です。
こちらも替えを忘れずに。
雨具
上下が分かれているタイプで、ゴアテックスなどの通気性が良く防水機能に優れた素材のものを選びましょう。
通気性の悪い雨具を着ていると、気分が悪くなることもあります。
雨具は雨のときだけでなく、防寒対策にも使えます。
帽子
夏場は熱中症対策として帽子は必須アイテムです。
また、もしも何かが頭上に落ちてきたときにダメージを軽減させることもできます。
野球帽ではなく、つばがぐるりと一周しているタイプの帽子を選びましょう。
あご紐のあるものを選ぶと風で飛びにくく安心です。
手袋
岩場などで手をつく可能性があるときや、コンロを使うときなどは手袋を着用しましょう。
専用のトレッキング・グローブがベストですが、軍手でも構いません。
サイズの合った、脱げにくいものを選びましょう。
雪がない季節の登山に必要な装備
登山に持っていく道具は、その場で初めて使うことのないよう、事前にしっかりと使い方をマスターしておきましょう。
そして、登山が終わった後はメンテナンスを忘れずに。
登山道具はたくさんの種類があるので、本当に必要なものだけを買うようにしましょう。
店員に勧められても、本当に自分に必要かどうか冷静に判断してください。
例えばコンロについて。
たくさんの種類が販売されていますが、ソロ登山の場合は小さなもので充分です。
また重さにも気を付けましょう。
ガスコンロは石油コンロに比べて軽いので、ソロ登山におすすめです。
カートリッジも小さなものを選び、荷物が無駄に重くならないようにしましょう。
買っただけで満足せず、登山の前にしっかりと使い方を覚えておいてください。
ここからは、ソロ登山に特に大切な基本となるアイテムをご紹介します。
登山靴
ワンデイハイクなどの軽い登山の場合は、軽登山靴で充分ですが、いずれ本格的な登山にチャレンジしたいと思っているのであれば、革の登山靴や高強度のナイロン繊維を使用した登山靴を購入してください。
靴に慣れておくこともとても重要なので、登山の前にその靴で家の近くを散歩しておきましょう。
登山中に靴が合わずに足が痛くなることを避けられます。
また登山靴を購入する時間帯にも注意が必要です。
むくみやすい夕方に購入しておくといいでしょう。
ザック
登山の日数によってサイズは大きく変わりますが、山で何泊かする予定であれば、ビバーク(予定にない急な野宿)することも想定して、下半身がすっぽりと入る大きさを選んでください。
40~50リットルのものを選んでおけば、2泊3日ほどは可能になります。
ザックを長時間背負うと背中の蒸れが気になりますが、最近ではメッシュのパッドが使われたものなどもあり、より快適に過ごせるようになっています。
また、防水対策としてザックカバーも忘れずに。
いちいちザックから細々した荷物を取り出すのが面倒であれば、ウエストバッグなども用意しておくとスムーズです。
シュラフ(寝袋)
スリーシーズン用がおすすめです。
コンロ
石油コンロ
古くから登山者に愛用されてきましたが、着火に手間がかかるので最近ではあまり使われなくなってきました。
石油は引火しにくく安全で、また安価という特徴があります。
ガソリンコンロ
ホワイトガソリンを燃料とし、火力が強いので風が強いときにも使用できます。
石油コンロと同じく着火に手間がかかりますが、海外の遠征やガスボンベが手に入らない地域で活躍しています。
最大のデメリットは、ホワイトガソリンの引火性の強さです。
扱いには充分に注意しましょう。
ガスコンロ
小さく軽量化されており、着火も簡単です。
昔は寒い時期に使うと火力が弱くなることがありましたが、現在では改良されています。
風が強いときは風を遮るものが必要になります。
ガスボンベを複数持っておく必要があるので、かさばるというデメリットがありますが、手軽に使えるので便利です。
コッヘル
軽量で強度のあるチタン製のものがおすすめです。
またフライパンやヤカンなどがセットになったものもありますが、大小2つのクッカーがセットされたもので充分です。
荷物を無駄に多くしないためにも、2つのクッカーで効率の良い調理を心がけましょう。
お皿もあると便利ですが、コッヘルの蓋で代用できます。
水筒
1リットルは入るものを選びましょう。
高価なものを購入しなくても、ペットボトルでも代用可能です。
テントに泊まるときは、近くに水場がない可能性もあるので、折り畳みできる3リットルほど入る水筒を用意しておくと便利です。
懐中電灯
ワンデイハイクの場合でも必ず必要です。
手に持つタイプと頭に装着するタイプのものがありますが、頭に装着すると両手が空くので便利です。
登山のときはできる限り両手を空けておきましょう。
予備の電球と電池も必ず用意してください。
地形図・コンパス・高度計
地形図は最新のものであることを確認しましょう。
また、ワンデイハイクでもコンパスと高度計は必ず必要になります。
ツエルト(簡易テント)
急な天候悪化などによって前に進めなくなり、ビバークするときに必要です。
ソロ登山の場合は、たとえ山小屋に泊まる予定のときでも持っておくと安心です。
軽量化されているものを選び、荷物がかさばらないように注意しましょう。
携帯電話・スマートフォン
スマートフォンは必ずGPS機能をオンにしておきましょう。
いざというときに命を守ってくれます。
軽アイゼン
雪渓を歩く際に必要となります。
チェーン式のものを選んでおくと、地面へのインパクトが少なくなります。
ゴアテックス製のショートスパッツを併用すると、雪が入ってくるのを防ぐことができます。
断熱マット
スポンジとアルミでできているので、防寒対策に使え、また非常の場合に断熱マットに光を反射させて助けを求めることができます。
ガスランタン
ろうそくで代用可能ですが、超小型のガスランタンを持っておくと便利です。
記録用具
水に強い油性のペンと、小さく無駄のないメモ帳を用意しましょう。
カメラはいちいち鞄から出すのは面倒なので、首から下げておけるようにしておけばシャッターチャンスを逃しません。
荷物になるので三脚などは持ち歩かない方が無難です。
替えのバッテリーも忘れずに用意しておきましょう。
データカード
もしものために、自分の氏名、住所、血液型などを書いた紙を持参しておきましょう。
その他の装備
トイレットペーパーを持って行くときは、芯を抜いておくことをおすすめします。
下山後の温泉を楽しむ予定があれば、洗面用具もあると良いでしょう。
健康保険証や運転免許証などの身分を証明できるものも必須です。
靴紐が切れると歩きにくくなるので、靴紐の予備も用意しておきましょう。
靴紐は非常時にも使えます。
雪が降る季節の登山の服装
晩秋から初春にかけての雪がある季節の服装をご紹介します。
山の寒さは特に厳しいので、保温性の良いものを選んでおきましょう。
初心者の場合、冬の登山では寒さに耐えられるのかが非常に心配になりますね。
しかし、経験者に聞いてみると、寒くて動けなくなったという話を聞くことはありません。
山道を歩いているので熱が生じ、むしろ温かく感じられます。
寒さがこたえるのは、山を歩いているときではなく、テントや避難小屋で動かずにいるときです。
この場合、服装や装備で寒さをしのぐしかないので、用意は充分にしておきましょう。
寒さのせいで充分に睡眠がとれないことになると、翌日の登山に大きく影響が出ます。
そのような事態は事前準備で防ぐことができますので、ぬかりなく用意しましょう。
しかし冬の装備は特に高価で、すべて揃えるには結構な負担になることでしょう。
そこで、夏場の服装に手持ちのものを組み合わせることで、寒さをしのぐという方法があります。
参考までにご紹介します。
上着
厚手の冬用のものを購入できれば一番ですが、スリーシーズン用のものでも大丈夫です。
その場合は、気慣れている薄手の服を1~2枚重ね着しておきましょう。
寒い季節は、分厚いセーターなどを1枚着るよりも、薄手の服を重ねた方が空気の層が増えることで温かく感じます。
ズボン
綿100%のズボンは寒い季節には冷たくなってしまうので、保温力のあるウールや化学繊維のもの、フリースのズボンなどで代用可能です。
ズボンの下にはタイツなどを履くことでより温かくなります。
下着
化学繊維で作られた、機能性の高い登山用のアンダーウエアが必要です。
上下セットで揃えておくと安心で、替えも忘れずに用意しておきましょう。
防寒着
フリースまたは薄めのダウンジャケットを用意しておきましょう。
厚手のものは荷物になるので控えた方が無難です。
オーバージャケット
デザインだけで選ばず、機能性や着心地も重視しましょう。
激しい動きにも耐えられ、透湿性防水素材を使ったものがおすすめです。
オーバーズボン
オーバージャケットと同素材を選んでおくと安心です。
サロペットにしておくと、より温かく、転倒したときなどに雪が入りにくくなります。
靴下
ウールや化学繊維を使った、しっかりした厚手のソックスを選びましょう。
帽子
すっぽりと頭を覆うタイプの帽子にしておくと、耳を凍傷から守れます。
ウールやフリース地の帽子を選ぶ人が多いですが、より風を通しにくいナイロン地を当てたものも販売されています。
吹雪対策として、目と口だけを出せる目出し帽も用意しておきましょう。
手袋
初めて手袋を購入するときは、五本指か三本指のタイプを選びましょう。
五本指タイプは手先が繊細に動くので便利ですが、三本指のタイプに比べて保温性が劣ります。
目的に合わせて選びましょう。
スカーフ
シルクのスカーフを首に巻くのがおすすめです。
首元が温かくなり、体からの熱も発散しにくくなります。
扱いやすい、フリース地のネックウォーマーでも良いでしょう。
雪の季節の登山装備
冬場はどうしても登山の装備が重くなりがちです。
本当に必要なものだけを選んで持って行くようにしましょう。
冬山の装備として必須なのは、ピッケルとアイゼンです。
雪山初心者はピッケルを持って歩く姿に憧れがあるでしょうが、低山では必要ありません。
またきちんと使い方の講習を受けなければ、なかなか扱えません。
低山登山の場合は、氷よりも雪が多いので、ピッケルよりスキーのストックの方が便利です。
ソロ登山の場合は特に、無駄な荷物を持って行ってしまわないよう、目的に合わせて適切な道具を選びましょう。
次にご紹介する装備は、人によっては必要ないと思うものもあると思います。
自分に必要だと思えば持って行きましょう。
登山靴
プラスチックブーツは防水性が高く一般的でしたが、最近では特殊な加工がされた皮革やナイロンのものも多くなってきました。
プラスチックブーツに比べて、皮革やナイロン製の靴は軽くて歩きやすく、足に馴染みやすいという特徴があります。
アイゼンの装着に備えて、靴底がしっかりしたものを選んでおきましょう。
シユラフ
冬場に使いたい場合は、製品に記載されている耐寒温度を必ず確認しましょう。
寒くて眠れないなんてことにならないよう、羽毛を800gほど使ったものがおすすめです。
保温性が高くなるシュラフカパーも用意しておきましょう。
シュラフの素材は通気性の高いものを選びます。
通気性が悪いと、発散する水分が表面を濡らしてしまい、それが冷えて凍ると余計に寒くなってしまうからです。
水筒
冬の山では、あまりの寒さに水筒の水が凍ることがあるので、小型魔法瓶を選びましょう。
チタン製の軽いものや、登山専用のものがおすすめです。
アイゼン
雪山では、縦走用の12本爪のアイゼンが必須です。
アイゼンが足に引っかかり転倒することがあるので、事前にしっかり慣れておきましょう。
ストック
低山で積雪が少ない場合は、ストックを1本持っておくと安心です。
小さくたためるものもあるので、持ち運びにも便利です。
ロングスパッツ
ナイロン製のスパッツは蒸れやすく、靴の中が濡れてしまうことがあるので、ゴアテックス製のものが良いでしょう。
後ろにファスナーがあるものが壊れにくく長く使えます。
ピッケル
目的別にいろいろなタイプのものが販売されていますが、縦走用にはストレートシャフトのノーマルタイプが良いでしょう。
あまりにも短いものは控えておく方が無難です。
カメラ
カメラは低温に弱く、冷えると動かなくなったり、露出が狂いがちになります。
カイロなどで温めると正常に動くようになります。
予備のバッテリーも忘れずに持って行きましょう。
インスタント・カイロ
かさばらず、手軽に温かくなるので、冬の登山にはぜひ持って行きましょう。
ラジオ
天気予報などを確認するための小型のラジオを用意します。
予備の電池も忘れずに。
以下のものは、夏用と冬用とで区別がないのでこれまでの説明を参考にしてください。
ザック、コッヘル、コンロ、懐中電灯、地形図、コンパス、高度計、ツエルト、スマホ、断熱マット、ランタン、データカード