必見!捻挫した時にテーピングを使う3つのポイント 

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ある選手が

「なかなか足首の捻挫が治らないんです。」

っと真剣で不安な顔して相談に来た。

問診をすすめると

もう1年近く左足首の痛みとゆるさが気になっているとのこと。

「今までどうしてたの?」

と尋ねると

「治療院に通って、練習前と試合前にはぐるぐる巻きのテーピングをしてた。」


皆さんはこのような選手が来たらどうしますか?

このようなケース少なからずともあると思います。

本人は真剣で怪我を治し、万全の状態で試合に戻りたい、テーピングをずっとしていたから、なかなか切り離すことができないという。

治療者の立場では迷うと思います。

・テーピングの巻き方に問題があるのか?
・テーピングがホワイトだからダメなのか?
・テーピングは外したほうがいいのか?…

色々出てくると思います。

今回は捻挫をした時にテーピングを使う3つのポイントを見ていきたいと思います。また、テーピングが必ず必要かどうかに関しても見ていきます。

まずは、テーピングの巻き方に関してお伝えしていきたいと思います。

一緒に見ていきましょう!!

1.捻挫をした時のテーピングの巻き方

いきなりテーピングの話をする前に、状態による段階別の巻き方を紹介しますので、まずは捻挫の状態の把握からみていきましょう!

捻挫といっても数多く存在します。頚椎、肩、肘、手首、腰痛、股関節、膝、足関節、指などなど靭帯関節軟骨などが存在するところには受傷の可能性はあります。

1−1捻挫の治癒期間

捻挫は靭帯損傷です。

靭帯損傷の治癒期間を知ることは、ゴール設定を行う上でとても重要な要素になり、逆算をすることで治癒までの間、何をすべきなのかプログラムが立てやすくなります。また、患部の負荷量の設定も立てやすくなります。

テーピングの場合は、

どこまで固定することがいいのか?

しなくてもいいのか?

どのくらいから本数を減らしたり、素材を変更するのか?

様々な要因を検討し一番いい方法論を考えることができるのです。そのために組織の治癒期間を知ることは極めて重要になってきます。

では靭帯損傷の治癒期間はどのくらいなのでしょうか?

以下の表が一般的な靭帯損傷の治癒期間になります。


参照)理学療法ハンドブック 第3巻 改訂第3版 p326

しかし、靱帯といっても、関節外靱帯(前距腓骨靱帯、内外側側副靱帯など)、関節内靱帯(前十字靭帯、後十字靭帯など)部位によっても異なります。

以下に部位別の治癒期間を載せておきますのでご参照ください。

参照)① http://www.nenza-nabi.com/keitsui/kaihukukikan.html)

   ② http://www.kubo-tetsuji.com/足首の捻挫の症状/完治する期間

   ③ http://www.kubo-tetsuji.com/手首の捻挫の症状/手首の捻挫の完治期間)

   ④ http://reha-of-orthopedic.com/内側側副靱帯損傷のリハビリテーションとは?競/

   ⑤ http://e-seikei.com/sports54.html

   ⑥ 理学療法ハンドブック 第3巻 改訂第3版 p326

手術後の治癒経過はこれに含まれていませんのでご注意ください。

では次に、テーピングの種類について見ていきましょう!損傷度合いと治癒経過を見ていくことはテープの種類を把握して、その損傷度合いにあったテープをセレクトできます。

1−2テーピングの種類

ある程度捻挫の損傷度合いが把握できたと思います。

しかし、捻挫をしたらホワイトテープでぐるぐる巻きにしていいのかというとそういうわけではありません。

損傷の度合いでテーピングの巻き方、テープの量や材質を少し変えていかなければなりません。

そこで、まずはテープの種類とどの場面で使ったらいいのかを説明したいと思います。

ホワイトテープ(非収縮性)

非収縮性テープで主に関節の固定、可動域を制限するときに使用します。しっかりと固定されるので、ケガの予防や再発防止、応急処置に最適になってきます。

可動域の小さい、指、手首、足首の固定に使用される事が多く、肘膝などに使うと逆に身動きが取れなくなることが多く、この場合はエラスティックテープを使用することが多いです。

エラスティックテープ(収縮性)

伸縮性テープで主に肩や膝などの可動域の大きな関節の圧迫固定用。ホワイトテープよりも固定力は劣る。他には、ホワイトテープの剥がれを防止するために上巻きしたりする。

 

ソフトエラスティック(収縮性)

非常に伸縮性があるため、患部の固定には不向きです。テーピングの仕上げ(オーバーラップ)として使用することが多いです。

オーバーラップとして使用することで、巻いたテープがはがれることを防ぐことが出来ます。

 

 

キネシオロジーテープ(収縮性)

主な効果としては、筋肉に沿って貼ることで筋肉の上の皮膚を引っ張り上げ、皮膚と筋肉の隙間を作ることにあります。

こうすることで、筋肉が動くスペースが確保できるため、筋肉が使いやすくなります。

他の用途しては、伸張度合いを変えながら靭帯や骨の直上に貼ることで関節の安定性を図る貼り方もあります。しかし、上記のホワイトテープやエラスティックテープよりも固定力は劣ります。

 

上記のようにテーピングのテープは大きく非収縮性テープ収縮性テープに分かれています。この用途を理解しておくことが大切です。

急性期ではどれをチョイスするのか?

回復過程ではどれをチョイスするのか?

用途の理解が今後の回復過程に大きく反映されてきます。

次に巻き方に関して見ていきましょう。知っている人はほとんだとは思いますが、復習と思って是非見てください。

1−3テーピングの巻き方

テープの種類を理解したと思います。次に巻き方です。

テープの巻き方にもいろいろあります。今回は足関節の巻き方を参考に見ていきます。ここで重要なのは、足首の巻き方ひとつではないのです。

先ほどお伝えした、テープの種類や巻く本数などを変えていくことが復帰に近づくのです。あくまでもテーピングは治癒させていくひとつの手段なので、外すことを考えていくことを考えながら行っていく必要があります。

ずっと、同じ種類のテープで同じ巻き方はその選手の復帰を遅らせるとともにパフォーマンスの低下を招く恐れがあります。

まずは、ベーシックな巻き方を見ていきましょう!!

図 日本剣道協会参照(http://www.kendo.or.jp/kendo/medicine/taping-method.html)

基本編

捻挫の基本的な紹介を動画と画像でお伝えします。

テープの本数を減らすには、そのテープの意味も重要になってきますので、紹介したいと思います。

基本編はフィギヤエイトまでの動画です。

しっかり固定編急性期

基本的にホワイトテープを使います。急性期なので固定させることが一番です。

基本的な巻き方を行なった後にさらに強固にするために、ヒールロックを行います。

まあまあ動ける編回復期

ここからは少しずつ、ホワイトテープの本数を減らし、エラスティックを中心に巻いていき、安定性を出したいところにホワイトテープを使っていきます。

動画はありませんが、スターアップ、ホーシュンやヒールロックなど固定するテーピングを減らしたり、無くしたりしてください。

<スターアップ> 

踵の左右の動きを固定する目的

<ホースシュー> 

足関節の横への動きを固定する目的

<フィギュアエイト> 

関節全体を固定する場合や伸展するのを防ぐ目的

<ヒールロック>

踵を固定するために行う目的

動ける編運動開始期

キネシオテーピングを中心に巻いていきます。少し固定力を増したときはエラスティックテープなどを貼っていきます。

このようにテーピングには基本的な巻き方が存在します。基本的な巻き方を知っておくことは重要です。

しかし、一つ一つの巻き方がどこに効いているのかを知っておくことが実はとても重要で、この考えを知っておけば、外すときに考えながら外すことが可能となり、評価にもつながります。

では、外すための考え方はどのようにしていけば良いのかを次の章からみていきたいと思います。

2.必見!テーピングを外す3つの基準

テーピングを外すタイミングはとても難しいですよね。

選手にとってはテーピングがあることで安心感を持って練習やプレーができていたのに、それを外すとなるとなかなか難しいと思います。トレーナーとしても難しい判断が迫られると思います。

外すのにキーポイントとなるのは3つあります。

①治癒期間

各組織の損傷時の治癒期間

②抵抗力と負荷量の関係

患部が様々な動作に耐えられるだけの状態なのか、痛み、関節の動揺や筋の出力などがしっかりと発揮できるのかを見ていきます。

この抵抗力と負荷量の関係を考えながら見ていくことで、テーピングの本数を減らすなどし、外す方向に段階的に持っていくことで選手にもトレーナー(治療者)にも負担がかからず、安全に復帰ができるようになります。

Sportsmedicine 2016 no 185  p33

③メンタルの問題

その選手自身の気持ちの問題です。

もちろん痛みや不安定感など患部の局所の問題も重要になってきますが、テーピングは貼ってあるだけで安心感のあるプラセボ効果もあるので、急には外すことは難しいのです。


自律神経の問題も出ましたが、精神的不安はストレスに変化します。こうなると、自律神経系が阻害されることで、栄養血管や神経系の循環不良となり、携帯的や、筋力、軟部組織や骨などに何も問題が起こらなくても、痛みや痺れが出現したり、パフォーマンスが低下したりする可能性が出てきます。


なので、選手とはじっくりとコミュニケーションをとりながら外す方がいいですね。

Sportsmedicine 2016 no 186 p46

この3つを基本軸にして、一気には外さないで徐々にテープの本数を減らしたり、ホワイトテープからエラスティックテープにするなど素材を変化させるなどし、段階的に外すようにしていきます。

抵抗力と負荷量のバランスを保ちながら行うことが重要です。

いきなりは精神的にきついです。外すということが逆にストレスになり自律神経にも作用し再受傷なんてこともありうるので、徐々にがいいと思います。

とは言っていますが、最初からテーピング療法なんてやらない方がいいのでは、という方々もいると思います。ここまでして、行うことに意味があるのか考えてしまいますよね。

それでも、選手の立場になれば一つの方法なのでいいのではと思います。上記の考えを持って行うことができるのであればです。

次にお話しするのは、テーピングの是非に関してです。

私は基本的にテーピングはしない方向で物事考えている人間です。
なので、自ら選手のところに行って怪我人にテーピングを巻くようなことはしません。
それはある考えと経験に則ったものからきています。

ぜひ、次の章も読んでいただき、今後の臨床に参考にしてください。

3.テーピングが必須でない5つの理由

自分がテーピングを必要でないと思ったのにはある理由があります。

整形外科病院で働いていた時やスポーツ現場で選手を見ていた当初はテーピングを巻くことが最良の方法で綺麗に巻くことを実践してきました。

確かに、綺麗に巻くことで固定力は増し、痛みの軽減につながってきます。しかし、なかなかテーピングをしている選手はテーピングから離れていかないのです。

なぜなのか、それは先の章でも話しましたが、心の問題があるのと、していないと痛みが出るからです。

痛みがあるのであれば、まだすべきなのではと思う方も多いと思います。しかし、患部の治癒期間を過ぎてもテーピングを巻いていることは、ある意味依存状態になっています。

テーピングはぐらぐらな関節の固定力を向上させ、疼痛も軽減する。そして、テープピングを巻いた状態で試合や練習に参加できる。様々なもの助けになり与えてくれるテーピングは、見方を変えれば…

何かを奪っているのでは??

そう、結局は補助なのです。

そこに気づいた時、自分は不要と感じたのです。

そして、

自分がテーピングが不要というのには理由があります。

“テーピングが必須でない5つ理由”

①循環不良になるリスクがある

患部を不動にすることで圧迫による細胞と細胞との間にある「間質液」の循環やリンパや静脈の還流を妨げ、循環不良になるリスクが高まる。

循環が良好な場合

Sportsmedicine 2017 NO.189 p44-47

循環が悪くなると

Sportsmedicine 2016 no 186 p45

②廃用のリスクが高まる

患部を不動にすることで、動かす機会が減り、筋力が低下するリスクが高まる(廃用になる)

③局所の抵抗力と強さを奪うリスクが高まる

患部を不動にすることで、関節組織の軟部組織(腱、関節包、靱帯、筋膜、筋肉、皮膚など)に適度なストレスがかかる機会を減らし局所の抵抗力や強さを養う機会が奪われやすい。

④可動域制限のリスクが高まる

患部を固定することで、可動域の制限につながる。

⑤コーディネーション能力が低下するリスクが高まる

患部を固定することで、必要なタイミングで複数の筋肉を適時に収縮とリラックスとを絶妙なバランスで制御するコーディネーションの能力を低下させ、いつまでもパフォーマンスが向上しない。

長期につけてもいいことはないのです。

上記の5つのリスクを考えることができれば、自分はデメリットしかないので、テーピングを巻くことは勧めません。

それどころか悪いことが多いように思えます。

ここで、冒頭に書いたあの選手の話に戻ります。

長期にわたり、足関節を背屈位で常にテーピングを施していたので、ボール蹴ったり、バックで走ったり、ジャンプするなど足関節の底屈運動が入る動きは完全なパフォーマンスは発揮できず、痛みが出ている状態でした。

その選手に徹底的に問診を行い、

①長期にわたりテーピング固定をしていたことから不動になっており、局所の循環不良が起きている。

②長期固定により、関節の位置関係が悪くなっている。

③テーピングをしていたことにより、局所の軟部組織の抵抗力が低下している。

④長期固定により、本来の足関節可動域制限が起き、プレーの幅が制限されている。

⑤足関節周囲の筋力が低下し、運動時の強調した運動も阻害されている。

ことなどがあり、

テーピングを外すように指示しました。

その後、自分が治療を行なったのは以下の5つです。

①足部全体の循環を良好にするために筋膜リリースを行う

ご紹介するのは足趾間のリリースですが足部を長期にわたり不動にしているので患部外ではありますがとても有効になってきます。この他にも、患部に対する筋膜リリースも行います。


②関節の滑走性と位置関係を良好にするために足関節のモビライゼーションを実施


③長期不動によることから循環不良になっていたので、足関節と同じ神経支配に当たる部位の脊柱マニュピレーションを実施。
④抵抗力と負荷量の関係性を考えて、テーピングを外した状態でどの動きまでができるかをチェックし、動きの幅をサッカーに対応できるまで可能かみていく。
⑤テーピングを外せない・外したくない理由より、コーピングとマインドフルネスの実施

実際、この選手を初めてみたときに行ったのは①、②と⑤を1時間かけて行いました。

患部の循環を良好にさせて、関節の位置関係を治し、テーピングを外す必要性を選手に伝えました。

治療の結果、テーピングを外した状態で、直線のダッシュが可能になりました。

テーピングを外してから1ヶ月程度で、試合に復帰し、高いパフォーマンスを保ちながら今でも選手を続けています。

そして、この選手はその経験からテーピングはつけず、循環を促進するマッサージや風呂に入ること、徐々に負荷量をあげていく術を覚え怪我をしないようになっています。

今では、海外のチームでプロとして活躍しています。

このように、捻挫を抱えた状態でテーピングをしながら、練習を行い続けることが全てではありません。

状態をしっかりと鑑別することができれば、不動にしないで怪我をした急性期でも徐々に動かすことが実は重要になってきます。

レッドフラッグは別ですが。。。

どうでしょうか、捻挫をしたら、テーピングをすることが全てではありません。しかし、どうしても試合に出ないといけない時にはテーピングは役に立ちます。

しかし、長期にわたり行い続けることは自分の体を阻害し、いつまでたってもテーピングから脱することの出来なくなるのです。

治療家としては、まず本当にテープが必要なのかどうかをしっかりと見極め、選手としっかりとコミュニケーションを構築してなるべく使わないこのとが最良の方法に繋がると考えます。

4.まとめ

テーピングは現在ある悪い状態を緩和してくれるものではあるが、長期につけた場合体の抵抗力や筋力など奪う諸刃の剣と考えるべきである。

しかし、時と場合によっては、有効な手段であるので、正しい巻き方と徐々にテープの数を減らす方法を身につけることは治療者としての幅を広げ、様々なクライアントに対応できると考える。

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